
アメリカのトランプ大統領の肝いりで行われた党大会について、「視聴者数が伸びなかった」などと冷ややかな報道が出ている。トランプ大統領は「上下両院で勝利したら77万円を支給」と表明したが、実現できるのだろうか。
約77万円支給 法的議論も
共和党が中間選挙の前に初めて開催した異例の党大会で、驚きの発言が飛び出した。
共和党大会でトランプ大統領は、共和党が上下両院で勝利した場合、成人全員に5000ドル(約77万円)の支給を約束した。
しかし、財源に問題がある。
アメリカの成人は約2億7000万人いるが、全員に支給した場合、約1兆3000億ドル(約200兆円)が必要になる。
バンス副大統領は関税で得た収入を財源に充てる可能性を示唆したが、2025年からの関税収入は約4750億ドル、約73兆円にとどまっている。
この発言について、法的な議論も過熱している。
CNN(10日)の番組では、合衆国法典第18編第597条を根拠に「投票に影響を与えるための配当金支払い」は法的に認められない可能性が指摘された。
一方、BBC(11日)は、一部の専門家の見解として「全員に支給されることになれば賄賂(わいろ)とは言えない。合法になる可能性がある」と報じている。
党大会 反応冷ややか?
今回の党大会はトランプ氏の肝いりイベントだったが、反応はどうだったのか。
テキサス州で9日と10日、共和党史上初めてとなる中間選挙のための党大会が開催された。
そもそも党大会は、4年に1度の大統領選の年に開くのが通例だが、トランプ政権は中間選挙期間中に党大会を開催できるよう党規則を改正していた。
しかし今回の党大会については、出席を見送った議員もいた。
共和党議員は、出席するためには2万5000ドル(約385万円)以上の寄付が必要だったこともあり、ウォール・ストリート・ジャーナル(10日)によると、接戦が予想される下院議員候補の参加者は9人のみだったという。
また、ポリティコ(2日)によると、欠席した共和党議員からは「家族と過ごしながら地元で仕事をする」「地元でハト狩りのイベントがあるので出席しない」という声も出ていたという。
また、テレビ中継の視聴者数も伸びなかったという。
FOXニュースが中継した今回の党大会初日の視聴者数は約250万人だった。2024年の大統領選前の党大会最終日は980万人以上が視聴しており、本選ではないため単純比較はできないものの、視聴者数は大きく減少したといえる。
電気料金が上がる可能性も
中間選挙に向けてデータセンターの建設も争点となりそうだが、共和党内からも反発の声が上がっている。
急速に発展しているAIだが、AIを裏で支えているデータセンターの建設で問題点も指摘されている。
この地図は各州にあるデータセンターの数を円の大きさで示したもの、全国的に存在することが分かる。
データセンターはAIブームで需要が急増し、建設が加速している。アメリカでは、おととし10月には2987施設だったが、約2年で今年9月には4767施設に増え、世界のデータセンターの約4割を占めている。
一方で、住民の電気代に影響が出ている。
データセンターは、データ処理や冷却のために大量の電力と水を消費する。米国内でデータセンターが最も多いバージニア州の合同立法監査・審査委員会は、データセンター建設の増加が主な要因となって、今後10年で電力需要が倍増すると予測している。
電力会社は設備増設などのコストが増え、すべての顧客の電気料金が上がる可能性があると指摘している。
データセンター建設も争点に?
そして、データセンターの建設は、中間選挙の争点にもなっている。
NBCニュースが先月20日~今月1日に実施した世論調査によると、69%が地元でのデータセンター建設に反対しており、共和党支持者でも57%が反対しているという。
共和党内でも変化が起きている。
ニューヨーク・タイムズ(先月23日)によると、これまでは主に民主党がデータセンターの建設に反対する姿勢だったが、最近は共和党候補からも反対の声が相次いでいるという。
トランプ大統領は、こうした「建設反対」の声を批判している。
トランプ大統領はSNS(先月31日)に「金の卵を産むガチョウを殺したら、それはあなた方自身の責任だ。中国は反データセンター運動を心から歓迎している」と投稿した。
すでにIT大手に、データセンター用の発電所を自社で建設するよう指示したという。
「AI開発は減速を」と警告
そんな中、AI企業トップのアンソロピックのダリオ・アモデイCEOは自身のブログ(12日)で「AIモデルの能力向上のペースを減速させるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
アモデイCEOは、AIの開発を減速させて対策が追いつけるようにすること、開発企業に常駐の独立した評価者の設置、政府による法規制、中国など権威主義国家も交えた開発減速への枠組みづくりを訴えているという。
(2026年9月15日放送分より)
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