
およそ100種、600羽の鳥たちが集まる静岡県掛川市の掛川花鳥園には、色とりどりの鳥たちが暮らしています。今回は、鳥の色に注目します。案内してくれるのは、飼育員でありながら本の出版まで手がけるスペシャリストの2人です。
【画像】色鮮やかな姿が特徴のキンケイ なぜオスだけ派手な羽色?
派手な色はモテるため?
飼育スタッフ 北條龍哉さん
「きょうは鳥の色に注目していきたいと思います」
佐々木若葉アナウンサー
「色!すごく楽しみです」
まずは、広重の浮世絵にも描かれた極彩色の鳥です。
北條さん
「非常にカラフルなキンケイというキジの仲間になります」
佐々木アナ
「何色あるんですか?すごいきれいな色」
北條さん
「きれいな鳥の代表格みたいな鳥ですね」
キンケイは主に中国の山間部に生息しています。金色や黄色と黒の縞模様に加え、青や赤など、色鮮やかな姿が特徴です。
佐々木アナ
「こんなにきれいで目立っていたら、野生で狙われやすいんじゃないですか?」
北條さん
「そうですね。地上で木の茂みなどに隠れながら生活をしています」
「オスは、とにかくモテるために、きれいに美しく、メスを引きつける」
派手な姿は、メスに選ばれるためのものだといいます。キンケイのオスには、どのような求愛行動があるのでしょうか。
北條さん
「きれいで、大きくて、ダンスがうまくて、声がすてきで歌もうまい、プレゼントをまめにあげるオスはモテるんですね」
こちらがメスのキンケイです。派手なオスとは一変し、とても地味な姿をしています。
佐々木アナ
「オスとメスで全く色が違いますよね。何でなんですか?」
北條さん
「キンケイの世界では、メスはモテるためにオスにアピールする必要が全くないんです。オスがとにかく頑張って意中のメスにモテるためのアピールをするので。メスはこんなに派手な色をしていると敵に襲われやすくなってしまうので、メスは自分の身を守るために非常に地味な色合いをしていて、卵やヒナを守るという生活をしています」
佐々木アナ
「なるほど。オスの頑張りでペアができるんですね」
北條さん
「その通りです」
砂に溶け込む鳥
続いては、なかなか見つけにくい色の鳥です。
北條さん
「次はあちらの砂場をよく見てください」
佐々木アナ
「あれは保護色ですね」
北條さん
「そうですね」
佐々木アナ
「すごく砂場と溶け込んで、なじんでいますね」
北條さん
「同化していますね。こちらの鳥はカンムリシギダチョウという鳥です」
南アメリカやアルゼンチン周辺に生息するカンムリシギダチョウ。頭の上に伸びた、冠のような羽が特徴です。
佐々木アナ
「ダチョウなのに小さいんですね」
北條さん
「シギという鳥とダチョウという鳥の名前が入っていますが、特にシギともダチョウとも関係がない。シギダチョウというちょっと変わった鳥になります」
佐々木アナ
「そうなんですね。シギなの?ダチョウなの?と思ったんですけど、どっちとも関係がないんですね。どんな所に生息しているんですか?」
北條さん
「砂地、林、やぶの中なんかに生息する鳥になります。この羽の色、体の色というのが砂や草むらなどにすごく紛れやすい色合いをしているんですね」
砂場で遊ぶカンムリシギダチョウを真上から見てみると、砂に溶け込むような色合いがよく分かります。
オスが卵を守る子育て
カンムリシギダチョウの子育ては、他の鳥とは少し違います。この卵の面倒を見るのは、オスだといいます。
北條さん
「オスだけが卵を抱いて子育てをするという習性を持っています」
佐々木アナ
「じゃあ、オスは卵を温めてる間、メスは何をしているんですか?」
北條さん
「カンムリシギダチョウのメスは基本的には何もしない、ただ卵を産むだけになっています」
佐々木アナ
「オスが頑張るというのは先ほどと同じですね」
青い鳥は青くない?
掛川花鳥園には、数多くの青い鳥もいます。実は、この鮮やかな青色には驚くべき秘密がありました。
佐々木アナ
「後ろにすごくきれいな青い鳥がいますね」
北條さん
「はい。青い鳥、実は青くないんです」
佐々木アナ
「え?青いですよ」
北條さん
「青いんですが、実は色が付いていないんです」
佐々木アナ
「私たちが見ているのは何ですか?」
北條さん
「色素によって青くなっているのではなくて、光の反射で青っぽく見えているという構造色と呼ばれる色になります」
佐々木アナ
「光の加減でたまたま青っぽく見えているけど、じゃあ本当は何色なんですか?」
その説明のために北條さんが取り出したのは、CDです。
北條さん
「CDの裏面の細かい凹凸が光をうまく反射して、角度を変えると、いろいろな色に見えるわけなんですが、この青い色を反射する構造が青い鳥の羽にあるんですね」
佐々木アナ
「難しいですけど、なるほど」
北條さん
「CDの裏面の色は何色ですか?と言われた時に、答えにちょっと困りますよね」
佐々木アナ
「困りました」
北條さん
「それがあそこにも起こっています」
羽を拡大してみると、目には見えない小さな隙間がたくさんあります。羽に太陽の光が入り込むと、光に含まれている赤や黄色などの色の要素は羽の中で散らばりますが、青色の要素だけがきちんと反射されて羽の外に出るため、人には青く見えるのだそうです。
佐々木アナ
「すべての鳥がそうなんですか?」
北條さん
「一部例外はあるんですが、青っぽい色合いの鳥というのは、何らかの形でこの構造色が取り入れられていると言われています」
佐々木アナ
「そう聞くと、よりミステリアスというか何か奇跡の青って感じがしますね」
佐々木アナ
「こちらにいました。すごくきれいな色をしています。確かに光の加減によって青色が変わっているように見えますね。でも、青い色素はないんですね。不思議ですね。どうなっているんだ?」
紫外線で見える世界
続いては、今年2月に学術誌で発表されたヒクイドリの写真です。自然光の下では黒く見えるトサカに紫外線を当てると、光ることが発見されました。
実は、鳥の多くは人間には見えない紫外線を見ることができます。私たちとは違う「色の世界」が広がっているのです。
紹介するのは、日本をはじめ世界中に生息するハヤブサの仲間、はなびちゃんです。
北條さん
「アイリングをちょっと見ていただきたいんですが、眼球の周りのぷっくりとしたところなんですが、何色に見えますか?」
佐々木アナ
「ちょっと黄色っぽい」
北條さん
「薄い青から黄色っぽい色をしていると思うんですが、鳥同士で紫外線が当たるお日様の下で見ると、この辺りが黄色っぽくなっていますよね。この部分が、黄色がより紫外線を反射するので、ハヤブサ同士で見ると黄色いところがキラキラまぶしく見えて、この他の青い縁の部分が少しくすんで見えると言われています」
佐々木アナ
「人間だと全く分からないですね」
北條さん
「これが何の役に立ってるかというと、メスからオスのハヤブサを見た時にキラキラしている状態というのはまだ若いオスなんですね。くすんだ色になっていると、大人のオスと見ることができるので、メスからすると若すぎるオスというのはペアの対象にならないんです。大人の鳥同士の判断がつくと言われています」
佐々木アナ
「面白いですね、はなびちゃんもオスのアイリングを見て、『まだね』とか思うってことですか?かわいい!」
食べ物で変わるフラミンゴの色
最後は、食べ物で色が変わる鳥です。皆さん、この鳥が何の鳥か分かりますか?正体は、アフリカや南ヨーロッパなど広い範囲に生息するフラミンゴです。なぜ、ピンク色ではなかったのでしょうか。
佐々木アナ
「体の色が薄い気がするんですけど」
北條さん
「はい、この子たちは今ちょうど繁殖期が終わったばかりなので、体から色がちょっと抜けている時期なんですね」
佐々木アナ
「体から色が抜けるって、どういうことですか?」
北條さん
「実はこのフラミンゴのピンク色、餌(えさ)の中に入っているピンク色の色素を体内に蓄えることによって、よりきれいなピンク色になるんですね」
この時に食べていたのはオキアミです。甲殻類の赤い成分からピンク色の色素を体内に取り入れています。
フラミンゴは、甲殻類などに含まれるカロテノイドという成分を摂取することでピンク色になります。
繁殖期には、体内でカロテノイドを凝縮した「フラミンゴミルク」と呼ばれる赤い液体を作るため、体から色が抜けてしまうのです。
それを子どもたちに食事として与えますが、親はフラミンゴミルクを口から出すため、「え?血を吐いた?」と思われることもあるのだそうです。
(2026年9月14日放送分より)
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