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 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊は、指揮権が新しく派遣された部隊に移り、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新任務が可能になった。

 日本が参加している南スーダンPKOには世界60数カ国から1万3000人余りが参加、自衛隊は避難民を保護する施設の建設や道路整備などを行っている。

 首都ジュバでは、日本時間の12日午前6時から国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊第10次隊から第11次隊に部隊が交代、道路整備などの活動が本格化した。

 活動期間は半年間で、今回で派遣された第11次隊は青森、宮城、岩手、秋田各県の部隊などから選ばれたおよそ350人からなる部隊だ。およそ250人が既に現地入りしており、残りの人員も15日にはジュバに到着、活動を開始する。

 一方、南スーダンでは、7月に政府軍と反政府勢力との間で大規模な戦闘が勃発、死者が出るなど、治安の悪化も懸念されている。

 今回可能になった「駆け付け警護」では、国連職員などが武装集団に襲われた際、自衛隊員が武器を使って助け出すといったことができるようになる。また、宿営地が襲われた際に他国軍とともに守る「共同防護」の新たな任務も可能だ。

 日本がPKOに参加する際には「PKO参加5原則」という5つの原則を満たさなければならないとされている。しかし今回の南スーダン派遣については、この中の1つ、「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」という条件が満たされていないのではないかとの疑問も浮上している。

 実際、政府軍と元反政府勢力の間で停戦合意はなされているものの、いつ何が起こってもおかしくない状況であることは否定できない。

 もしも戦闘が始まり、国連職員や民間人の安全を脅かしているのが政府軍だった場合、PKO派遣部隊は主権国家と向き合うことになり、「交戦権」が発動されることになってしまう。現行憲法の下での自衛隊派遣は違憲ではないのかと主張する野党の国会議員らが参加した抗議活動が行われる中での任務付与だ。

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 この「駆け付け警護」を巡っては、憲法9条と兼ね合いが議論されてきた。「駆け付け警護」の意義とはどのようなものなのだろうか。

 参議院外交防衛委員長で、自身も自衛隊時代にイラクで活動した経験を持つ、”ヒゲの隊長”こと佐藤正久・自民党参院議員と、評論家の古谷経衡氏に話を聞いた。

 「駆け付け警護」の意義について佐藤氏は、今までは自国民からの救援の要請があっても、そのための権限や任務がないため、現場の判断・責任のもとで行われていた。それが今回、法整備されたことで、事前の訓練やオペレーションも整えられ、現場の負担が軽減することになったと話す。

 一方、古谷氏は「そもそも南スーダンに自衛隊を派遣する説得力が乏しい」と指摘する。「もちろん日本は世界の国々に対し、その平和への維持という面で、経済的にも道義的にも責任を負う」とした上で、「南スーダンから日本に輸出されている石油は年間15億円程度の微々たる金額。自衛隊を派遣し、日本の国益にどれほどのインパクトを与えるのか」と疑問を投げかける。

 これに対し佐藤氏は、「利益の話ではなく、国連の加盟国として責任を果たすべき」だと反論。南スーダンが不安定になると難民が流出し、中東地域まで難民やテロリストが拡散、世界情勢がさらに混乱する可能性もあると訴えた。

(C)AbemaTV

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