
民主党が上下両院で多数派となったアメリカ。その原動力の一つが、暮らしに苦しむ国民の切実な声でした。
【画像】“残り2年”世界はどうなる?日本への影響は?米中間選挙で共和党“歴史的敗北”

無党派
「一見、持ちこたえているようで、水面ぎりぎりにいるだけです」
選挙結果は、日本の市場にも波及しています。

荒井理咲子アナウンサー
「民主党の勝利を受け、AI規制が強まるとの警戒感が高まり、AI半導体関連株を中心に、4日の平均株価は、一時、3000円下げました。ただ、トランプ大統領が民主党に祝意を表した結果、今後の不透明感が払しょくされ、下げ幅は縮小しました」

中国とのAIの覇権争い真っ只中にあるアメリカでは、AIデータセンターの建設ラッシュです。しかし、データセンターは、大量の水と電気を使うため、環境破壊の観点から、民主党支持者を中心に反対運動が起きています。
反対派
「自分たちの頭を使う力を奪うコンピューター技術のために、超富裕層にお金を払う必要が本当にある?私はそうは思わない」

今回、認可を出す各自治体の選挙でも、民主党が大勝しているため、規制が進む可能性が高まっています。

日本経済への影響は。街の声です。
「トランプさんのことだから、すんなりとは行かないと思う。アメリカ経済は混乱すると思います。(Q.日本の経済にはどんな影響が)AIとか半導体の株価は下がってくるので、日本も経済が混乱するのかな。影響はあると思います」
「為替が気になるので、どうなるのかな。仕事にも思いっきり関係してくる」
今後の大きな懸念は、イラン情勢です。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「今までトランプ氏がやってきたことを、レガシーとして、遺産として将来に残したいと考えた時に、イラン攻撃をかなり激化させる可能性が短期的には出てくると思う」

短期的でも、戦闘が激化した場合、原油価格は上がり、日本の経済にとっては打撃となります。その後、停戦ないし、収束となれば、経済は好転するかもしれません。ただ、イラン戦争に関係なく、民主党の勝利は、円安になっていく可能性が指摘されています。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「共和党議会は、財政を拡張するという政策を取ろうとしている。これは、物価高対策の一環。民主党は、財政悪化に歯止めをかける方向を重視。財政の悪化リスクが小さくなるのは、通貨高要因と考えられる。『ドル高・円安』ということになるのでは」
財政赤字の拡大に歯止めがかかれば、アメリカ財政への信頼が回復します。そうなると、ドルが買われ、円が売られる可能性が高まるというものです。

ただ、円安が続けば、輸入物価は高止まりし、家計や企業の負担がさらに重くなりかねません。

岐阜県飛騨市にある酒蔵でも、中間選挙は一大関心事でした。

渡辺酒造店 渡辺久憲社長
「アメリカは、日本酒にとって重要な輸出国。特に、関税政策に強い関心を持っている。岐阜の山奥の酒蔵にとっても、今回の中間選挙は身近な話題。関税政策の影響で、アメリカ国内での販売価格が上がった。アメリカの方にも少し高価な物となっている。ただ、アメリカの富裕層向けのお酒は、非常に堅調に伸びている」
この2年の政治情勢を、企業努力で乗り切りました。
民主党が勝ったことで、変化はあるのでしょうか。

渡辺酒造店 渡辺久憲社長
「日本酒の品質と文化をしっかりと届けていきたい。その姿勢には変わりはありません」


エンジンの部品で世界トップクラスの『大同メタル工業』。“トランプ関税”に関しては、10%の関税を当初は自社で負担し、その後、取引先との値上げ交渉をせざるを得ませんでした。それ故か、今回のニュースは“朗報”としています。

大同メタル工業 判治誠吾会長
「民主党が勝つ。上院も下院も多数になる。少しトランプ大統領に対して、ブレーキをかけなきゃいかん。やっぱり自由経済。良いものを安く、早く、安く、これが基本。グローバル経済を、もう一回、進めていかないと。『保護主義はだめだ』という考え」
アジア諸国への影響は

アメリカの政治に詳しい、上智大学の前嶋和弘教授に話を聞きます。
(Q.トランプ政権はイランに対して今後、どう出るとみますか)
上智大学 前嶋和弘教授
「トランプ大統領の1番の応援団はキリスト教の福音派、イスラエルを応援する人たちです。そう考えていくと、いずれはイランを攻撃する動きは常に出てくると思います。イスラエルの選挙結果を受けても、ネタニヤフ大統領が辞める感じは全然見えない。やはり対イラン戦争を続ける、イスラエルのネタニヤフ大統領と一緒に、そしてバックには福音派がいるという感じだと思います。さらに、イランとの戦争はアメリカ全体で3割ぐらいしか支持がありませんが、共和党支持者の7割5~6分がまだ応援している戦争ですので、簡単に終えることはできない。これまで通り、イラン側がホルムズ海峡を押さえながら湾岸諸国を攻撃してくるような、泥沼の状況が恐らく続いていくのでは」
(Q.今回の中間選挙の結果はアジア、特に日本にはどういった影響が考えられますか)
上智大学 前嶋和弘教授
「トランプ大統領のこれまでの動きを見ると、1つ明らかになるのは、24年の選挙戦で言ったことを1つ1つやっている。たまたま残っているのがアジアです。北朝鮮の金正恩総書記と話し合って、下手をしたら核保有を認めるかもしれない。日本の安全保障環境大きく変わる、さらに日本・韓国に関しては軍事費・防衛費を上げてくれと。数値目標もべらぼうな数字が出てくるかもしれない。そう考えると、アジアの安全保障環境が大きく変わっていく可能性はあります。トランプ政権が日本にとって大きな課題を与えていく。我々にとっては、中間選挙の後の方が、アジアにとっては大変な時代が来るかもしれません」
(Q.例えば北朝鮮との首脳会談は、トランプ大統領としては残り2年でレガシーとして残したい1つ。日本などの同盟国の頭越しにやる可能性がありますか)
上智大学 前嶋和弘教授
「可能性が高いです。トランプ大統領は『在韓米軍は金食い虫だ』と言っている。『米韓合同軍事演習なんかやめろ』と言っていて、実際少なくなっている。そして、日米安保に関してもかなり否定的な言葉が出てくるので、日本政府としてはうまく話して、今の東アジアの現状を変えないようにと。日本の外交にとっての正念場が、これから来るようにも見えます」
“ポスト・トランプ”有力候補は
(Q.“ポストトランプ”についても取り沙汰されています。名前が挙がっているバンス副大統領やルビオ国務長官はなり得ますか)

上智大学 前嶋和弘教授
「共和党側の選挙コンサルタントとかに聞くと、バンス副大統領の目がちょっと薄くなったのではないかと。バンス副大統領はMAGAの正当な後継者でしたが、勢いが落ちて、共和党全体を包括できるのはルビオ国務長官ではないかという見方をする人がいます。ただこれも最終的にトランプ離れがどれだけ起きるか。意外と強かったら“まだまだバンス副大統領だよ”となるかもしれません」
(Q.MAGA派の思いは引き継がれていきますか)
上智大学 前嶋和弘教授
「共和党支持者がまだこんなにトランプ大統領を応援してるわけです。だからここを無視できない。ここを無視して次の候補みたいなことにはなかなかならない。2016年の選挙が終わった後から、ずっとトランプ離れが起こると思っていますが、まだ起きていないので、どうなるかです」
(Q.民主党側では、テキサス州で勝ったタラリコ氏や、前の大統領選の候補だったハリス前副大統領がいます。ポストトランプとしてはどうですか)

上智大学 前嶋和弘教授
「世論調査だと、やっぱりハリス氏。まだあれは不完全燃焼だったと、予備選をやらずに出てきたから弱々しく見えたけど、今回最初からやったら意外といけるかもしれないと。大統領選挙は成長物語なので、ハリス氏の成長物語をもう1回見たいという声も必ずあります。一方、タラリコ氏の場合は、テキサス州の人口が多い。カリフォルニアが1番、2番がテキサス、3番目がフロリダで、4番目がニューヨーク。民主党が2番目の所、選挙人の40を、タラリコ氏が出れば取れるかもしれない。大統領選挙の戦い方が変わっていくとすると、タラリコ氏に対する期待もとても高い。もう1人の穏健派のオソフ氏は今回、ジョージア州で横綱相撲で勝ちました。今回、ディベートで『あなたは次に大統領選挙に出るんでしょう。上院議員は辞めるんでしょう』と対立候補から言われていました。話だけ聞くと本当に、タラリコ氏よりもうまい感じがします。今回の選挙を受けた有力候補として名前が挙がってくると思います」
