“ホルムズ危機”の裏で進む…アメリカの再エネへの転換 “蓄電池革命”で加速

“ホルムズ危機”の裏で進む…アメリカの再エネへの転換 “蓄電池革命”で加速
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 ホルムズ海峡の封鎖や、気候変動に伴う災害などによって、世界的にエネルギー供給が不安定になっている。アメリカでは、トランプ大統領が化石燃料の増産を進める一方、一部の州では再生可能エネルギーへの転換が加速しているという。

【画像】カリフォルニア州で、再生可能エネルギーが拡大している背景には…

 また、共和党の牙城テキサス州でも再エネが急拡大。その要因ともなった“蓄電池革命”とは?

背景に「3つの危機」

再生可能エネルギーが拡大している背景には…
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 まずは、カリフォルニア州の再生可能エネルギー事情について見ていく。

 カリフォルニア州は選挙では民主党が強く、民主党のカラーにちなんで“青い州”とも言われている州。

 アメリカエネルギー情報局(2月)によると、カリフォルニア州で2025年に発電された電力のうち、再生可能エネルギーが61.9%を占めていたという。また、2020年から新築住宅には太陽光発電を設置することが義務化されたこともあり、一般家庭など小規模な太陽光発電が14.5%を占めているという。

 ここまで再生可能エネルギーが拡大している背景には、カリフォルニアにおける環境問題やエネルギー問題での3つの危機が影響しているという。

 1つ目の危機が、1940年代から60年代にかけてロサンゼルスで光化学スモッグが発生した、大気汚染の問題。そこで1966年に自動車排出ガス規制を州独自に導入し、1967年にカリフォルニア大気資源局を設立し、全米に大きな影響を及ぼした。

 2つ目の危機が、1973年のオイルショック。輸入原油が不足したことでカリフォルニア州は1974年にカリフォルニア・エネルギー委員会を設立し、非常時の対応などエネルギー安全保障強化の観点から再生可能エネルギー政策を導入するきっかけになったという。

 そして3つ目の危機が2000年~2001年の電力危機。需要の増加などによる電力不足で停電がひん発した。こうしたことから2002年、電力小売業者に対して再生可能エネルギーの導入を義務化し、2045年までに州内の小売電力販売をクリーンエネルギーで100%まかなうという目標を掲げている。

 こうした政策を後押ししたのが、党派や立場を超えた人たちによる連携だった。

「包括的気候変動対策法」成立の背景

「パブリー法」とも呼ばれている
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 その中心的役割を担ったとされるのが、“気候変動対策の母”とも呼ばれる元カリフォルニア州議会議員のフラン・パブリー氏だという。

 パブリー氏は、2002年にカリフォルニア州で制定された自動車の温室効果ガスを「大気汚染物質」とみなして排出を規制する「世界初」の法律を提唱し、現在これは「パブリー法」とも呼ばれている。

 また2006年には、こちらも世界初となる、規制の対象を自動車だけでなく工場や建物など州の経済全体にまで広げた「包括的気候変動対策法」を提唱しこれも成立させた。

 ただ、こうした規制に対して、自動車業界などは大きく反発した。

 すると、医師会や看護師会、シリコンバレーの起業家らのほか、ハリウッドスターのロバート・レッドフォードさんやポール・ニューマンさんらも立ち上がるなど、党派や立場を超えた人たちが連携し、気候変動対策の法制化につながっていったという。

“蓄電池革命”で変化

蓄電池を構成する主なパーツの費用はこの10年で10分の1に
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 共和党の牙城テキサス州でも再生可能エネルギーが増えている。ただそこには、カリフォルニア州とは違った事情もあるという。

 電気を蓄えておける蓄電池がエネルギー問題の“ゲームチェンジャー”になるのでは?といわれている。

 “蓄電池革命”とも呼ばれる技術革新などによって、蓄電池の価格は下がり続けている。テキサス州のバッテリーメーカー「ビッグ・バッテリー」によると、蓄電池を構成する主なパーツの費用はこの10年で10分の1になっているという。

 これによって、太陽光発電でつくった電力を蓄電池にためるという設備投資にかかる費用を回収するまでの期間にも変化が起こった。

 例えば、家庭用の太陽光発電と蓄電池の設備でいうと8年前は元を取るまでに15年かかったが、現在はわずか3年と、5分の1になっている。

 アメリカの一般家庭における電気代は平均で月144ドル(約2万2000円)だが、太陽光発電と蓄電池を設置した人の中には月5ドル(約790円)で済む人もいるという。設備にかけた金額を回収した後は、実質的に毎月2万円以上お得になるようなケースもある。

 南部のテキサス州は、州知事と州議会の上院・下院を共和党が握っている“共和党の牙城”“赤い州”で、トランプ政権は再生可能エネルギーに積極的ではないが、2020年代に入り、太陽光や蓄電池の価格が下がったことにより政治的な逆風があっても「経済合理性」で再エネが急拡大した。

 また、トランプ政権は、太陽光発電と風力発電に関する税の優遇措置を縮小する一方で、事業用の蓄電池については2033年まで税の優遇措置を維持するとしており、「ブルームバーグNEF」は、政府の政策による支援を背景に“メイド・イン・アメリカ”、アメリカ国内での蓄電池の生産が拡大していると分析している。

気候変動対策の未来は?

山口豊アナウンサーが留学中に話を聞いたという
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 アメリカのハーバード大学で気候変動やエネルギー問題を調査・研究した山口豊アナウンサーが留学中に話を聞いたという、マサチューセッツ工科大学で気候変動などを研究するジョン・スターマン教授は、「『もう手遅れだ』と諦めることが最も危ない。気候変動の未来は変えられる。ただし、多くのことを同時にやる必要がある」と話していたという。

(2026年9月30日放送分より)

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