AbemaTVの報道番組『AbemaPrime』は8月29日のオンエアをもって放送100回を迎えたが、この日は「大反省会SP」として「アベプラはテレビを超えられるか?」をテーマに議論が行われた。

企画テーマは“テレビを超えられるか”だが、同番組の視聴者数は多い時でおよそ26万というのが現状。この数字は、地上波のテレビの視聴率に換算すると、1%に満たない。今後テレビと並び、さらには超えていくためにどうすればいいのか、番組出演者たちが意見交換を行った。また、ネットテレビと地上波のテレビの違いについても、出演者それぞれが持論を展開した。

■テレビとネットで「ウケる」ものの違いとは?

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番組月曜コメンテーターの堀潤氏は、テレビとネットで「ウケる」ものの違いを説明。テレビは“から騒ぎ”“内輪受け”があり、制作者の側が選んだ「ファクト(事実)」を強制的に見せるが、その他を排除してきた。でもネットはある程度「こんなのどうですか?」という方向でアプローチし、訪れた意見をどんどん取り込んでいく場を作った方が面白いのでは、と提案した。

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月曜MCの村本大輔(ウーマンラッシュアワー)は「いろんなコーナーが番組にあってもいいとは思う。けれども、『ボケとして成立してへんやん!』という、雑な印象を受けるコーナーが『アベプラ』には見られる。なんかユルユルな気がしてて、それでいいっていうんやったら教えてほしいけど、ぼくはそれはどうかなと思う…」と言及。これに番組キャスターの小松靖アナ(テレビ朝日)は「テレビのスタンダードからすると、そこがまだ熟練されていない、経験・スキルがまだまだないということが多いのは事実です」と認めた。

■投資家・ブロガーの山本一郎氏が村本大輔のANNに切り込む

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「1回1回のテーマがあって、その専門家の人が来て、分からないなりにちゃんとリアクションをとって、一人ひとり見解を言う、意見がぶつかったりするっていうのは、多分面白いと思うんです。でも、それだとテレビとあまり変わらないわけで。じゃあウェブでやるからには何ができるんだっていう話のとき、反応があって、いろんな人からの投稿があって、そういうのを見ながらやっていきましょうっていう姿勢があれば、もうちょっと何かが出てくるんじゃないでしょうか。どこかで葉書を読まないラジオっていうのがあったんです。あれって、面白いのになんで受けなかったと思います?」(山本氏)

これは、村本が担当していた「オールナイトニッポン」について語っているのだが、村本は「あの番組は、実は数字もそこまで悪くなかった」といい、山本氏も「面白かったですよ! ああいうのをやったほうがいいと思うんです」と力を込める。これを受け、村本は、

「ぼくは穂川(果音)さんの天気コーナーとかは否定はしない。箸休め的なものがあってもいい。でも、2時間のなかでいろんなテーマをバーっとやって、1個1個のテーマを浅く喋ってしまうのが今の『アベプラ』の現状です。もう終わり? もう終わり? って薄い放送になってしまってっていう…。

結局『ポロリ』って大事だと思うんです。議論が白熱して、言っちゃいけないような『ポロリ』があるくらいが、ネット番組のおもしろいところじゃないのかなと思うんです。けど、それがちゃんとした計算式に乗ったままいってしまうから、『ポロリ』もないまま毎回終わってしまっているんじゃないかと」

と、地上波とネットの違いは「ポロリ」の有無ではと問題提起。これに、水曜MCの宮澤エマは「1つのことをディベートするとなると、10代、20代の子たちがついてこられなくなるのでは」とコメント。いろんなことを速報的に伝えるのか、1つのテーマに絞って討論するのか。それがまだ番組の方向性として固まっていないこと示唆しながら、

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「水曜日は『ワールドワイド』っていうテーマで、検索したけれどわからなかったことなどを、専門家の人を交えて話を伺うことを大事にしているけれども、たしかに緩急が激しくて…。それを見やすくするために、いままでテレビで見てきたスタイルをどこか取り入れてきたのかな」とコメントした。

■ネットは「ラジオ的」な発信なのかもしれない

ここで議論が紛糾。「10のうち、1、2くらいの理解の人にキチンと情報を伝えていきたい」という村本に対し、小籔は「それは難しい。理想論が多すぎ」と反対の立場をとった。

真っ二つに割れた意見に、山本氏は

「こういうテーマがあるってなると、みんながそれを検索して、(そういった状態から、次に)考えようというきっかけを作る番組にしたほうがいいでしょ、ということ。例えば政治の話なら2時間じゃ足りないですよ。1つのテーマでしっかり話をして、専門家の話を聞いて、自分で考えて、じゃあその先を検索してみようというきっかけにするのはアリだと思うんです。

(ただ)それはテレビの技法としてはやりつくされているので、じゃあそこをもっと視聴者に近いところで、ネットでやりましょうってなったら、もっとラジオ的なものになるのかもしれないし。いろんな視聴者の方からネタがくる、それに対して答えていくというような」と語った。

■テレビ的な目線を排除した、「ネットならではの目線」とは

こうした状況に、堀氏は「与える側」「与えられる側」という考え方がネットにはあると解説。

「パナマ文書はジャーナリスト集団が手に入れ、公開した。我々は検証しきれないので、関係者さんがいたらどんどん情報をくださいといった。

『テレビ的』な目線というのは、僕らは『知ってる人』で『向こうの人』である視聴者は『知らない人』という立ち位置でやっています。でも、ネットではそれをやめませんかということ。

ぼくらよりも知っている人が『向こう』にいっぱいいますよね。その人たちの持っているものとで一緒に作っていきませんかっていうことにしないと、いつまでたっても、上から目線の番組作りになってしまわないかという話になる。

Twitterでも、『あれおもしろい』というような感想コメントではなくて、『あの資料、こちらにもっといいのがありましたよ』というようなものが重要。そういう投稿があったときに、『これ面白いね』って思えるかどうか。

詳しいものというのはそれぞれ個人個人にあるんですよ。例えば子育てだったらぼくなんかより視聴者のお母さんの方が詳しいだろうし。『あなたが知っている、あなたのことを教えてください』というのを拾いたいんです」と、ネット番組の理想的な姿について、持論を述べた。

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