9月10日アメリカ・オハイオ州クリーブランドで開催された『UFC203』でデビュー戦を飾った元プロレス王者、CMパンクは、新鋭ミッキー・ガルに、1Rチョークスリーパーで惨敗した。
試合は余りにも一方的だった、デイナ・ホワイト代表の肝いりの選手とはいえ、今年プロデビューしたばかりの24歳のガル相手に、37歳のCMパンクは開始早々テイクダウンを奪われ、上から強力なパウンドの集中砲火を食らう。
金網際で固定され全く身動きのとれない状況で、肘攻撃、パスガードからフロントチョークと攻められ防戦一方のパンク。金網からのエスケイプにも失敗し、背後から頭部へのパウンド、そしてチョークスリーパーが完全にノドを捉えタップアウト。2分14秒あっけない幕切れとなった。
元WWEの世界王者の鳴り物入りの総合格闘技デビューであり、2014年末のUFC参戦表明から2年。
途中の怪我でデビューが遅れたものの、37歳のオールド・ルーキーのMMA挑戦は「The Evolution of Punk」というUFC公式のドキュメンタリーとして定期的にYouTube上に公開されるなど、強力なコンテンツとしても「おいしい存在」だったのは確かだ。
結果は、自身のプロレス王者ブランドも大きく失墜するようなCMパンクのオクタゴンデビューだったが、試合後のインタビューでの機知に富んだコメントは超一流だった。
「人生長く生きていたら大きなことを成し遂げたいと思うものだ。どんなことでもチャレンジしたい。結果はついてこなかったが、まだやめるわけじゃないよ。まずは応援してくれた皆んなと、戦ってくれたガルに感謝したい。必ず戻ってくる。今日は妻との結婚以来のガチ勝負だったよ。コーチや親や先生に言われた通りに何かする子供とは違う、俺は大人だからね。これから頑張る若者たちにも、絶対に自分を信じて頑張って欲しい。真の失敗は何もしないこと。」
とてつもなく弱かったCMパンクだが「何度倒れても立ち上がる」というプロレスラーらしい美学を体現する伏線を張り、敗者とは思えない爪あとを残したデビュー戦だった。「37歳の進化」はまだまだ続きそうだ。