20日に迫ったドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任。選挙戦の間、過激な発言で注目を集め続けたトランプ氏だが、その影には彼を支え続けた女性がいた。イヴァンカ・トランプさん(35)。トランプ次期大統領の長女だ。
十代からモデル・女優として活躍していたイヴァンカさんは、父と同じペンシルベニア大学を首席で卒業。現在はトランプ氏が経営する不動産会社の副社長を務めるほか、自身のブランドを立ち上げ、CEOとして能力を発揮、才色兼備として知られている。
彼女が情報を発信するSNSは、ファッション界から政治記者まで世界中の人々から注目されている。Twitter、Facebook、Instagramを使い分け、主にFacebookとInstagramを連携させ拡散している。Instagramを見ると政治的な投稿はまるでなく、子育てに奮闘する母親の姿ばかりが目に入る。夫で実業家のジャレッド・クシュナー氏とは2009年に結婚、3人の子供にも恵まれた。彼女のSNSには、そんな幸せな家族の光景がたびたび投稿されている。
一方で、なにげないイヴァンカさんのメッセージの中に、トランプ氏のイメージアップにつながるような言葉がちりばめられている、という見方もある。
例えば、大統領戦のヤマ場となった2016年9月26日の第1回大統領候補テレビ討論会の直前には「今夜おじいちゃんを見る用意ができています」というメッセージとともに息子の写真をアップしたほか、安倍総理がトランプ氏と会談する2日前には、長女のアラベラちゃんがピコ太郎の「PPAP」を歌う動画をアップ。
また、今年に入りSNSに意味深長な投稿をした。「父が第45代アメリカ大統領に就任したら、私はトランプ・オーガナイゼーションとファッションブランドの仕事から正式に離れ、いずれ会社の経営やマネジメントにも関係しなくなります。私は仕事をお休みしてワシントンに転居する予定です」。これは、イヴァンカ氏の政権入りを意味するのだろうか。
昨年、英オックスフォード大学の出版局は2016年を象徴する英単語として「客観的な事実や真実が重視されない時代」を意味する形容詞「ポスト真実」(POST-TRUTH)を選んだ。
SNSに頻繁に接する私たちは、その裏側にあるかもしれない意図や真実まで想像を働かせないことも多い。ジャーナリストの堀潤氏は「写真や動画をSNSに乗せて自由に発信できる時代。真意がわからないまま、多くの人がそれによって動く。プロパガンダしやすい時代になった」と指摘する。
「家族の話や美しい風景の写真は、昔からあるオーソドックスなプロパガンダの手法。ナチス初期のプロパガンダも、きれいな風景やお祭りに参加する様子、美味しそうなご飯などが入り口になっていた」(堀氏)
彼女のSNSから、今後も目が離せない。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
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