
沖縄県那覇市のホテルで女性が殺害された事件で、5日に送検された容疑者はアメリカ海兵隊、普天間基地に所属する20歳の隊員です。被害女性の首には絞められた痕が残っていたことが分かりました。政府や沖縄県は在日米軍に対し、厳重に抗議しています。
【画像】「米兵の凶悪犯罪増加」沖縄・強盗殺人容疑で米兵逮捕 被害女性に首絞められた痕
被害女性の首に絞められた痕
所信表明に先立ち、この事件に言及していました。

高市早苗総理大臣
「このような凶悪事件の発生は極めて遺憾であり、日本政府として米側に強く抗議するとともに、捜査への全面的な協力、米軍関係者の綱紀粛正と、事件の再発防止の徹底を強く求めた」

強盗殺人の疑いで逮捕されたのは、普天間基地に所属するアメリカ海兵隊の上等兵デビン・ジェイコブ・バラード容疑者(20)です。

3日、那覇市にあるホテルでのこと。チェックアウトの時刻を過ぎても客が出てこないので、従業員が部屋を確認すると、女性が倒れていました。屋宜杏奈さん(39)の死因は窒息死で、首にはひものような物で絞められた痕があったことが、捜査関係者への取材で分かりました。
所村武蔵
「現場となったホテルは国際通りから歩いて約15分の距離で、ビーチの近くです。周辺の犯カメラには、屋宜さんのバッグを持ったバラード容疑者とみられる男が、1人でホテルから出てくる様子が映っていました」

屋宜さんのリュックや財布は、すぐ側の公園に捨てられていました。
事件当時を知る人
「バッグか何かが捨てられていたということで、被害者のものじゃないかと調べていたと思う。パトカー5~6台は見えていた。10人以上は来ていたと思う」

バラード容疑者が見つかったのは4日の夜。現場から20キロほど離れた沖縄市の歓楽街を1人で歩いていました。警察官が声をかけたのは、スキンヘッドに両腕のタトゥーという犯人の特徴と似ていたから。
逃走する男を目撃
(Q.男は逃げて警察が追いかけていた)
「そう。走って逃げた。警察3台、パトカー」
国や沖縄県が米軍に厳重抗議

警察は署まで任意同行を求め、所要の捜査を経て、緊急逮捕しました。この事件は米軍の公務とは関係がなく、基地の外で警察が容疑者を確保した形です。日米地位協定による捜査への支障はなく、日本の国内法に基づいて刑事手続きが進められます。
就任したばかりの古謝知事は、在沖縄米軍のトップを呼び出しました。

沖縄県 古謝玄太知事
「県および那覇市としては、事件が起こるたびに米軍に再発防止を求めているものの、このような事件が再び起きたことは、米軍の綱紀粛正・人権教育等が全く機能していないと言わざるを得ない」

在日米軍沖縄地域調整官 ベンジャミン・ワトソン中将
「軍関係者には公私を問わず、最高水準の規律を徹底させます。沖縄の皆様の信頼を得られるよう努めてまいります」
日本の外務省も抗議していて、アメリカのジョージ・グラス駐日大使はSNSにこう投稿しました。

グラス駐日大使(SNSから)
「捜査に全面的に協力することを約束します」
事件の報道はアメリカでも。

CNN ハナコ・モンゴメリー特派員
「事件を機に日本で怒りが噴出していて、高市総理もアメリカに異例の抗議を申し入れた。捜査への全面協力、軍関係者の綱紀粛正、再発防止の徹底を求めている」
亡くなった屋宜さんと容疑者との関係は捜査中で、明らかにされていません。警察の調べにバラード容疑者は「私は知りません」と容疑を否認しているということです。
米兵の凶悪犯罪 背景と対策は?
日米の安全保障協力の強化という“掛け声”の裏で、米軍関係者による市民への犯罪は後を絶たない状況です。

沖縄県警によると、摘発件数は、イラク戦争が起きた2003年をピークに減少傾向にありましたが、2019年以降、再び上昇に転じ、2025年は101件と、22年ぶりに100件を超えました。また、強盗や性暴力などの『凶悪犯罪』についても2024年に8件と、過去10年で最多です。
2020年以降だけを見ても様々な犯罪が起きています。
2021年10月:米海兵隊員が女性に暴行しけがさせる
2023年12月:米空軍兵が16歳未満の女性を誘拐・暴行
2024年05月:米海兵隊員が女性に暴行しけがさせる
2026年10月:米海兵隊員が女性殺害の疑いで逮捕
米軍基地は沖縄以外にもありますが、2025年に起きた事件を見てみると、圧倒的に沖縄に集中しています。

【都道府県別検挙数(警察庁・2025年)】
沖縄県:101件
神奈川県:16件
山口県:11件
東京(警視庁管内):9件
広島県:4件
福岡県:4件
青森県:2件
その他:2件
基地問題に詳しい、沖縄国際大学の前泊博盛教授に聞きました。

沖縄国際大学 前泊博盛教授
「米国防総省によると、2011年頃までに世界で3000件ほどだった米軍関係者による性犯罪が、2022年には9000件近くにまで激増し、ここ数年高止まりしている。米軍の組織そのものが、米兵らの性犯罪への抑止力を発揮できていない可能性がある」
(Q.全国の米軍基地の7割が沖縄に集中しているという現状が根底にあると思いますが、これまで取られてきた対策は十分でしたか)
いくつか対策は取られてきました。

【リバティー制度】
2012年の事件がきっかけで導入され、2024年に強化。
午前1~5時の基地外での飲酒や酒類提供店への入店を規制。
憲兵らによる歓楽街でのパトロールの強化
【フォーラム発足】
米軍、沖縄県、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所、沖縄県警などの関係機関が、刑法犯の発生防止などについて協議・議論する場が設けられました。
しかし、こうした対策をとっても今回の犯罪は防げませんでした。
沖縄国際大学 前泊博盛教授
「米兵の凶悪事件には、基地外への長期の外出禁止令など“具体的で重いペナルティー”をアメリカ側に科すなど、日本政府として米側に強い姿勢で臨む必要がある」
