
投開票まで1カ月を切ったアメリカ中間選挙。大統領任期4年の中間に行われることから“大統領の通信簿”ともいわれる今回の選挙、上院は定数100議席のうち35議席が改選され、下院は435議席すべてが改選される。番組では上院選の激戦州の一つ、ミシガン州に注目。共和党からはトランプ大統領の盟友が出馬し、民主党からは“急進左派の新星”と呼ばれる候補と激突している。
ミシガン州でも“急進左派”台頭
まずは、激戦州であるミシガン州についてみていく。
ミシガン州はカナダと国境を接し、最大都市・デトロイトは「自動車の街」と呼ばれるなど、製造業が盛んだ。一方、さびついた工業地帯を意味する「ラストベルト」の一角でもあり、かつて重工業などで栄えた地域は現在、衰退している。
伝統的に民主党が強い州だったが、2016年の大統領選挙では共和党のトランプ氏が勝利した。2020年は民主党のバイデン氏、2024年は再びトランプ氏が勝利し、共和党と民主党の間で揺れ動く「スウィング・ステート」の一つになったともいわれる。
そのミシガン州から上院選に2人が出て戦う。
民主党からはアブドゥル・エルサイード候補(41)が立候補している。「急進左派の新星」とも言われ、エジプトからの移民を父に持つイスラム教徒で、公衆衛生の専門家だ。議員経験はないが、民主党の予備選で穏健派候補を僅差で破った。公約としては、国民皆保険制度の導入、富裕層・大企業への増税、イスラエルへの支援停止などを訴えている。
対する共和党のマイク・ロジャース候補(63)は、トランプ大統領の盟友として知られる。元FBI特別捜査官で、連邦下院議員を長く務めた。物価高対策としてのガソリン税引き下げや、国境管理・治安の強化などを主張する。
ウェブサイト「リアル・クリア・ポリティクス」による支持率の平均は、民主党のエルサイード候補が48%、共和党のロジャース候補が44.5%で、接戦となっている。
関税合戦の影響も直撃か
ミシガン州はトランプ関税の影響を大きく受けているという。関税政策の影響も選挙戦の焦点の一つだ。
デトロイトと川を挟んで近接するカナダ・ウィンザーでは、住民が互いに行き来して買い物や観光をするなど、実質的に一つの経済圏を形成している。ミシガン州にとってカナダは最大の輸出市場でもあるという。
去年3月、トランプ大統領はカナダからの輸入品に25%の追加関税を課し、今年8月には自動車など一部製品を対象に、さらに50%の追加関税をかけた。その結果、カナダからの輸入品が多いミシガン州では物価が高騰し、家計にも大きな影響が出ているという。
また、アメリカの自動車産業の中心地であるデトロイトでは、カナダからの部品代や原材料費が高くなり、製造コストの上昇が企業経営を圧迫している。アメリカ労働統計局によると、デトロイト都市圏の失業率は去年8月の4.7%から今年8月には5.7%に上昇した。
“急進左派”の躍進に一役
エルサイード候補を始め、中間選挙で勢いに乗る「急進左派」の候補を支えているのが、政治団体のDSA(アメリカ民主社会主義者)だ。
1982年に創立された政治団体で、国民皆保険制度の導入や富裕層への増税などを掲げ、「行き過ぎた資本主義の是正」を主張している。
DSAは2016年の民主党大統領選挙の予備選に出馬した「急進左派」のサンダース上院議員を支持し、注目された。
今年1月にはメンバーのマムダニ氏が、ニューヨーク市長に就任したことなどを追い風に規模を拡大。創立当初6000人ほどだったメンバーは、今年7月時点で約12万人になったという。
今年各地で行われた民主党の予備選では、DSAの支持や推薦を受けた候補が、現職や党内主流派の候補を破るケースも相次いだ。
アメリカのシンクタンクによると、DSAが推す候補282人のうち、地方議会の選挙を含めて123人が予備選を勝ち上がったという。
民主党が分裂?
一方、こうした急進左派の躍進は、民主党内で分裂を起こす要因にもなっているという。ニュースサイト「アクシオス」によると、その台頭に多くの民主党議員らが懸念を示し、内部分裂が起きているという。
ロイター通信によると、共和党は「急進左派」の候補を抱える民主党を「社会主義だ」「共産主義だ」と批判している。これに対し、地方議会の候補を含む穏健派などの民主党候補者60人が、無党派層の票が逃げる可能性を懸念し、「我々は資本主義者であり、社会主義者ではない」と宣言する誓約書に署名したという。
党内の路線対立が指摘される中、先月22日には民主党の穏健派であるハリス前副大統領が、「急進左派」とされるエルサイード候補の応援演説を行った。AP通信によると、エルサイード候補はハリス氏の訪問について「党の結束を図るための取り組みだ」と語ったという。
(2026年10月5日放送分より)
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