2日放送のAbemaTV「Abema Prime」では、絶滅が危惧される太平洋クロマグロ漁について特集を組んだ。
太平洋クロマグロは、高級すしネタとして人気だが、幼魚の乱獲などにより資源が激減。親の魚の資源量はピークだった1961年のおよそ16万トンから、2014年には、およそ1万7千トンと1割程度まで減っている。
「大間のマグロ」でも有名な、青森・大間漁協の島研一さんは「ここ何年かは、マグロの魚体も小さくなり、さらにマグロそのものの数量も減っている」と厳しい現状を明かす。その原因のひとつとして「まき網漁」を挙げ「まき網の漁師を悪く言うわけじゃないが、大きい物も小さいものも全部巻いちゃう(漁獲する)ので、影響はあると思う」と話す。
島さんによると、大間のマグロ量は「一本釣り」もしくは「はえ縄」で獲っており、「まき網だと、大間で獲れる量の1年分を、1~2回で獲ってしまう」という。「今は100kgちょっとのマグロしか揚がってこない。10~20年前では、今の時期でも200kgを超えるものがあった。型の大きいのが全然いないのは、これから成長するのを獲ってしまうから」と、まき網漁による影響を嘆く。
元・水産庁の参事官で、各国との漁業交渉の経験を持つ小松正之氏は「マグロの資源は、まき網で獲るようになっておかしくなった。イワシやサバ、アジなどを獲ってたが、獲れなくなってからマグロを獲るようになった。まき網のマグロ漁師からすれば、これしかないから粘る」と、同じくまき網漁による乱獲を問題視する。
東海大学海洋学部の教授・山田吉彦氏は、中国、台湾、韓国といった海外の沿岸国による乱獲が進んでいる状況も、水産資源の枯渇化につながっているという。特に中国は「“三無”漁船」と呼ばれる、違法操業の漁船が、正規の漁船の倍いるとのことで、「“三無”漁船」による乱獲が、さらなる深刻な事態を引き起こしているようだ。
漁業資源のあり方などについて消費者に情報発信を続ける、マグロ仲卸・鈴与の生田與克氏は、日本には漁業規制が必要だと訴えかける。「産卵魚を獲って、メジ(マグロの幼魚)まで獲っているんですよ。ノルウェーあたりでは、それを逃がす仕組みになっている。それを導入して、日本もやれば、まき網の悪口を言われなくていいんです」と語り「日本は漁業に関しては超後進国です」と強く非難した。