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 “毒のないフグの肝”を食べられる日が、また一歩、遠のいた。無毒化した肝の食用解禁を求める佐賀県の要請に対し、国が「安全確認できない」として事実上却下したのだ。

 佐賀県が取り組んでいたのは、トラフグの肝の無毒化。冬の絶品であるトラフグだが、その肝には青酸カリの1千倍の毒性があるテトロドトキシンが含有されている。しかし、この毒はトラフグ自らが作り出すのではなく、有毒性のヒトデや貝などを食べることでトラフグの体内に蓄積されるものだといわれており、無毒のエサを与えて養殖すれば肝の無毒化ができるのではないか、という目論見だった。

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 佐賀県は無毒のエサを使ってトラフグを養殖。1匹ずつ飼育歴を管理した上で検査を行い、県内の特定の飲食店で提供するシステムを構築した。

 そもそも佐賀県が「無毒化のフグ肝」の名を全国に広めようとしたのは12年前のこと。地域振興の起爆剤として、国の構造改革特区に「フグ肝特区」を提案したが、厚労省が「フグの毒が、十分に解明されていない」と却下。

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 しかし当時の佐賀県知事は「100年かかってもやります」と諦めなかった。2011年には県内に第三者評価委員会を設置、5年にわたってその安全性を審議。今年、ようやく評価委員会が「無毒化の肝」にお墨付きを出し、2月、国に改めて要望を提出。5月から内閣府の食品安全委員会で審議が始まった。

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 この動きに対し、日本ふぐ連盟は「仮に事故が起きましたら、養殖トラフグに対する風評被害と我々の業界も非常に打撃を受けるということもありますので、反対しているところであります」と反発。議論が白熱する中、今月7日、食品安全委員会は評価書案をまとめ、「提案の方法で養殖されたトラフグの肝臓全体の安全性を保証できると判断することはできない」として、要望を事実上却下した。

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 佐賀県庁政策部企画課の遠藤彰副課長は「どこをクリアすれば道筋が開けるのか。はっきりした答えをいただいて今後の対応をしたい」と話す。業界団体を巻き込んだ、佐賀県と国が繰り広げる無毒化フグ肝を巡る論争、果たして、その行方はどうなるのか。

(C)AbemaTV

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