毎年恒例のM-1グランプリが先日行われ、見事銀シャリの優勝で幕を閉じた。M-1グランプリで優勝した途端その芸人のマネージャーの携帯には仕事のオファーが殺到する。銀シャリも例外ではなく、去年優勝のトレンディエンジェルを凌ぐ勢いで仕事が殺到しているという。
銀シャリは元々関西ではレギュラー番組を持っていたのでそちらでは知名度はあったわけだが、今回のM-1の優勝で全国区となった。事実、優勝後全国放送の番組に立て続けに出演をしている。前述の通り関西ではレギュラー番組を持っており、番組出演には慣れているので番組関係者からすると安心して銀シャリを起用することが出来るのもオファーが殺到している理由ではないだろうか。さらに、番組内で銀シャリをどういじっていいのかを知っている既に全国区で活躍している芸人が多いため、番組の進行を考えやすいのも使い勝手のいいところであるのかもしれない。
さて、銀シャリはM-1優勝で「売れる」流れに乗ったわけだが、売れている芸人にはどんな特徴があるのか。
まず、芸人である第一条件は「面白い」ということだ。当たり前だが面白くない芸人は売れない。売れている芸人で「この人面白くないな」と思う芸人がいるかもしれないが、面白いと思っている人がいるから売れているのだ。全員から面白いと思われることは難しい。
ただ、面白ければ売れるかと言ったらそうではない。売れている芸人ほど裏方の人たちのことを考えている。自分が番組に出られているのは、番組に関わっている関係者がいてくれて、それで成り立っているということを常に考えているのだ。ある芸人はスタッフだけを招待して食事会を開き、感謝を伝えたりしているという。そこに嫌らしさはなく、好感度を上げるためとは一切思っていない。本当に感謝を伝えるためだけにそういう会を開いている。
実際に裏方の人にどういう芸人が好かれるのか聞いてみたことがあるのだが、「裏方を大事にする人、裏方の気持ちがわかる人が好かれていますね」という回答を得た。テレビでは「嫌われ役」の芸人でも、スタッフ内ではすこぶる評判がいいという人が何人もいる。逆に、「自分がいるから裏方も成り立っているんだ」と思っている芸人は、いくら面白くても必ず消えていく。
そして、「自分が」「自分が」という“個人主義”の芸人は売れない。芸人は個人競技のように見えるが、実際は団体競技なのだ。番組をよく見ているとわかるが、すべった芸人がいると周りの芸人が必死になって助けに行く。すべったことをいじって陥れている様に見える場合もあるが、いじられた芸人からすると、いじってくれた芸人に対して感謝しかない。売れている芸人はみな、周りを“美味しく”させようと常に考えている。そしてその隙間でちらっと自分を見せたりもして、存在感をアピールしているのだ。
さらに、お金に汚い芸人は売れない。売れている芸人はお金を派手に使っているイメージがあるが、売れている芸人ほどお金を「綺麗に」使っている。使えば使うほど自分に何かしらの形で返ってくるということを、知っているのだ。
銀シャリの話に戻るが、銀シャリはM-1の優勝で「面白い」ということは世間に知れ渡った。番組を見ている限り、“団体競技”もバッチリだ。あとは全国区で成功することを願いたい。
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