昨年11月、"ヤンキー専門"雑誌『チャンプロード』休刊のニュースが世間に衝撃を与えた。ヤンキーたちの"バイブル"とも言えるこの『チャンプロード』だが、暴走族の衰退といった現状には勝てなかったのだ。若者文化の一旦を担ってきた象徴してきた不良少年たちは、今後どうなっていくのだろうか。
意外な道を歩んだ青年がいる。地元ではみんなが知っている"元ヤンキー"、福岡県みやこ町の橋本真助さん(30)。ヤンキーから政治家へ転身、ケンカではなく議論で戦う道を選んだ橋本さんは、25歳の時に同町の町議会議員初当選。昨年再選し、2期目を務めている。
「政治家になろうと思って、独学で勉強した」と語る橋本さん。「色々な人に、こういう思いから選挙に出るんだよということを伝えて、それなら一緒になって頑張ろうかと言われた。社会からなかなか認めてもらえない人たちも社会に参加するいいきっかけになったらいい。」と政治家になったきっかけを振り返る。
町役場で働く同級生・酒井裕史さんは、橋本さんのことを「中学の時から知っていた」と話す。「中学の頃のイメージとは全然違う。丸くなられたというか…。同い年の人が議員になるということだけでもすごいし、刺激になるというか。勉強させてもらっている」と橋本さんに期待を寄せる。
そんな橋本さんは、元ヤンキーならではの活動を行なっている。今は更生していても、前科があるために職につけないという人たちのために、一緒に就職先を探したり、自分が経営する会社で面倒をみたりしているのだ。「暴力団を抜けたい」という相談を受け、本人の代わりに話し合いをしたこともあるという。
『チャンプロード』が1987年に創刊された当時から執筆を行ってきた"ヤンキー界のご意見番"こと岩橋健一郎さんは、「黒い社会からだんだんグレーに染まって、白になりたいという人たちがいる。橋本さんのような人がいると、白い世界にどんどん引き入れてくれる橋渡し的な役割を担ってくれる。各県・各地区にこういう人が1人ずつ欲しい」と評価する。
岩橋さんは「若者は"青少年"、"不良少年"、"非行少年"、"邪道少年"の4つのタイプに分類できる」と話す。
「"不良少年"というのは、目的を達成するためにはリスクも負う、若干の潔さも垣間見える連中。"非行少年"は、ただ単に集まってなんとなく悪いことをやってみようかな。興味本位でやっている連中。"邪道少年"については「少年法を取り払ってすぐに極刑にしてもいいのではないかというレベル。犯罪を犯す連中」(岩橋さん)
最近のヤンキーについて岩橋さんは「分かりづらくなっているだけで、ヤンキーは減ってはいない」と話す。「ヤンキーとして目立てば目立つほどリスクを負う。今の若者はそれを背負おうとしない」とその理由について説明した。
「そもそもヤンキーというのは生き様。不良という生き様で、その中には自分なりの美学がある。非行少年はただの見てくれ、うわべだけで中身がない。ヤンキーはヤンキーなりにいいものを持っている」という岩橋さん。「最近の若者は挨拶ができない。ヤンキーは挨拶だけはできる」として、「エリートでお金を稼ぐ人間たちがヤンキーの要素をちょっと取り入れると、もっと素晴らしい人間になる。ヤンキーから学べる人間学というのもあると思う」と話した。
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