朴大統領の即時退陣を求めるデモは24日で、9週連続となった。朴大統領の弾劾決議後も、その声は収まる気配がない。19日には 、疑惑の中心人物・崔順実被告の初公判が行われ、胸に識別番号が付いた拘留服で入廷する様子が、生中継で「さらしもの」にされるという異例の展開となった。崔被告は、「物議を醸して申し訳ありませんでした」と謝罪したものの、国政介入疑惑は否認した。
一方で、韓国の特別検察官は21日、ドイツに逃亡した崔被告の娘、チョン・ユラ氏を、サムスンからの支援金でドイツのホテルや住宅を購入した疑いで、指名手配すると発表した。捜査チームは滞在先のドイツに捜査協力を求め、旅券を無効にする措置も取るとしている。22日には、弾劾を審理する憲法裁判所も初公判を迎えた。朴大統領側は「事実関係と法律関係のすべてで争う。したがって弾劾の理由はない」と、徹底抗戦の構えだ。3月までに判断を下すスピード審理になると見られている。
混乱を深める韓国情勢。もちろん日本も無関係というわけにはいかない。昨年末に日韓両政府が慰安婦問題などで合意に達した日韓合意が、反故にされるかもしれない。ポスト朴大統領の有力候補と言われているのは3人。前回の大統領選にも出馬した文在寅(ムン・ジェイン)氏、国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏、そして台風の目と目され、”韓国のトランプ"とも呼ばれている李在明(イ・ジェミョン)氏だ 。
民進党参院議員の杉尾秀哉氏は、野党系の2人が大統領になった場合、日韓合意は反故にされてしまうだろうと話す。野党系の2人とは、文在寅(ムン・ジェイン)氏、李在明(イ・ジェミョン)氏だ。しかし、自民党参院議員の青山繁晴氏は潘基文(パン・ギムン)氏が大統領になったとしても反故にされる可能性が高いだろうと話す。「合意に沿って日本が拠出した10億円も返ってくる見込みはないだろう」
韓国の世論調査での人気1位は、文在寅(ムン・ジェイン)氏。同氏は竹島に上陸した対日強硬派としても知られる。一方で、対日強硬派なのは、文氏だけではない。李在明(イ・ジェミョン)も対日強硬派で知られ、韓国国内で支持を集めている。
日韓関係が亀裂を深める中、そこにあるのは、互いの国の歴史認識の齟齬によって引き起こされるある種の敵性感情、どうしても埋められずにいる深い溝だ。コラムニストの吉木誉絵 氏は、日本植民地時代に独立運動家らが収監されていたという西大門(ソデムン)刑務所歴史館 を訪れた経験談を話す。「そこを訪れた時に日本からの独立が韓国のアイデンティティーだということを、はじめて肌で実感できた」。事実、韓国の独立記念日「光復節」は光が復すると書く。また教科書での日韓関係の扱い方には大きな差があると指摘。「韓国の方が日本よりもはるかに多くのページ数を割いている」という。
日本と韓国、その溝を埋めるにはどうすればいいのだろうか。自民党参院議員の青山繁晴氏 は「国会でそもそもの日韓の歴史について公平に議論するべきなのに、やっていない。やろうとしない」と話す。戦後71年が経ても、第2次大戦、そして日本と周辺国との歴史を総括できていない現状がある。混乱する日韓関係、そして世界情勢の行く末を案じる前に、もう一度過去の歴史を見直す必要があるのではないか。
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