
日本銀行は18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度に引き上げることを決定。原油高や円安による物価上昇リスクは抑えられるのだろうか。
一方、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)も利上げを決め、世界同時利上げの様相を呈している。日本への影響は、どうなるのか。
利上げのペース加速
高市政権下で3度目の利上げとなった。
日銀は去年12月、政策金利を0.5%程度から0.75%程度に、今年6月には1%程度に引き上げていた。そして18日、1.25%程度に引き上げた。
この1.25%は、およそ31年ぶりの高い水準だ。
また、前々回から前回の引き上げまでは半年間空いていたが、今回は3カ月での引き上げとなり、ペースが加速している。
そもそも、日銀の基本的な金融政策の一つが金利の上げ下げだ。例えば、金利が上がると企業や個人は資金を借りにくくなるため、「金融引き締め」と呼ばれている。
一方、金利を下げて資金を借りやすくすることは「金融緩和」と呼ばれている。
そして今は、インフレが懸念されていることから、資金を借りにくくする利上げを決定。これにより、企業は設備投資や事業拡大を控える。家計では、ローンを控え、大きな買い物を我慢する。このように経済活動を抑制することで、物価を押し下げたい考えとみられる。
また、利上げの背景には、さらに物価高騰への懸念があるという。
円安是正で…輸入物価上昇を抑制?
これは、輸入物価指数と、企業間の取引価格の指標である国内企業物価指数、消費者物価指数の今年に入ってからの推移を表したグラフだ。
2月末のイラン攻撃以降、原油高により、まず輸入物価指数が大きく跳ね上がり、少し遅れて企業物価指数も上昇した。一方、消費者物価指数には大きな変化が見られない。
これをどう読み解くべきか。輸入原材料の価格変化が消費者に波及していく様子は、しばしば川の流れに例えられる。
まず、川上にあたる輸入原材料の価格が上昇する。これが「輸入物価指数」だ。チョコレートで言えば、原材料となるカカオなどの輸入に当たる。
次に、川中にあたる企業間取引の価格に影響する。これが「国内企業物価指数」だ。チョコレートで言えば、材料の加工や包装に当たる。
そして、川下に当たるのが、消費者による商品の購入だ。コスト増により商品の小売価格も上がるが、川下に位置するため、価格に反映されるのが遅くなるという。
18日に発表された8月の消費者物価指数の速報値は、前年同月比1.7%の上昇となった。
今後はどうなるのか。帝国データバンクが発表した9月の飲食料品値上げ動向によると、主要195社の4923品目が値上げとなり、これは過去4番目の多さだ。このことから、すでに消費者物価が上がり始めているようにも見える。
ただ、今回の利上げの狙いである円安の是正が進めば、物価上昇を抑えられるとの見方もあるという。
円安是正の道筋は?
そもそも、円安の要因の一つとして指摘されているのが、「円キャリー取引」と呼ばれるものだ。
投資家は、金利の低い円を借りて資金を調達し、金利の高いドルで資産を運用する。これにより、低い利子で大きな運用益を引き出すことができる。こうした円売り・ドル買いが過度に進むと、円安に向かうという。
しかし、今回の日銀の利上げで日米の金利差が縮小すると、利子が高くなり運用益が減るため、円買い・ドル売りの流れとなり、資金が日本に還流し、円高に進むのではないかとみられている。
ABC経済研究所の代表エコノミスト・熊野英生さんは、「日銀の利上げによって円安が是正されれば、輸入物価を引き下げる効果も見込める」と話している。
FRBも利上げ トランプ氏反発
一方、アメリカの中央銀行にあたるFRBも利上げを決め、世界同時利上げの様相も呈している。日本には、どのような影響があるのか。
アメリカのFRBは16日、政策金利を0.25%引き上げ、3.75%~4%の範囲とすることを決めた。アメリカの利上げは3年2カ月ぶりとなる。
FRBのウォーシュ議長は、利上げ発表後の記者会見で「FRBが最も重視しているのは物価安定だ」と述べた。アメリカのインフレ率は、FRBの目標が2%以下であるのに対し、今年7月時点で3.7%と大きく上回っている状況だ。
ただ、11月に中間選挙を控えるトランプ大統領は、消費を拡大して景気を下支えするため、かねてFRBに利下げを求めてきた。
そんなトランプ大統領の指名で今年5月にFRB議長へ就任したのがウォーシュ氏だ。しかし、トランプ氏の意に反するように、FRBは利上げを決定した。
トランプ大統領は早速16日に、「FRBは非常に敵対的で、政治的で間違っている。彼らは政治家に送り込まれた連中だ。金利が高すぎ、情けないことだ」とFRBを批判している。
大統領からの批判をいとわずFRBが利上げを決めた背景には、インフレ警戒感の高まりがある。
「世界同時利上げ」の流れも…
9日、トランプ大統領は「イランとの停戦は中間選挙の後になる」と発言した。10日には、ホルムズ海峡の代替ルートとなっているサウジアラビアのパイプラインが攻撃され、その後、稼働停止が発表された。誰が攻撃したのかは、まだ分かっていない。
また、親イラン武装組織のフーシ派が、紅海の出口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡の周辺を制圧したとの報道もあった。
こうしたことを受け、原油の代表的な指標であるWTIは3カ月半ぶりに「1バレル=100ドル台」を超えた。
さらに、こうした事態を受け、「世界同時利上げ」の流れも起きているという。
利上げをしたのは日米だけではない。10日にはECB(欧州中央銀行)が政策金利を0.25%引き上げ、2.5%とした。また、イングランド銀行は17日、政策金利を3.75%で据え置くとしたが、アメリカの金融大手シティグループは、年内に利上げへ踏み切るとの見通しを示している。
(2026年9月18日放送分より)
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