「トランプ次期大統領は、まさに信頼できる指導者であると確信いたしました。」11月のトランプ氏との会談後、そう語った安倍総理だったが、楽観論は急速にしぼみ始めている。

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 トランプ氏は「貿易では中国に対して年間数千億ドルを失っている。日本、メキシコ、ほぼすべての国との間で貿易赤字だ。ちゃんとした交渉をやってこなかったからだ」と述べた。さらに選挙期間中には「日本車の関税を2.5%からアメリカ産牛肉と同じ38%にする」と名指しで日本を批判してきた。トヨタのメキシコ新工場建設についてもツイッターで攻撃。「ありえない!アメリカに工場を建設しなければ重い国境税を課す」とつぶやいた4日後、豊田章男社長は「今後5年間で(米国に)100億ドルを投資します」と発言した。

 一方、5兆円投資と5000人の雇用創出を約束したソフトバンクの孫正義氏については「これ(新たな雇用)はマサのおかげだ。素晴らしい男だね、感謝している」と発言。日米同盟については「日本はすごい金持ちだ。援助しないなら助けてやらない。自ら北朝鮮から身を守るべきだ」と語った。だが、公聴会に出席したティラーソン次期国務長官は「中国の南シナ海や尖閣諸島での行動は違法だ」として尖閣が日米安保の適用対象であることを明言、「日本防衛を確約する協定に基づき対応する」と発言した。

 一方、マティス次期国防長官は「大統領や国防長官は同盟国に軍事的な負担を求めてきた長い歴史がある。私は同盟国と合意点を見出していく」と述べ、日本と米軍駐留経費の負担増など応分の軍事的負担を求める考えを示した。

 国際コラムニストのケビン・クローン氏は「アメリカの軍事技術には日本の民間技術で使われているものがたくさんある。新しい兵器開発などのビジネスもできる。日米の産学で組んで新しい産業や技術の開発を行うべき」と持論を展開。

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 だが、国際メディアコンサルタントの七尾藍佳氏は「トランプ氏はその重要性は分かっていない」と指摘する。「インディアナのエアコンメーカーのキャリアという会社が工場をインディアナポリスからメキシコに移そうとした時、トランプ営は圧力をかけた。結局、移転できなかった。結局何があったかというと700万ドルくらいの補助金が政府から受け取っていたということだった。この中で一番得をしたのがキャリア社。企業なんです。トランプにすりよった結果、補助金がもらえている。市場の透明性を損なっている」と批判した。

 国際ジャーナリストの小西克哉氏は「日米関係全体について言うと、日本のやることはあまりできない。一つできるのはトランプに対して関税を上げたり、国境税を取ったりするということは世界経済全体の首を絞めることになる。結局、トランプからすれば自分を支持してくれた白人労働者層の首を絞めることになる。現在4%の失業率で比較的にいい状況だが、それが悪化すると一番困るのはトランプ氏自身。そういうことを言えるのは同盟国である日本しかいない」と語る。

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 これに対してジャーナリストの山口敬之氏は「経済と安全保障は完全に分けて考えるべき。まずトヨタ、日産はアメリカ国内に工場を持っている。アメリカ国内での雇用を増やしたいならアメリカの国内生産を増やせばいいだけ。安倍総理がトランプ氏と会談した時に総理は『トヨタの車の米国製部品の使用率は76%あります』とも説明している。アメリカ車よりも日本車のほうが雇用を生んでいます、と説得していくのが日本の戦略だろう」と説明する。

 また山口氏は「トランプ氏は選挙向けに喋っていることと実際のネゴシエーションは全く違う。安全保障について言えば、選挙中はもしカネ払わないなら(在日米軍は)撤退すると言っていた。だが大統領になってからは一切、そのようなことは言っていない。中国が嫌いなんだから日本から撤退なんてできるわけない」。

 自民党参議院議員の青山繁晴氏も「(撤退は)絶対ない」と断言する。在日米軍の負担増については「出してもいい。アメリカ軍の経費は1兆円を超える程度、すでに日本は7500億円出している。あと2500億円くらい。すべて出したらアメリカ軍は日本の傭兵になって、日本が命令を出すことになる。そうなると困るのはアメリカ。だが、本当に心配しないといけないのは『イラクに自衛隊を派遣しろ』などの要望が出てきた時だ」と指摘する。

 また、目下の懸念は北朝鮮だ。ミサイルの打ち上げなど、日本を挑発する軍事行動を行っている。国際ジャーナリストの小西克哉氏は「北朝鮮問題に対する認識はトランプ政権の中でかなり優先順位が高い。オバマ氏とは比べられないくらい高い。実際に働きかけるなら、このタイミングしかない」。青山氏は「北朝鮮側からしてもこれはチャンス。トランプ氏は金正恩氏と会いたいと話していた。直接、米朝が対話するチャンスになる」

 中国と北朝鮮に対し、日米はどう対応していくのか。次回の日米首脳会談がすべてのカギを握ることは間違いなさそうだ。

(AbemaNewsチャンネル/みのもんたのよるバズ!より)

(C)AbemaTV

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