関西のシーンでその名を轟かす大阪・高槻のクルー=TORNADOを率いるJAGGLAが、Y’s、十影、KUTS DA COYOTEらが所属するレーベルTHE FOREFRONT RECORDSからソロとして「蜃気楼」でアルバムデビュー。心のモヤモヤも隠さず曲にした本作で、「蜃気楼」の先の新たな景色に向かって歩き出した。
ーーアルバムの前に4月にはミックステープ「with my own eyes Mixed by DJ KEM」を出してましたよね。
JAGGLA:あのMIXは元々はアルバム作ろうとしてて作り始めたんですよ、ホンマは。 でも何かまとまりきらへんなって、で全部ボツにしてアルバムに関しては一旦仕切り直そうと思ったんですけど、せっかく出来た曲もあるしもったいないんで、DJ KEMに任せて一枚に仕上げてもらった感じです。
ーーどんな点でアルバム制作がうまく行かなかったんですか?
JAGGLA:なんていうか、、、楽曲のトピック的もだしリリックの内容も全部がすごく偏ったまとまり悪いことになってしまったんですよ。(笑)
ーー今回のアルバムが全曲NAO THE LAIZAさんのプロデュースになった理由はそこにありそうですね。
JAGGLA:俺がラッパーとして駆け出しの頃からお世話になってる先生みたいな存在で、とりあえず一番わかってもらってる人にトータルで一枚やってもらった方がいいなと。音に関しては全任せで、今週一週間このトラック、次の週このトラックみたいな進め方でした。
ーーアルバム『蜃気楼』のコンセプト、タイトルの意味は?
JAGGLA:ガキの頃に見てた夢みたいな、ヒップホップのキラキラして見えてたところが、色々経験していくうちに、“その夢って本当にあんのかな?幻やったんかな??蜃気楼みたいなもんなんかな?”とか思い始めて、、、 それをこの目で確かめてやろうと思って、タイトルはかなり早い段階から決まってました。
ーー音楽面ではどのようなものにしようと?
JAGGLA:色々考えたり悩んだりしたけど、俺に出来るのはやっぱりド真ん中のヒップホップやな、と言う所に最終落ち着きましたね。
ーーNAO THE LAIZAさんからラップについてのディレクションとかはありましたか?
JAGGLA:フロウについてはほとんど無くて。ただ、元々の俺のラップのスタイルが結構ガチガチに言葉詰めるタイプなんすけど、『0.9』とかは言葉抜いてみたら、とかのアドバイスは貰いました。 ディレクションはラップについてというよりリリックの内容にありましたね。 意味通ってなかったりとか、これどういう意味?みたいな部分はかなり厳しき指摘されて…ある日は“2曲分のバース全ダメ出し”とかあって死にそうになりましたね(笑)。メッセージ系のリスナーを刺しに行く曲は結構すんなり出来上がったんですが。
ーーその『0.9』をはじめとして、今回は昨今のUSヒップホップの動向を知るチームとの意見交換も曲作りのネタになったそうですね。
JAGGLA:そういう機会も今までなかったし、良い勉強にもなったし、ああでもないこうでもないって言われながら悶絶こきました(笑)。Drakeの『Summer Sixteen』って曲があるんですけど、その曲は2016年の夏は俺が持ってくぜ!みたいなことをただただ書いてるだけらしいんすよ。でも、曲名だけ聞 いたらなんの曲かわかんないじゃないですか。言うたらタイトルで考えさせるみたいな。そういうのいいな、面白いなと思って。そこからヒントを得て出来たのが 『0.9』です。
ーーTORNADOの面々はじめとする客演陣はどのように集めたんですか? 曲作りのエピソードがあったらそれも聞かせてもらえれば。
JAGGLA:フィーチャリングは全部自分で選ばさせてもらって、いい意味で俺が人間をよくわかってて、俺にないところを補ってくれる仲間達で固めさせてもらいました。EMI(MARIA)ちゃんだけは、NAO君の秘蔵っ子的な存在でNAO君からあの曲はEMIちゃんに歌ってもらうのが決まってる状態でトラック聞かしてもらいました。 紅 (桜)と『No Lights No Shadow』をRECした時に、あいつは影について調べてきたらしくて、ライターでバッと火ぃつけて「これは影にならんのんじゃ。炎は蜃気楼なん じゃ」って言いよったんですよ。火自体、形はあるけど影になんないらしいんですよ。「蜃気楼」っていうアルバム作ってる時やったし、「お前ヤバいなそれ!」みたいになって。 『Boot Camp』はホンマにギャグやったっすね。ただのマイクリレーじゃなくて「全員で会話みたいにしようぜ」とかってなって、誰かがブース入ってる間に書いてとかやったら時間かかるんで、 他のメンバーのパートを誰かが書いてそいつの口調で歌ってみたいな。これはキャンプの曲なんですけど、毎年クルーの皆でキャンプやってるんすよ。
ーーレゲエ界からもTHUNDERさん、PERSIAさんが参加してますね。
JAGGLA:大阪はレゲエが強くて、俺もレゲエのイベントに結構出させてもらってるし、俺も自身も昔からレゲエ大好きで。今そのレゲエシーンで一番黒いことをやってる、俺が好きなレゲエを体現してくれるTHUNDERとPERSIAにお願いしました。
ーー今回のアルバム制作を通じて得たことは?
JAGGLA:TORNADOのメンバーは俺がどんな曲書いたとしても俺のこと100パー知ってるし、それがリアルなもんやったらイケてるって分かってる。でも、アルバム作ってみて第三者目線みたいなんがかなり重要やなと思いました。
ーーかつての夢が「蜃気楼」だったという思いを越えてなお、ラップする今の気持ちはどうですか?
JAGGLA:大それた事を言う気はないです。等身大の俺が詰まったこのアルバム出してみて、やっとスタートにたって、ぼんやりしてた蜃気楼みたいな“夢”が実際あんのか?その先に何があんのか?2nd、3rd出せる時その答えを少しでも見つけていたいですね。
ーー改めて本作を聴くリスナーに一言もらえますか?
JAGGLA:ストリートのこと歌ってるんですけど、ギャングスタムービーとかヤクザ映画とかの世界じゃなくて、俺自身の内面をかなりえぐって産み出した作品です。普通に人間として生きて たら誰でも重ねれるところがあると思うし、自分に置き換えて聴いて自分なりの解釈をしてもらえたら。捨て曲もないし、一曲目から最後の曲までストーリーが性があったり、音も繋がってたりするんで、一枚通して聞いて欲しいです。あとは文章で伝わりきれへんことがあると思うんで、ハートで聴いてもらえたらうれしいです。
TEXT:HIROYUKI ICHINOKI
PHOTO:HIROKI OBARA
TITLE:『蜃気楼』
発売中(THE FOREFRONT RECORDS)
価格 ¥2,500(税別)
【TRACK LIST】
01. J Lyrics by JAGGLA/Produced by NAOtheLAIZA
02. Stardom feat. Cz Tiger Lyrics by JAGGLA, Cz Tiger/Produced by DJ GAJ, NAOtheLAIZA
03. Reset feat. EMI MRIA Lyrics by JAGGLA, EMI MARIA/Produced by NAOtheLAIZA, EMI MARIA
04. No Light No Shadow feat. 紅桜 Lyrics by JAGGLA, 紅桜/Produced by NAOtheLAIZA
05. Bring It Back Lyrics by JAGGLA/Produced by BYGdaddy, NAOtheLAIZA
06. 0.9 Lyrics by JAGGLA/Produced by NAOtheLAIZA
07. Viridian Gray feat. GAZZILA Lyrics by JAGGLA, GAZZILA/Produced by NAOtheLAIZA
08. Roughest & Toughest feat. THUNDER Lyrics by JAGGLA, THUNDER/Produced by HARA-JOHN, NAOtheLAIZA
09. Boot Camp feat. Lil Dragon, Bic & HABU Lyrics by JAGGLA , Lil Dragon, Bic, HABU/Produced by DJ DEFLO, NAOtheLAIZA
10. Waterfall feat. MAAKO Lyrics by JAGGLA, MAAKO/Produced by NAOtheLAIZA
11. あの日のヘタクソ feat. ZEUS & PERSIA Lyrics by JAGGLA, ZEUS, PERSIA/Produced by NAOtheLAIZA
12. 蜃気楼
渋谷タワーレコードでインストアライブも開催
JAGGLA/Nasty Nit発売記念イベント
開催日時:2016年11月27日(日) 21:00~
場所:渋谷タワーレコード 4Fイベントスペース
出演:JAGGLA / Nasty Nit
詳細は右記ULより:http://tower.jp/store/event/2016/11/003130