韓国・朴槿恵大統領がスピーチ原稿の草案などの機密情報を旧来からの知人・崔順実氏(ドイツ在住韓国人女性)に漏洩した疑いで、謝罪をした。今回の件では、元々メッセージが少なくコミュニケーションが少ないとされていた朴氏の演説を、政府の関係者でもない知人が採点していたことで、「一般の人が大統領を操っていた」という印象を与えてしまい韓国国民はショックを受けている。
韓国の法律では、大統領府が持っておくべきものを外に出すのは違法行為である。大統領の任期は5年。朴氏の任期はあと1年少し残っている。しかし、大統領在任期間は刑事訴追はされないものの、大統領のままでいても支持率は上がらず、もはや朴政権はレームダック(死に体)と化している。
この件に関する韓国の反応について、27日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)では、韓国在住のテレビ朝日記者・高橋政光氏が登場し、現状を以下のように解説した。
「韓国メディアで朴氏は『非常に孤独な大統領』と指摘されることが多いです。権力者の孤独というものがあり、相談相手が欲しかったのではないでしょうか。朴氏は母親が暗殺されました。その後、父親も暗殺されました。自分の周りから人が離れたという過去があります。大統領の娘ということでちやほやされました。そして、暗殺後、彼女を支えたのが崔氏。孤独なときに優遇してくれたので、今回の件に繋がったのかもしれません」
また、番組には国際政治学者で東京大学大学院教授の木宮正史氏が登場し、今回の騒動について語った。
「崔氏はけっこう韓国のマスコミに追っかけられていて、取るものも取らず(ドイツに)逃げたということだと思います。彼女の問題のもう一つは、娘さんがいるのですが、(名門の)梨花女子大学に不正で入ったのでは? といった疑惑がかけられているんです。崔氏は満身創痍の状況で逃げ回っています。こうなったらこうなるという考慮もないままやってしまったのでは、と思います」
朴氏と崔氏は40年の付き合いがあり、随行記者のような関係。朴氏の父が大統領だった時代に朴氏自身が(亡くなった母の代わりに)ファーストレディとして存在していたが、朴氏の精神的支えが、崔氏の父親だった。その関連で知り合ったのが崔氏で、着る服をアドバイスするなど彼女はしていたという。木宮氏はこう続ける。
「朴氏の唯一ともいえる友達なのかも、と思います。様々な人が朴氏の権力を利用して色々やろうと思っています。朴氏としては、国民への謝罪文でも言っていましたが、難しい中でも助けてくれた崔氏を頼りにしていたようです。そんな中、孤独の闇の中に入っていったのでは?と思います」
また、朴政権がレームダックと化している中、問題発覚直前に憲法改正を朴氏は提案。これにより死に体を克服しようとしたが、この問題が出たことで結果的に国民に謝ることとなり、まさかのどんでん返しがやってきた形となった。木宮氏は今回の件が次期大統領選にも影響を与えるのではと見る。
「国連事務総長の潘基文氏が朴氏の後援があるから大統領候補になっていますが、この死に体だと潘氏の線もないかな、みたいな感じになっています」