日本は米大統領選直前にTPP批准案を採決していたが、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が、「我が国に災難をもたらす恐れがあるTPPから離脱する」と宣言した。11月17日に安倍晋三総理はトランプ氏と会談後「トランプ氏は信頼することができる指導者と確信できた」と述べたが、その直後に冷や水を浴びせられた形となった。
26日に生放送された『みのもんたのよるバズ!』(AbemaTV)では、民進党の松原仁衆議院議員と自民党の青山繁晴参議院議員が登場、TPPについて二人が語った。松原氏は一貫してTPP反対の姿勢を見せた。
「日本としてはやめた方がいいです。トランプもやらないと言ってるのだから。そもそもTPPは、明治以来の不平等条約だと思っている。通常の条約であれば、日米なら英語と日本語で二つの公式文書を作ります。TPP公式文書は、英語、フランス語、スペイン語だけで日本語が無い。しかも、行政の公共調達——たとえば建物を作るとかの場合、国も、都道府県も、政令指定都市も、TPP参加国に(発注の)間口を広げなくてはいけなくなるんです。アメリカは国だけなど不平等なんです」
青山氏はアメリカ抜きの自由貿易の枠組みを作ればよいと語る。
「日米の間はTPPだけではないですよ。TPPと日米関係、別に関係はないじゃないですか。ただし、今の形のTPPは終わりです。なんでアメリカはTPPではなく、2カ国で貿易をやりたいのかといえば、どこの国にものしかかれるからなんですよ。2国間に持ち込むとやられるから、アメリカ抜きでやればいい。むしろ日本主導でゼロから作り直す。南米は日本を信頼しています」
松原氏は、TPPに対する懸念として「アメリカすべて」を日本国内に持ってくることにあるという。親族にアメリカ在住経験者がいる松原氏によると、アメリカは医療費がとんでもなく高く、「日本の方が住みやすい」ということで彼らも日本に帰ってきたのだという。そしてこう述べる。「医薬品も高い。結局、薬の値段を決めるところに、アメリカの製薬会社の声を入れるのです。TPPってのは、強い人間によって管理される自由貿易体制なのです」
一方、青山氏はトランプ氏の姿勢が今後変わるのでは、とも見る。
「トランプはまだ状況を良く分かっていない。『アメリカ第一』と言ってますが、アメリカの問題は国民が(海外の人件費の安い国に)仕事を奪われているということです。強い弱いではなく、人件費が安いところに行くだけ。彼も頭いいからいずれわかる」
松原氏は終始TPP反対の姿勢を示し、より身近な例も挙げた。それは、「地産地消」という言葉についてだ。これは、地元で採れた食材を地元で使うということだが、たとえば地元産のジャガイモを飲食店で使おうとしても、「それは非関税障壁でけしからん」ということになり、地産地消が実現できないということである。