
23日、中国の習近平国家主席がワシントン近郊の空港に到着し、トランプ大統領が自ら出迎えた。異例の厚遇ぶりを示したアメリカだが、首脳会談で両者は何を得ようとしているのだろうか。
米中首脳会談の焦点となるAIやイラン問題。どちらが主導権を握るのだろうか。そして、中国が重視する「台湾問題」。トランプ大統領が「交渉カード」にする可能性は。
「AI」米中が覇権争うなか
米中首脳会談の議題を見ていく。まずは、アメリカと中国が覇権を争う「AI」についてだ。
アメリカのトランプ大統領は、国連総会での一般討論演説で、AI(人工知能)を今後はスーパーインテリジェンス=SI(超知能)と呼び、「SIを制する者が勝者となる。我々は現在、中国を大きく引き離して先頭に立っている。この状態を維持していく」と述べた。
そのAIを巡ってアメリカと中国は開発競争を繰り広げている。AIの性能に関するスタンフォード大学の分析を見ると、かつては差があったが、徐々に中国が差を縮め、現在は拮抗(きっこう)している状況だ。
また、米中それぞれが自国中心のAI秩序づくりを急いでいる。アメリカは去年末、AIや半導体などの供給網「パックス・シリカ」を発足した。日本やイギリスなど同盟・友好国を中心に現在は25カ国・地域が参加している。
中国も今年7月、安価なAIモデルを広げる「世界AI協力機構(WAICO)」をロシアなど29カ国で設立した。こちらは「AI版一帯一路」と称され、現在38カ国が参加している。
そうした中、AIの暴走や悪用されるリスクへの懸念が高まっているが、前回北京で行われた米中首脳会談では、中国外務省がAIの課題についての政府間対話の開始で合意したと発表した。
そして今回の首脳会談に先立ち、20日に行われた閣僚級協議で、アメリカ側がAIに関する事故や安全保障上の脅威の情報を連絡し合うホットラインの仕組みを提案したという。一方、中国側は応じるか明らかにしていないという。
「イラン」米の方針に中国の協力は
続いてイランについて見ていく。アメリカはイランへの圧力を強化する方針だが、中国はこれに応じるのだろうか。
トランプ大統領は、国連総会での演説で「すべての国に対し、イランを経済的に完全に孤立させる措置に参加を」と協力を呼びかけた。
ただ、イランへの圧力で焦点となるのが中国の存在だ。イラン産原油の多くは中国へ輸出されていた。2月のイラン攻撃以降、急減はしているが輸出は続いている。
5月の米中首脳会談でもイランを巡る問題が議題となり、トランプ大統領はイランによる核兵器保有を認めないことやホルムズ海峡の開放を求めていくことでも合意したと発表。一方の中国は「中東情勢で意見交換した」とだけ発表し、詳細を明かしていない。
こうした中、21日、アメリカのベッセント財務長官は米CNBCテレビのインタビューで、20日の米中閣僚級協議でイラン問題を議論したことを明かした。中国人民銀行(中央銀行)の総裁の名前を挙げ、中国側がイランを経済的に孤立させるアメリカの取り組みに協力していると述べた。
「台湾」中国が重視 米の交渉材料?
米中首脳会談でトランプ大統領が「台湾問題」を交渉カードに使うことはあるのか。
アメリカでは去年、トランプ大統領が過去最高額の約1兆7600億円の台湾への武器売却を承認した。中国側は内政干渉だとして猛反発している。
5月の米中首脳会談の際、台湾への武器売却の問題が議論された。トランプ大統領は会談後、FOXニュースのインタビューで「非常にいい交渉材料だ」と述べていた。
今回の会談ではどうなるのか。ロイター通信は、関係筋によるととして、中国は1982年の米中共同声明に基づいて、アメリカ側に武器売却停止を迫る見通しだと伝えた。
当時、アメリカは中国に対し、台湾への武器売却を段階的に減らす意向と伝えていた。一方、台湾に対し、当時のアメリカ政権は武器売却の終了期限を設けないなどと内密に提示していた。つまり、アメリカは中国と台湾に相反する内容を提示していたことになる。
そして関係筋によると、中国側は今回、売却停止の見返りとしてイランに圧力をかけるための協力を申し出ているという。
さらに、台湾がすでに発注済みで、去年アメリカが承認した武器についても引き渡し停止を要求しているという。
「米軍は台湾周辺から後退を」提言も
こうした中、アメリカ軍に台湾周辺から後退すべきとの提言が出されている。
アメリカのシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズが10日に公表した「アジアの第2列島線戦略」と題した提言。それによると、現在アメリカ軍の関与と駐留は、日本、台湾、フィリピンなどがある「第1列島線」となっている。それをグアムなどを通る「第2列島線」に移行させるというもの。
アメリカは台湾の防衛を正式に約束しない戦略的曖昧(あいまい)政策をとってきたが、そのリスクがアメリカの利益に比べて不釣り合いだと指摘。第2列島線にシフトすることで、アメリカの国益を守りつつ、中国との戦争リスクを軽減できるとしている。
提言では2030年までに大部分を移行させ、2035年までに変更を完全に終了させるべきと指摘している。
(2026年9月24日放送分より)
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