先月、およそ3000人の規模でスタートした小池百合子・東京都知事の政治塾「希望の塾」。
都議会自民党を厳しく批判してきた猪瀬直樹・元東京都知事による講義や、橋下徹・前大阪市長との登壇をめぐるトラブルが報じられるなど、話題に事欠かない"小池塾"だが、実態はどのようなものなのか。「希望の塾」事務局の中心メンバーとして活動する、おときた駿・東京都議会議員に話を聞いた。
ーー注目度のせいでしょうか、様々な報道が出ていますね。
おときた氏:政治ですから、いろいろなことを言われるのは仕方がありません。橋下さんとの問題も、マスコミが話を大きくしてしまった部分がありますが、僕も含め、事務局として正式に「橋下さんが登壇します」と発表した事実はありませんからね(苦笑)。
一番大事なのは塾生の方々ですから、とにかくみなさんを混乱させないようにしたいですね。
ーー政治塾といえば、野田前総理など多くの国会議員を輩出してきた「松下政経塾」のように寮に入るようなものもあれば、「自民党政経塾」「維新政治塾」のように、党が主宰しているものもあります。
「希望の塾」は「政治を学ぼうという人の受け皿」とのことですが、何が違うのでしょうか。
おときた氏:一般的に「政治塾」といえば、政治家の候補者の発掘・養成が目的です。その意味で、「松下政経塾」はガチンコで実績もありますし、自民や維新の政治塾も、党が擁立する候補者を発掘するためのものです。
「小池塾」の場合、もう少し間口を広げ、”政治に関心を持ち始めた”というような方にも来ていただけるような場にしたいと考えました。小池さんという、非常にリーダーシップのある方から気軽に政治の話が聴ける機会を提供できれば良いなと。
受講料は決して安くはありませんが、大学で学んだり聴講生になったりするのは敷居が高いですからね。
ーー確かに、若い女性たちの姿も報じられていますし、「託児スペースの設置」「聴覚障がい者向けの字幕提供」など、裾野を広げるための工夫をされていますね。
おときた氏:そうですね。内容面も含め、一人でも多くの受講者に満足していただくための運営はとても難しいのですが…。
ーー今のところ大きな会場での講義スタイルですが、今後はディスカッションやグループワークなども?
おときた氏:5万円というのは、首長経験者や専門家による講義6回分の受講料で、あくまでも糸口になる部分です。ここから各自の関心・適正に応じて、進路も枝分かれしていくということです。
次のステップとして、政策を立案していく分科会や、政治家になりたい人向けの養成コースのようなものを考えていますから、そちらに進んで頂いても良いですし、「大学院やカルチャースクールで勉強してみよう」というような進路があっても良い。
ーー現在の受講者も応募者の中からの選抜とのことですが、その"政治家養成コース"についても選抜は実施するのでしょうか。
おときた氏:やはり専門性が高い内容を何千人、何百人に行うことは現実的に難しいですから、一定の選考をくぐり抜けた方のみのコースになると思います。
ーー論文試験ですと、特定の政治思想というか、言うなれば小池さんの意に沿うことを言う人、紋切り型の人ばかりになってしまいませんか。多様性をどう担保するのでしょうか。
おときた氏:詳しくはまだお話できないのですが(笑)、”政治塾業界史上初”とも言えるような選考方法を取り入れたいと考えています。透明性・公平性が高く、みなさんに「なるほどね」と言っていただけるような、これまでにないシステムをお示しできればなと。
「結局、残ったのはコネがある人とか、公務員経験者だったね」ということにもならないよう、「やる気も覚悟もあって、確かに優秀な人たちだね」とみなさんが納得できるようなものにするつもりです。
ーー2期生・3期生や、東京だけでなく全国での展開も考えていますか?
おときた氏:まだ将来のことはわかりませんが、将来的にはそうしていきたいという考えはありますね。今も、インターネットでの講義配信も行っており、全国津々浦々、いろいろ方に受講していただいていますから、受講生が各地の自治体で出馬することで”小池マインド”が広がっていくでしょうし、それによって自然発生的に「東京大改革」の理念が地方に伝わっていくことも十分にありえると思います。
ーーこれだけの人数が集まると、”小池が立てば、一大勢力になる可能性があるぞ”という既存政党に対する示威行為みたいな側面もありますよね。
おときた氏:改革を進めて行くために、当然、政治家として自分たちの仲間を集める、ということはすべきです。「希望の塾」も確かにそういう場としての意味合いがあると思います。
希望の塾の塾生や、さらに将来的に立候補をするために勉強するコースを受けた方は、ある種、企業におけるインターンと同じで、その場で内定を出すわけでないけれども、いざ選挙になり「一緒に戦いたい」ということであれば、候補者選考で当然受講生であったことも加味されると思います。
ーー「やっぱり”小池派””小池党”の、一つのビジネスモデルじゃないか」という見方もされますよね。
おときた氏:「勉強会」をはじめ、一定の政治勢力の集まる場というのは、そういう側面があります。ただ、あくまで小池知事や我々が目指しているのは「東京大改革」の実現であって、新たな政治勢力や政党を創ることではありません。
受講料に関しても様々なご批判があると思いますが、塾生の方々に納得いただけるお金の使い方をしていきたいと思います。まずはベストな講師とベストな内容で、「透明性も問題ないね」と言っていただけるようにします。
ーー”史上初の選考方法”や、次の展開の発表については。
おときた氏: 3000人の受講生全員が納得するものを提供するのは簡単なことではありません。しかし、「ぼったくりじゃないか」と言われないようにしたいですし、価値あるものを提供して、満足度を高めていきたいですね。
まだ始まって2ヶ月ですから。12月は色々仕掛けていきます。今後の講師の名前も含め、今週中には発表できると思いますよ。
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