■法改正の内容は?

年間2万件以上もの相談が寄せられるストーカー被害。17日、参議院内閣委員会からストーカー規制法改正案が本会議に提出され、今国会で成立する見通しとなった。

現行のストーカー規制法では、電子メールを繰り返し送る行為は規制対象となっているものの、SNSの書き込みは取締りの対象ではなかった。

改正論議のきっかけとなったのは、今年5月、東京・小金井市でアイドル活動をしていた女子大生がファンの男に刺された殺人未遂事件。男は事件前、被害女性に対しSNSで脅迫的な書き込みを続けていたことが報じられている。

今回の改正案にはFacebookやTwitter、LINEなどのSNSでメッセージを送り続けることや、執拗な書き込みなどの「つきまとい行為」が規制の対象に加えられた。また、緊急時の迅速な対応のため、警察の警告なしで公安委員会がストーカー行為の一時的な禁止命令が出せる、被害者の告訴がなくても検察が起訴できる(非親告罪化)といった項目も追加されている。

■葵つかささん「24時間緊張した状態が続き、家から出られなかった。」

実際にSNSでストーカー被害に遭った経験のあるタレントの葵つかささん。

自身のTwitterに脅迫的な書き込みがあり、中には小金井市の事件に触れたものもあったという。投稿した男性は逮捕されたが、起訴猶予処分となっている。

葵さんは「Twitterでの脅迫だったので、誰がやっているのかも分からない。どこで見られているかも分からないので、24時間緊張した状態が続き、家から出られなかった。」と当時の恐怖を語る。

■「もう少し罰則を厳しくしたり項目も細かく設定したりしてもいいのではないか」

ITジャーナリストの高橋暁子氏は「やっと対応したな」と今回のストーカー規制法の改正の遅さを指摘した。

これまでも改正が繰り返されているストーカー規制法だが、制定されたのは2000年。きっかけは前年に起きた桶川ストーカー事件。元交際相手からのストーカー被害に遭っていた女子大生が警察に相談するも、「プライベートなことだから」と曖昧な対応に終始された末、犯人グループに殺害されてしまったこの事件の反省からだった。

だが、当初制定された規制法では取締まれない事件が次々に起きる。

2012年、神奈川県逗子市の女性が元交際相手に殺された事件では、男が1000通以上のメールを被害女性に送りつけていたが、当時、警察は男に警告をすることができなかった。事件後、メールの送信も規制対象になった。規制法が後手後手に回り、事件と法改正のいたちごっこが続いている。

高橋氏は「殺人事件などが起こらないと動かない。そのような犠牲が起きる前に実態を踏まえてもう少し早め早めに動いていかなければいけない。今回の改正もそこまで厳しくはないので、もう少し罰則を厳しくしたり項目も細かく設定したりしてもいいのではないか」と、国の対応の緩さに疑問を投げかけた。

(C)AbemaTV

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