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 14日、9回目となる最終調査結果が公表された。豊洲市場のおよそ70カ所でベンゼンなどの有害物質が環境基準を超えて検出された。ベンゼンは最大で環境基準の79倍にあたる。去年9月に公表された8回目の調査では3カ所から最大で環境基準の1.4倍のベンゼンが検出されていた。

 結果を受けて小池知事は「(汚染が)非常に範囲が広がっているということと、それぞれの物質の基準値に比べて高い数値が出ているということで、想定を超える数値が出て驚いております」と話した。

 専門家会議の平田座長も「私たち専門家会議も戸惑っているのが事実でございます。改めて201カ所の調査に入る。明確な結論は出せないが、改めて対応策を明確にしていきたい。」としている。

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 小池知事はこれまで地下水モニタリングの調査結果を受けて移転時期を判断するとしてきた。小池知事は今回の結果を受けて「安全を総合的に判断した上で2017年冬、もしくは2018年春」としてきた移転時期を、「環境アセスメントが必要ならさらに一年遅れる」としている。

 移転がさらに一年遅れれば、現在の築地へはどのような影響がでるのか。元宮崎県知事で前衆議院議員の東国原英夫氏は「まず都議会は反省するべき。都議会は怠慢だったと思う。すでに設備の老朽化は耐震面からも限界にきている。一年間遅れるとなると、耐震を補強しながら維持していくことになる」と話す。また「もし今自分が都知事に就任したらどうするか?」という質問に対しては「2011年に都知事選に出馬したときは築地派で豊洲見直し派だった。だが、あれから5年たってほとんど出来上がってしまった。それを元に戻すかは頭が痛い」と回答した。

 豊洲への移転延期にともなう追加コストは、水産卸業者の設備維持費で年間約36億円、豊洲市場の維持費(人件費・電気代など)で年間約18億円かかると言われている。さらに、継続使用となった築地市場の修繕費も上乗せでかかってきてしまう。

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 かつて都知事選に出馬した弁護士の宇都宮健児氏は「専門家に聞いたが、土壌汚染対策はほとんどできていない。いまの状況を考えたら移転はできない」と話す。理由のひとつは豊洲という土地の抱える問題だ。「東日本大震災の時に豊洲のある土地は、液状化現象を起こして地中からベンゼンなどの毒物が吹き出してきた。今後30年以内に70%の割合で首都直下型地震があるんじゃないかと言われている中、また液状化を起こしたらどうするのか。生鮮食品を扱うのにふさしくない土地に市場を移そうとした、最初の移転計画自体に非常に問題があったのではないか」と指摘する。今後の調査方法についても「民間の調査会社を入れることも検討するべきではないか」と語った。

 さらに、「築地で働く人々の多くは、いまの築地で継続して事業をやりたいという人が圧倒的に多い」とも指摘した。

 しかし築地市場の設備老朽化は深刻で、維持するならば修繕工事が必須になってくる。もちろん修繕に予算がかかるが、問題は金銭面だけではないと、かがやけTokyo都議の音喜多駿氏は指摘する。「お金だけの問題でもない。築地の場合は営業しながら改修していかなければならない。現場からも不衛生だという声や、現実的に難しいという声が上がっている」。

 豊洲への移転が延期になったいま、築地市場の運営費、そして豊洲も市場は動いてはいないが設備や人件費などはかかる。2つの市場に並行して予算がかかり続けているのが現状だ。波紋を呼ぶ築地市場移転問題。解決はいまだ見えてこない。

(C)AbemaTV

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