■ ”チャイナマネー”の威力を聞きつけた日本人からの問い合わせが殺到

全国最大の19.7%で、地価上昇率”日本一”となった北海道・倶知安(くっちゃん)町。

主に外国人向けの不動産を販売する、北海道スタイル代表取締役の石井秀幸氏によると、倶知安町で地価が一番高い場所は一坪150万円で、5~6年前は500~600万円だった山がいまや1億で売れるという。札幌から山を越え、車で2時間のこの町が、なぜ地価上昇率一位なのだろうか。

理由について石井氏は「外資の投資が土地の評価額を上げている」と話す。

倶知安町はニセコ町と隣接していることから「ニセコエリア」と呼ばれる地域の一つで、ここ数年の中国人資産家による不動産投資の急増が、地価上昇率日本一につながったようだ。

「”ニセコ”はもう日本だけのものじゃない」中国からきた貿易会社の社長はそう話す。彼女は小樽市内に数百万円で家を購入し、日本での滞在場所として使っている。「日本のバブル崩壊後、北海道は人口が減少している。だから今は(土地への)投資のいい機会よ」「(北海道は)中国人が老後を静かに暮らすいい隠れ家じゃないかしら」。そう話す彼女は、倶知安町に250坪の土地を購入、コンテナハウスを建て、観光客に貸し出し、外貨を稼ぐつもりだという。

一方、石井氏のもとには”チャイナマネー”の威力を聞きつけた日本人からのメールや郵便が全国各地から届くという。内容のほとんどは中国や他の国への売却の希望で、問い合わせの件数は3000件、面積は日本の国土の実に2%に上るという。

■ 住民から漏れる不安の声

外国人による土地の買い付けが進んでいることについて、ニセコ町役場はどう見ているのだろうか。

ニセコ町企画環境課の山本契太氏は「中国に限らず世界から様々な国の投資が来ている。きちっとした規制も含めて、開発しようとしている事業者さんとも話して、秩序ある良好な開発を進めてもらう」と話した。

しかし現状では、外国人による土地取得や取引に関しての法整備は進んでいるとは言い難い。5年前、中国人が新千歳空港に隣接する雑木林の購入、中国人の飛行機格納庫をつくるという計画を立ち上げた。しかし同空港には航空自衛隊千歳基地が隣接、政府専用機も格納されていることから、北海道や地域住民が反対、購入を中止させたという。

ニセコエリアの住民からも「外国の人に倶知安の町を取られたらどうなるの」と不安の声も漏れている。こうした住民の声を受けて、北海道の市長会は政府に対し法規制を求める方針を決めたという。

こうした状況について政府は「重要な国境離島や防衛施設周辺での外国人や外国資本による土地取引、取得に関しては、国家安全保障に関わる重要な問題と認識している」というが、外国人や外資の買収に対し、日本はどう向き合えっていけばよいのだろうか。

■水を買い付けにくる外国人も増加

狙われているのは森林や土地だけではない。近年、中国などの水不足が深刻な国から、日本の豊富で良質な水資源を買い付けにくる外国人が増加しているのだ。

現行の日本の法律では、外国人が日本の土地を買った場合、土地から地下水まで全てが外国資本になってしまう。そのため、外資に渡る土地が広ければ広いほど、日本が世界に誇る水資源も危機に陥る可能性があるのだ。

各自治体も水資源保全のために動いており、北海道の「水資源の保全に関する条例」は「水資源保全地域」に指定された区域内の土地を売買にあたっては、「契約締結の3ヶ月前までに知事宛に届出を行うことを義務付ける」と改正された。すでに北海道を含む全国15の都道府県では、こうした「水源地域保全条例」が定められている。

「”水源地を押さえられるということは、国民の命を押さえられる”。こういう感覚で、これからきちっと法整備をしておかないといけないと思う」国際水ジャーナリストの吉村和就氏は、そう警鐘を鳴らしている。

(C)AbemaTV

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