先月、神奈川県相模原市の障がい者施設で入所者19人が殺害されるという事件が起き、衝撃をよんだ。障がい者とともに生きる社会について、広く議論がなされているところだが、17日放送の報道番組「AbemaPrime」(AbemaTV)では、雇用問題について議論が交わされた。

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■障がい者たちの雇用問題。日本と海外の違い

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番組では、東京・新宿にある知的障がいのある人たちが働くカフェレストラン「おんぶらーじゅ」での取材VTRも紹介。障がい者支援施設に併設された同店は、重い知的障がいがある10代~40代の男女が働いている。

同店で働く、ダウン症の寺田光太郎さんは、配膳係としてホール業務に従事。「食事終わりにお客さんとたまに話す瞬間が楽しい」と語る。

同店を運営する、障がい者支援施設「シャロームみなみ風」の施設長・廣川美也子さんは、寺田さんは、以前は(緊張して)肩が上がり気味で、表情も今ほど明るくなかったと振り返り、「失敗しても怒られることがないというのが分かってきて、肩の高さが下がってきて、今の笑顔は本当にうれしい笑顔。働くよろこびは私達と同じ」と話す。

■日本における障がい者の雇用は、海外に比べ遅れている

アメリカでは、1991年に障がい者を雇用する際に、特別視しないという法律が制定された。例えば目が不自由な人も通常の採用試験を受けられるよう、企業側が点字による試験を実施しないといけない。また、ヨーロッパの多くの国でも、障がい者が自立して働くための政策が充実している。

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海外歴の長い、お笑いコンビ・セクシーチョコレートのREINAは「海外とはまず意識が違う。日本は遅れていて、本来今さら議論するようなことでは無い」と語気を強め、「アメリカはボランティアに対しての意識も高く、触れ合う機会は自分で探せばいっぱいある。そしてそれをみんな自ら探している」と意識の違いを指摘する。

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精神的な障がいを持つ人へのピアサポーターとして活動をしながら、自身も障がいと向き合っている黒川氏も「(ベルギーは)障がい者の方、ひとりひとりに寄り添った支援をしている印象が強かった。日本は全体的な支援で、ひとりひとりまで行き届かない。ベルギーの場合だと、個人の可能性を引き出すようにしていて、それぞれのハンディキャップに合わせて対策を考える」と、ベルギーを視察した際の話を例に出し「印象的なのが、障がい者と呼ばないこと」とREINA氏同様、意識の違いを挙げた。

■理想は、「同じ場所で同じように過ごせる」社会


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BuzzFeed Japan編集長の古田大輔氏は、過去に視覚障がいを持った人物に取材した時の話を挙げる。

白杖をついているとアメリカでは「サポートはいるか?」と積極的に聞いてきたのに対し、日本では逆に遠慮してコミュニケーション自体を取ってこなかったという。「だから、知ることができないし、永遠にわからないまま。日本人の遠慮する文化が、壁を拡げてしまっている部分がある」と指摘する。

さらに古田氏は「障がいの議論で気になるのが、障がいがある人達も健常者の人たちと差がないという議論。正しい面もあるが、働くことが難しい人もいっぱいいるし、介助なければ動くことが出来ない人もいる。(障がいの議論では)介助がなければ動くことができない人が抜け落ちてしまっている。今回の植松容疑者の事件では、誰を殺すかというのを『より障がいが重い人を選んで殺した』ということ。健常者に近いとか、働けるかどうかだけじゃなく、『命があるだけで大切』だというのを議論することが大前提」と語気を強め「ひとつひとつの命が大切だ」と強調した。

最後に、黒川氏は今後の理想的な社会のあり方について、自身の思いを語った。

「理想なのは、同じテーブル、同じ教室で、一緒に暮らす、一緒に過ごす、一緒に話すということが当たり前になる。そういう社会になってくれればいいなと思います」(黒川氏)

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