
近年、闇バイトや特殊詐欺で逮捕・検挙される人の「低年齢化」が顕著になり、少年院に収容される人数も増加傾向だという。その現状を知るため、番組は多摩少年院を取材した。
寮すべてが定員オーバー
午前7時。起床を告げる声が、寮に響く。
在院する少年
「右へならえ!」
東京・八王子市の多摩少年院。ここで暮らす少年たちの朝だ。
少年院は、家庭裁判所の審判で送られてきた少年たちが、犯してしまった罪と向き合い、社会復帰に向けた教育や支援を受ける施設だ。
ここ多摩少年院では、関東近県1都10県から、おおむね16歳5カ月以上の少年を受け入れている。
毎朝、繰り返される食事の風景。ここに今、少年院が抱えるある問題があった。
本来食事はこちらで一堂に会してとるが、現在定員オーバーのため隣の部屋も使わざるを得ない状況となっている。
4年前、多摩少年院の平均収容人数は77人だったが、取材した日(9月17日)は150人と倍近くになっている。
現在運用されている寮は4棟あるが、そのすべてが、定員オーバーだという。
この寮では、本来の定員28人に対し、取材した日に生活していた少年は41人もいた。
各部屋の定員は4人だが、現在こちらの部屋では6人が集団生活を送っていて、ギリギリのスペースとなっている。
これは多摩少年院だけに限った話ではない。去年、全国の少年院に新たに収容された少年などは2044人。3年連続の増加となっている。
多摩少年院 鴛田教育首席
「(Q.増加原因として考えられること)あくまで勤務するなかで感じていることにはなりますが、犯罪に対する心理的なハードル・罪悪感などがすごく低下していると感じております」
「(Q.どういう非行名が多いか)従前の窃盗等に加えて、詐欺関係の事案というのは増えていると思っております」
全国で、男子の入院者に占める詐欺の割合は、2000年の0.4%から、2024年には9.9%に増加。およそ25倍となっている。
また、去年、多摩少年院に収容された少年の非行名を見ると、詐欺は18%で窃盗に次いで多い。
被害総額は数千万円
少年たちは、なぜ詐欺に手を染めたのか。特殊詐欺に関わったという少年に話を聞いた。
特殊詐欺に関わった少年
「(Q.きっかけ)先輩がやっていて稼げそうだし、いいなと思って。お金には困ってなかったんですけど、遊びたいなと思って。自由が欲しくて、そのころは」
「(Q.どういう事件を起こしたのか)僕は被害者の方の家に行って、通帳とかキャッシュカードをだまし取ったり。銀行とかATMで(現金を)下ろしたりしました」
トクリュウによる特殊詐欺に自ら加わった少年は、キャッシュカードなどをだまし取り、現金を引き出す役割だったという。その手口は?
特殊詐欺に関わった少年
「宅配業者とか郵便配達員を装って『○○から依頼されて預かりにきました』みたいな」
「(Q.それはいきなり訪ねていったのか)掛け子が前々に電話していて、そこから自分が来ることを伝えてあった。丁寧に話してうまく巧妙にだまして受け取りました」
最初の犯行から逮捕までの期間は2カ月ほどで、自分が関わった詐欺の被害総額は数千万円にも上るという。
特殊詐欺に関わった少年
「(Q.罪悪感は)最初は感じたんですけど、申し訳ないなと思っていたんですけど、やっていくうちに薄れていって。『だまされるほうが悪いでしょ』とか思って」
きっかけとなった先輩が逮捕された後、自身も逮捕されることになった少年。今は、二度と罪を犯さないと心に決めているという。
少年「人間じゃない」
また、もう一人、別の事犯で収容された少年に話を聞いていると…。
過去に詐欺で逮捕された少年
「1回目の逮捕の時は詐欺でした」
「(Q.特殊詐欺か)特殊詐欺です。インターネットを使った」
過去には、特殊詐欺にも手を染めていたと明かした。
過去に詐欺で逮捕された少年
「ゲームのアカウントを売買するサイトがあって、そのフィッシングサイトを作って、いろんな人のメールアドレスとかパスワードを盗んでそれで不正ログインして、お金をだまし取るという感じです。友人がやっていて『そういう詐欺があるよ』というのを聞いて、まねしてやりました」
グループには属さず、自ら詐欺を行っていたという。そして、この少年も。
過去に詐欺で逮捕された少年
「その時は全く罪悪感はありませんでした。だまされるほうが悪いという感じでした」
「(Q.被害額は)多分1000万円は超えているかもしれないですね」
「(Q.振り返って今はどう)やっていたことは本当…人間じゃないですね。必死こいて稼いだ金をそういう感じで盗んで申し訳ないと思います」
教官「かなり収容過多」
詐欺を働いた少年たちは、少年院で生活指導や職業指導を受け、自らの罪と向き合うようになったという。
更生に向けた日々のなかには、秋を感じさせるこんなひとコマが…。少年たちが10月に行われる運動会に向けてグラウンドの整備をしていた。
少年たちと向き合う教官は、少年院での指導についてこのように話す。
多摩少年院 森川専門官
「出院を間近にして運動会がある少年もいれば、入ってきて1カ月ぐらいで運動会だという少年もいるので、それぞれのモチベーションにすごくムラがあるというのが事実です」
「(Q.寮も定員オーバー状態だが、指導・教育していくうえで今の現状は)かなり収容過多な状態なので難しいなというのは日頃から感じています。一人一人とゆっくりひざを突き合わせて話す時間がなかなか持てないのが今の現状ですね」
コミュニケーション不足も
少年院を取材したテレビ朝日報道局の清田浩司デスクは、今回の取材を行い、次のように述べた。
「今、少年院に入っている少年は主に小学校高学年から中学生のころにコロナ禍だった世代。人と直接コミュニケーションする機会が減り、対人関係が苦手な少年が増加している印象を受けた」
「その影響からかSNSとしか向き合わず特殊詐欺や薬物に手を出してしまうなど、コロナ禍の影響で少年院に入るケースも増えているのかもしれない」
(2026年10月28日放送分より)
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