
間もなく紅葉シーズンを迎える千葉県の養老渓谷は、台風25号の影響で今も鉄道が寸断しています。紅葉の温泉街ににぎわいを呼び戻そうと、再び営業を始めた温泉宿に密着しました。
【画像】1日乗車券と沿線の飲食店で使える1000円分の食事券がついた「小湊鉄道たべあるきっぷ」
紅葉見頃の時期に…
黒湯の宿 喜代元 秋葉保雄代表
「いらっしゃいませ。大阪からお越しですか?遠い所から、ありがとうございます」
台風25号の被害を受けたこちらの旅館。この日、1カ月ぶりに営業再開の日を迎えました。
秋葉代表
「お客様の顔見ると、やっぱりうれしいですね。やっと、これで動き出すんだなと、本当に実感しているところです」
本格的な紅葉シーズンを前に観光客を呼び戻そうと、地域ぐるみで動き出しています。
“関東で最も遅い”紅葉スポットの一つとして知られる千葉県の養老渓谷。秋になると、レトロな雰囲気で人気を集める小湊鐵道のトロッコ列車や、渓谷を彩るモミジを見ようと、多くの観光客が集まります。
今月下旬ごろに見頃を迎えると予想され、ライトアップも予定されていますが、今年は…。
秋葉代表
「予約サイトを日々見ているんですけども、予約の動き出しが今のところ鈍いかなという感じですね」
1967年創業の温泉旅館「喜代元」。養老渓谷独特の「黒湯」と呼ばれる温泉や、地元の食材などを使った料理が人気です。
例年なら、この時期には予約でいっぱいになりますが…。
秋葉代表
「土曜日は、今のところ半分くらいかなという感じですね。11月、紅葉シーズンの土曜日というのはバンバン(予約が)入ってくる状況なんですけれども、まだ動きがないという状況で。千葉の紅葉を見に行きたいんだけど安心して行けるのかとか、そういう問い合わせがありますね」
原因は、9月のシルバーウィークを襲った台風25号。旅館の目の前でも、土砂崩れが起こりました。
被害の印象が復興のネックに
9月のシルバーウィークを襲った台風25号。旅館のすぐ近くでも被害が…。
養老渓谷の主要な道路が通行止めに。近くを走る唯一の鉄道「小湊鐵道」はいまだに、最寄りの駅が運休したままで、観光の足にも影響が出ています。
旅館「喜代元」でも、長引いた停電で冷凍庫の食材に被害が出ました。
秋葉代表
「冷凍品に関しては全部カラという状況。(食材は)廃棄しました。お肉とイセエビやキンメダイとか、そういう食材をシルバーウィーク用に切らさないようにとっておいた矢先に、お客さんもキャンセルになって」
秋葉さんは「鉄道の運休」と「千葉県が被害を受けた」というイメージが、養老渓谷の復興のネックになっていると話します。
秋葉代表
「やっぱり致命的なのは、小湊鐵道が養老渓谷まで全く運行されていないところは紅葉の時期、あるいはハイキング客の客層からいうと、痛手かなというふうに思います。安全に、この辺ルートを通って来られますよとかも、お客様に伝えていかないといけないのかなと思っています」
旅館組合も集客策を協議
先月16日、紅葉シーズンを前にして養老渓谷にある旅館の代表らが集まり、客を呼び戻すための話し合いが行われました。
養老渓谷旅館組合 鈴木祥之組合長
「前年度と比べて体感でもいいし、データでもいいんだけど、(予約は)どうかな。うちは半分だよ」
参加者
「(11月)下旬でしょ?全然半分」
黒湯の宿 喜代元 秋葉代表
「鉄道も通れないし、道路も遠回りしなきゃいけないし、日帰り客が入り込みが少ないと、やっぱり飲食店だとかが集客がね、難しくなってくる」
旅館組合では、紅葉シーズンの営業が例年通り行われることなど、発信を強化していくことを決めました。
1000円分の食事券付き乗車券
シーズンには全長100メートルにわたって流れ落ちる代表的な景勝地「粟又の滝」がモミジで色づくほか、近くにある県内の食材を使ったジェラート店も人気です。
千葉県の観光物産協会でも地域と連携して、車で回れる観光ルートを発信して名所に人を呼び込みます。
養老渓谷を走る小湊鐵道でも、復興のためのさまざまな取り組みが始まりました。
線路の下の地面が崩れるなど被害が出た影響で、現在運行している区域は始発駅から上総牛久駅までと路線の半分ほどです。
小湊鐵道では、週末限定で養老渓谷駅まで行ける代行バスを走らせることにしました。
さらに、目玉として始めたのが「小湊鉄道たべあるきっぷ」。鉄道の1日乗車券と沿線の飲食店で使える1000円分の食事券がついたお得なチケットです。
利用客(30代)
「(Q.きょうのお目当ては?)鉄道に乗って『応援乗車』。少しでもお金を落とすのが目的ですね」
利用客(10代)
「電車に乗りながら、風景を楽しむというか。その風景を写真に収める」
食事券で地域を応援
こちらは「たべあるきっぷ」の協力店。そばと天ぷらにごはんも付いた、お得なセットメニューが人気です。
店にはおいしいそばを目当てにした、チケットの利用者の姿がありました。
利用客(70代)
「1000円の食事券もついているので、本当に良いと思いますね。普段、車で移動することが多いんですけれども、たまには(鉄道に)乗ってみて、新しい発見ができます」
協力店の店長は、チケットで地域が活性化することに期待しています。
そば処 二葉 秋葉俊太店長
「始まって2週間くらいなんですけど、32組くらいのお客様が来られています。復興のために乗ってくれるお客さんとか、普段来られないお客さんが足をのばしてきていただいて、それで地域活性化して、復興につなげていければいいなと思っています」
小湊鐵道は線路の復旧を進め、最終的にはチケットを養老渓谷にまで広げることを目指しています。
小湊鐵道 営業販促室 山崎俊郎室長
「100年以上の歴史のある路線でして、地域の方々と一体となって運用してきたという背景がある。(地域の方々と)何とかお互いに頑張ろうと声をかけ合って、このような切符の販売に至っています。ちょっとずつ復旧してですね、全部の沿線の店舗さんが参加していただいて、初めてこの切符が完成すると思っていますので。一日も早く復旧させて、この沿線全体でこの切符というのを盛り上げていければいいなと思います」
1カ月ぶり…再開の日
大雨の被害を受けた旅館「喜代元」。館内の入念な清掃が行われていました。営業再開の日が迫ってきたのです。
宿泊客を迎え入れるために、自慢の温泉には名物「黒湯」がはられます。
秋葉代表
「やっぱり、こういうお風呂の状態を見た時に、いよいよ元に戻るんだなって感じにはなりましたね。黒湯は本当に養老渓谷の売りなので。紅葉の時期に入ると窓側の紅葉もライトアップして、お風呂からお客様にも楽しんでいただこうと思っているので。今年は赤くきれいになってくれるといいなと思っています」
先月30日、ついに1カ月ぶりの再開の日を迎えました。
厨房(ちゅうぼう)では宿泊客が来るのを前に、夕食の準備が進みます。台風の後、空になっていた冷凍庫にも。
「きょうオープンになりますので、食材の種類は必要最低限を今そろえている。きちっとした形で、営業再開できると思っています」
午後5時、再開してから初めての客がチェックインしました。
「いらっしゃいませ。大阪からお越しですか?遠い所から、ありがとうございます」
この日の客は、大阪からの5人組。温泉や友人たちとの食事を楽しみに来ました。
「お客様の顔見ると、やっぱりうれしいですね」
本格的な紅葉シーズンを目前に控えた養老渓谷。社長の秋葉さんは、災害があった時だからこそ、地域をあげて魅力をアピールしていきたいと話します。
「紅葉シーズンでも、人出てくるのか危惧するところがあるので。心配するよりも、こういう時だからこそ、うちの店おいしいんだから食べに来てよとか、流れを引き寄せるというか。そういうアピールをすると、(地域が)活気づく要素になる。災害は受けたんですけども、自然はきっちりと紅葉していますので、ぜひ養老渓谷に足を踏み入れていただきたいなと思っています」
(「グッド!モーニング」2026年11月3日放送分より)
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