子供に対する性的虐待が問題になっているが、その被害の実態とはいかなるものなのか。12日に放送された『みのもんたのよるバズ!』(AbemaTV)には、5歳の時に隣の家に住んでいた友人の父親から、そして7歳の時に16歳の従兄から性的虐待を受けた女性・柳谷和美さんが登場。現在柳谷さんは「おやこひろば桜梅桃李」の代表・カウンセラーとして同様の被害に遭った人々の支援を行っている。
性的虐待の加害者でもっとも多いのは「実父」で「その他」が続き、以下「養父」「継父」「内夫」「実母」と続く。柳谷さんが5歳の時に受けた虐待の際は、5歳という年齢もあって、性的被害という認識がなかったそうだ。ある日、隣の家に住む友達を訪ねたところ友達は不在。「お医者さんごっこをするから脱いで。診察をするから」とその家の父親から言われて目隠しをされ、虐待をされたのだという。
この時は何があったのかはよくわからなかったが、腹部に水分が付着した感覚がその後も残ったそうだ。その水分が何だったのかは、中学生になるころには体液だと理解できた。だが、そのことは親にも言えなかった。
「気持ち悪いとか汚いとかの気持ちもありました。ただし、殴る蹴るはされていないんですよ。だからこそ、自分が被害者という認識がなかった。自分が家に上がり込んだからいけない。脱いだからいけない、と考え自分が共犯者だと思ってしまったのです。そういう思いをしている人はたくさんいると思いますね」(柳谷さん)
柳谷さんが立ち直ったきっかけは、今の夫と出会ってから。当時のフラッシュバックが出てはいたが、カウンセリングを学びつつ、夫もカウンセリングを一緒に受けてもらい、二人で克服していったのだという。柳谷さんにパニックが出たらいかに対処するか、といったところも夫は学び、柳谷さんは立ち直れた。ただし、中学、高校で性的虐待を受けていたと認識した時は「自分の体は汚い」と思い、自分なんてどうなってもいいやとさえ思い非行に走った。柳谷さんは現在48歳だが、当時の非行の典型であるシンナー、暴走、酒、タバコをやるまでに至ったという。
そして「一番身近なパートナーと乗り越えられたのが大きいです」と克服の要因について語った。2回目の虐待は、16歳の従兄によるものだったが、このことを父親に伝えたら父親が従兄を痛めつけるのでは、と考え黙っていた。その従兄はバイク事故で虐待から2年後に亡くなったため、今はこうして実体験を語れるのだという。「生きていたら復讐される」と柳谷さんは語った。
番組コメンテーターの朝日新聞・浜田敬子氏は「性的虐待って添い寝とかから始まることもあるそうです。愛情で可愛がっているのと紙一重です。私も娘がいますが、父親との接触を気を遣うようになります。お風呂を何歳まで一緒でいいのか、とかも考えますね」と語った。
番組では子供達の避難場所(シェルター)となる「カリヨン子どもセンター」の理事、川村百合氏も登場。同センターに対しては虐待を受けていて、親から逃げたいものの行く場所がない子供が直接電話をしてくるそうだ。思春期の子供がようやく相談をしてくる状況で、5歳や7歳といった低年齢の子供からの電話はほぼないようだ。ならば、その世代の子供に対していかに手を差し伸べればいいのか。
「そういう子も何らかのSOSを出しています。おねしょがぶり返したとか夜泣きが始まったとか、万引きとか手癖が悪いとかが出るとか……。いわゆる問題行動等が始まった時に、性的虐待に限らず、親からの何か影響があるのでは、と考えます」(川村氏)
番組MCのみのもんた氏は、「110番とかそういった形で番号知られた方がいいよね」と提案した。
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