
台風25号の影響で、千葉県の印旛沼の堤防が決壊して冠水した養魚場で、1匹数百万円のニシキゴイが多数死ぬなど、10億円近い損害が出ているということです。
【画像】ニシキゴイを扱う養魚場 東京ドーム約6個分の敷地が浸水
「泳ぐ宝石」被害10億円
24日の印旛沼周辺。決壊した堤防からは依然として水が流れ続けていました。
ニシキゴイなどを扱う大規模な養魚場。
谷養魚場代表 谷健治さん
「(Q.コイはどれくらいいた?)大体ですけど、10万匹くらいいたんじゃないのかな。ダメですね、全滅ですね」
「(被害額は)10億円近いんじゃないですか」
印旛沼のすぐ脇に位置する谷養魚場。ニシキゴイの養殖・販売のほか、釣り堀やパターゴルフなどのレジャー施設を備えますが、東京ドームおよそ6個分の敷地がすべて浸水しました。
全国から厳選した有名生産者のニシキゴイが集まり、海外からも客が訪れるほどでしたが…。
堤防が決壊した22日、会社のスタッフがボートから撮影した映像。車が半分水につかる中、進んでいくと、特に高額なニシキゴイが集められたハウスも壊滅的な被害を受けていました。
浸水から2日経った24日は、ピーク時に比べると、水位はかなり下がり40センチほど。敷地内にあるコイの販売所やパターゴルフ場なども水かさが減りましたが、水が引くまでには至っていません。
そして、奥の方にあるのが、特に高額なニシキゴイが集められたハウスです。
中では水が引き、本格的なニシキゴイの確認・救助作業をようやく開始したところです。
すると、立派なニシキゴイの死骸が次々に。回収が進められていました。
必死の救出も…ほぼ全滅
大勢のスタッフが取り組んでいるのが、かろうじて生きていたコイに急いで酸素を与えること。
ハウス内は電気がきていないので、発電機を使っての応急処置です。
従業員
「(生きているのは)200匹はいると思います。時間が経てば経つほど死んでいくんで」
谷さん
「(今から)30分、1時間でパーになっちゃう。1匹でも多く助けた方がいいから、できるだけ(救助作業を)きょう中にやります」
ニシキゴイは「泳ぐ宝石」とも呼ばれ、国内外で人気の観賞魚。個体ごとに違う模様の美しさから、非常に高額で取り引きされます。
谷さん
「(ここのニシキゴイは)何百円から何百万円くらい」
「(被害金額の)7割までいかないが、半分以上がコイなのかな」
午後3時を回ったころ、生きていたコイを1匹1匹つかまえて、さらなる移動が始まりました。
1匹数百万円で取り引きされることもある貴重なコイ。これを別の場所にあるいけすにピストン輸送するというのです。
移送先は車で数分ですが、1匹1匹慎重に運ばねばなりません。
谷さん
「移せるだけ、きょう夜までかかってもやります。助けられるやつは」
飲食店も被害 復旧作業も
被害は養魚場だけでなく、併設している飲食店でも…。
22日に撮影された映像を見ると、普段は200人ほどのお客さんでにぎわう店内が水浸しに…。
24日に水が引いた店内を見せてもらうと…。
谷さん
「これ全部倒れちゃった…」
「倒れたってことは1回浮いたんですよ」
倒れた冷蔵庫の中には汚れた水が入っているため、食材はすべて廃棄処分に…。
さらに、宴会場などの畳も濡れてしまったため、これもすべて廃棄処分。水を吸って重くなっているだけでなく、濡れた床が滑りやすくなっているため、1枚を運び出すだけでも大変な作業です。
谷さん
「これからテーブルとか濡れているんで、全部外に持って行って乾かす」
店内の清掃をするため、従業員が総出で運び出します。作業を始めておよそ6時間、ようやく畳が敷き詰められていた宴会場は空っぽになりました。
厨房(ちゅうぼう)も冷蔵庫や調理台など、出せるものはすべて運び出しました。
食器など使えるものを選別し、洗浄と消毒をします。
午後7時、買ってきたシートをかぶせて雨に備えますが…。
和風レストラン「錦谷」代表
谷芳紀さん
「またこの前みたいに豪雨が来たら、同じように浸水してしまう。一時も早く決壊した場所を何らかの手段で埋めていただかないと。これをやっても意味なくなっちゃう」
JR内房線 線路に土砂
台風25号の大雨で、交通機関にも甚大な被害が出ています。
JR内房線の土砂崩れ現場では、流れた土砂がぶつかり、電柱が傾いています。
JR東日本によりますと、土砂の流入に加え、線路の冠水や倒木などの被害が広範囲にわたり確認されました。
千葉市と鴨川市を結ぶ内房線。現在、姉ケ崎駅から安房鴨川駅までが運転見合わせとなっています。
その間、木更津から安房鴨川のおよそ90キロは、26日の始発から運転再開の見込みですが、姉ケ崎から木更津間は、およそ16キロは復旧に少なくとも3カ月以上を要するとしています。
アナウンス
「ご乗車ありがとうございました。終点・姉ケ崎に到着です。姉ケ崎から先、下り方面、終日運転を見合わせています」
現状、下りの終点と上り・千葉方面行きの始発は、姉ケ崎です。早朝の駅前、車やバスから降りてくる人の姿が多く見えます。
JR内房線の利用客
「ここまでくれば、電車に乗れると思って送ってもらった」
「代替のバスが来週から始まると聞いているので、期待しているが、やっぱり苦労して通勤している」
運行している区間でも、通常の3割しか列車が走っておらず、混雑はいつも以上。JR東日本は、28日以降にバスによる代行輸送を検討するということです。
小湊鉄道 相次ぐ被災
鉄道への影響は他にも出ています。
開業101年、房総半島を走る全長およそ39キロの小湊鉄道。観光向けのトロッコ列車が人気のほか、紅葉で知られる養老渓谷などを通るローカル線です。
8月の千葉豪雨では、倒木や土砂崩れなどで6カ所に被害が…。里見駅から上総中野駅までの区間が運休となりました。
今月上旬の大雨では2度目の被災。そして、シルバーウィーク初日の19日に休日限定でようやく全線運転を再開したばかりでしたが…。
小湊鉄道の上総牛久駅では台風の影響で、一部区間で当面の間、運転が見合わせとなっています。
20日から21日にかけての台風25号の影響で線路内への土砂・倒木の流入が多数発生。レールなどの鉄道施設が破損し、3度目の被災となりました。
24日に行われた調査では、線路の下の土砂が流され、線路だけが浮いた状態になっている箇所が複数確認。中には、20メートルの高さで浮いているものもあったといいます。
そのため、上総牛久駅から上総中野駅間がまたもや運休となり、再開できたのはわずか1日でした。
小湊鉄道鉄道サービス部の杉山茂部長はこう話します。
「『またか』というのは、正直な気持ちだと思います。今年(の天候)がかなりひどいというのは、みんな口々に言っているところですね」
度重なる被災に嘆く小湊鉄道。地元の人たちは…。
利用者(80代)
「庶民の足。ちょこちょこ使うね」
利用者(90代)
「年を取って運転免許を返納しちゃって、(小湊鉄道を)利用してる人が多いです。ショッピングに行ったりね」
養老渓谷 観光地も打撃
運休区間にある観光地・養老渓谷。これから紅葉シーズンを迎え、多くの観光客が訪れる季節ですが、24日は養老渓谷に向かう多くの道が通行止めになっています。
迂回(うかい)路を通り、たどり着いたのは山の駅・養老渓谷「喜楽里」です。責任者の米本和弘さんに聞きました。
「(Q.きょう営業は?)してません。22日からやっていないです」
養老渓谷がある大多喜町は、台風25号が来てからずっと停電が続いています。
「ジビエの肉を冷凍してたんですけど、今は他の場所に持っていっています」
さらに、停電以外にも…。
「電話もつながらない。通信手段が断たれてます」
停電に加えて、つながりにくい電波状況。そこに小湊鉄道の運休が重なっているといいます。
「8月から9月にかけて雨ばかりですので、また鉄道が止まると、大きなダメージだと思います」
度重なる豪雨は、宿泊施設にも大きな影響を与えています。
天龍荘 高橋渉代表
「シルバーウィークは、この業界は一番の書き入れ時。そこに直撃されて、かなり大きい」
さらに、台風の日は宿泊客が夕食をとるタイミングに停電が発生しました。
「いきなり停電になり、懐中電灯、ろうそくで夕食をなんとかお配りした」
停電は続き、24日で4日目。発電機を使い、なんとかしのいでいるといいます。
「電話と通信が使えないのが一番困る。発電機で動かして、携帯は使えるようにしています」
土砂崩れで道路寸断
山の駅のキッチンカーでハンバーガー店「Club BIGONE」を営む道家尚巳さんはガソリンの補充のため、山奥の本店に向かうといいます。
「半分ぐらい埋まっちゃっている、土砂で」
「これはあしたの分。毎日補充しに行かないと、電気が戻るまで」
「信号(電気が)来てないから、止まっちゃってます」
「やっぱりダメですね」
大多喜町では、街中も至る所で通行止めが発生していました。
「埋まっちゃってる。半分埋まっちゃってる、トンネル」
本店まである4つのルートのうち3カ所で土砂崩れ。ようやく通れたのが、幅が狭く車1台通るのがやっとの険しい道です。
「これしか行ける道がない」
やっと本店にたどり着くと、柵は倒れ椅子もひっくり返っています。
「冷蔵庫はもうだめ。3日経っちゃってるので全部破棄」
冷凍食材を守るため、ガソリン補充をしに通うといいます。
「もう無理かなと思ってます。次にこんなこと起きたら。ちょっとさすがに、乗り越えられない」
(2026年9月25日放送分より)
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