
中間選挙が1週間後に迫ったアメリカでも、イスラエルの総選挙が大きく取り上げられていて「勝者不在の選挙だった」と伝えています。イスラエルを一貫して支持してきたトランプ大統領ですが、それは一体なぜなのか。そのカギを握る“キリスト教右派”と呼ばれる支持者を取材しました。
【画像】イスラエル支持の“背景”に…トランプ氏を支える“宗教勢力”の熱気と信念
“敬虔な支持者”の熱気と信念
南部テキサス州で行われたトランプ集会は定員超過。敬虔なクリスチャンが多い土地柄か、参加者の中には…。

共和党支持者
(Q.そのシャツは?)
「イエスとアメリカのシンボルです」
(Q.シャツのテーマは?)
「アメリカ、神、救世主イエスだね」
共和党支持者
「イエスは私の救世主。トランプは私の大統領」
(Q.Tシャツの意味からすると、今の大統領は神に選ばれたと?)
「そうです」

共和党支持者
「信仰が何より大事だからこそ、共和党候補に投票してきました」
アメリカにおいて宗教と政治を切り離すことはできません。その最前線を訪ねました。
信者が“草の根選挙活動”
テキサス州では今、共和党が苦戦していると伝えられています。選挙活動の準備は、日が昇る前から始まっていました。まずは、お祈りから。

共和党ボランティア
「神よ。私たちの街・州・国を見守ってください。私たちに寄り添い、有権者に誠意をもって真実を伝えられるようお導きください」
共和党ボランティア
「信仰がなければ憲法は機能しません」

政治活動は信仰の一部でもあります。
所村武蔵アナウンサー
「ダラス近郊の住宅街で、共和党のボランティアの方々が、支持を求めて戸別訪問を行っています。1軒1軒、念入りに行っています」
共和党ボランティア
「テキサス州共和党女性連盟です。投票を呼び掛けています。特に気になる問題は?」
女性
「やっぱり家族関連ですね。子どもとか学校とか」
共和党ボランティア
「特に気になる問題は?」
女性
「色々あるけど、信仰に関することかしら」

時にはきつい一言も。

男性
「私はこれまでずっと保守派ですが、正直、最近の出来事で疑問を感じることが増えました。あの戦争だけは納得できません」
(Q.中間選挙に期待を寄せていると思いますが…)
「これまで以上に無党派寄りになっています」
とにかく有権者の声を聞き、なぜ共和党候補がいいのかを説いて回ります。

共和党ボランティア
「私はカトリックで、彼女はバプテスト。キリスト教でも別の宗派です」
(Q.信仰と政治には何らかの結びつきが?)
「もちろんです」
(Q.と言うと?)
「生活の一部である大事な信仰を奪われたくないんです」
米国福音派と政権の“蜜月”
全人口の6割を超える2億2000万人がキリスト教徒のアメリカ。中でもプロテスタントの福音派は最大の勢力で、政治とも密接な関係を築いてきました。聖書を信仰と教義の“最高権威”と位置付け、トランプ大統領の岩盤支持層でもあります。

アメリカ トランプ大統領
「私は歴史上、キリスト教徒から最も多くの票を得ている。福音派の票も、キリスト教徒の票もだ」

行ってきたキリスト教右派を重視する主な政策といえば、人工妊娠中絶の規制強化、『信仰局』の設置、保守派の最高裁判事任命、性別を『男女2つ』と認定などがあります。

アメリカの福音派の政治的な影響力は国内政策にとどまりません。イスラエルをめぐる外交にも表れています。イランへの軍事攻撃。攻撃開始後、大統領執務室には福音派の指導者たちが集まり、トランプ大統領のために祈りました。
アメリカ トランプ大統領
「福音派やキリスト教徒は、ユダヤ人以上にイスラエルが好きなのでは」
なぜアメリカの福音派の人たちは、ここまでイスラエルを支持するのでしょうか。その背景にあるものとは。
イスラエルは“特別な存在”
エルサレムにも活動拠点を持つ福音派の団体。イスラエルを特別な存在と考える理由について、聖書の一節を引き合いに出し、このように主張します。

信者
「神はイスラエルと最初に契約を結び、アブラハムにこう言います。イスラエルを祝福すれば祝福され、呪えば呪われるだろう」

聖書の文言を極めて重視する福音派。旧約聖書でイスラエルが神聖視されていることから、現代のイスラエルも強く支持する人がいます。
また、福音派の中でもより急進的とされる団体『Glory of Zion International』は、預言や聖霊の働きを重視していました。
福音派『Glory of Zion International』チャック・ピアース代表
「中間選挙をめぐる全米の動きに目を向けると、明らかなことがある。『正義の聖霊』に背く者たちがいることだ」
施設内にはイスラエルとの連帯を示す庭園が造られていました。

福音派『Glory of Zion International』チャック・ピアース代表
「私たちは神が最初に作られた国家イスラエルに寄り添っています。庭園はイスラエルが花開いた時の姿を表しています。主は私に仰いました。『教会より先にイスラエルをたたえなさい』と。今のアメリカを支えているのは、イスラエルとの関係だと思います」
(Q.トランプ大統領は神に選ばれたと?)
「トランプ大統領はまるで聖書に登場するキュロス王です」

旧約聖書の中で、キュロス王は神の意志によって、捕虜だったユダヤ人を解放した人物として称えられています。

福音派『Glory of Zion International』チャック・ピアース代表
(Q.神に計画があるのだとしたら、トランプ大統領の役割は?)
「イランに対して果たしている役割も神の計画だと思います。聖書にもありますが、イランが世界に及ぼす悪影響を誰かが止めなければならない。神はトランプ氏のような大胆な人物を用いて、イランを止めさせるのです」
イラン戦争への姿勢に“揺らぎ”

(Q.イスラエルの選挙結果は、ネタニヤフ氏が率いる与党が半数を割り込む状況になっています。キリスト教右派と呼ばれる人たちは、どのように受け止めていますか)
所村武蔵アナウンサー
「トランプ大統領の集会にきた支持者を取材すると『選挙結果にかかわらず、アメリカとイスラエルの親密な関係を今後も重視すべきだ』という声がほとんどでした。敬虔な福音派の信者だという支持者の女性は『キリスト教の信仰に基づき、私たちがイスラエルを支えることは使命なんだ』とも話していました。また、別の信者の女性は『これまでネタニヤフ首相が、トランプ大統領と良い関係を築いてきたので、万が一、イスラエルで政権交代が起きるとすれば、関係が崩れてしまうのではないか恐れている』と不安を口にしていました」

(Q.トランプ大統領は、イランへの新たな軍事行動に今後踏み切る可能性をちらつかせてきましたが、そうした姿勢について、どのように考えていますか)
所村武蔵アナウンサー
「取材をした支持者の中には、追加の爆撃を含む、より強硬な手段に踏み切ることを肯定的に捉える人もいました。また、選挙活動にボランティアで参加していたキリスト教徒右派の女性は『戦争などは望んでいないが、イランとの戦いは戦争ではなく、小競り合いなんだ』とも話していました。ただ、取材中に『これ以上、イランとの戦争を続けるべきか』という問いに対して『それについてはコメントしたくない』と答える人が少なからずいたことは確かです。戦争の長期化が懸念される中、キリスト教右派と呼ばれる支持者の間でも揺らぎが出始めているように感じました」
