BLAHRMYのMILES WORDOlive Oilがジョイントアルバム「WORD OF WORDS」をリリースした。当初は2016年7月にお披露目されるはずだったが、制作上のアクシデントで発売延期に。しかし2人はこれをきっかけにアルバムをさらにブラッシュアップ。洗練されながらも極めてダーティな作品を完成させた。彼がOlive Oilとこのアルバムを作る中で何を思ったのか? またOlive OilはなぜMILES WORDとアルバムを作ったのか?2人に話を訊いた。 

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ーー「WORD OF WORDS」を作るきっかけを教えてください。 

MILES WORD:2014年の12月に(群馬県)桐生でRITTOさんとOliveさんがGUESTのパーティがあって。それに俺も出演者として呼んでもらって、初めてオリーブさんとちゃんと話せたんです。俺はそのパーティに自分の音源をありったけ持って行って、「とにかく一緒にやりたいです」ってラブコールしました(笑)。 

Olive Oil:沖縄のRITTOや福岡の後輩からマイルスのことはよく聞いてて、「面白そうなやつだな~」と思ってたんですよ。それで桐生でしっかり話せて、意気投合したんです。 

MILES WORD:BLAHRMYで最初に沖縄に呼んでもらったのがLOVEBALLっていうクラブで。LOVEBALLは赤土クルーが根城にしてるハコなんで、そこから沖縄の人たちとも仲良くなりました。RITTOさんはオリーブさんとガッチリやってるから、桐生では彼らが俺とオリーブさんをつないでくれたんです。

Olive Oil:あと俺が江ノ島のOPPALAにライブしに行った時にさらに仲良くなりましたね。俺は延泊して、マイルスと焼肉行ったり、酒飲んだり。DLIP RECORDSの仲間も紹介してもらって。そのあとマイルスがいきなり福岡に来たんでよ。数週間前に「◯月◯日に行きます」って連絡はもらってたけど、それから一回も連絡なくて。普通「◯時頃の電車で行きます」とかあるでしょ(笑)。 

MILES WORD:前日に連絡しませんでしたっけ? 

Olive Oil:なかったよ(笑)。 

博多はいろんなジャンルの人が横で繋がってる(Olive Oil)  

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MILES WORD:一緒に曲を作りたかったからですね。 

Olive Oil:マイルスが俺の家で寝泊まりするようになってから自然と曲が増えていって、じゃあアルバムを出そうということになったんです。 

MILES WORD:もともと何も決めずに博多に行ったんですが、結局2~3週間オリーブさんの家に泊まらせてもらいました。2~3日したら「鍵あそこに置いといたから、あとは勝手にしてて」みたいな感じでしたよね(笑)。 

Olive Oil:俺は自分が出演する以外、夜はそんなに出歩かないんで(笑)。 

MILES WORD:博多は魅力的な街でしたよ。とにかくあったかい。みんな優しいし、メシも美味いし、女の子も可愛い(笑)。しかもオリーブさんがいるっていう。あと毎日どこかでパーティやってる。行きたいと思えばいつでも遊びに行ける環境は大きかった。 

Olive Oil:福岡ではヒップホップ、グラフィティ、スケート、ハードコアパンクとかいろんな人たちが全部横で繋がってるんですよ。そういう意味では、確かに福岡は規模がデカいかも。俺もロックの人とかと普通に飲み仲間だし、みんなジャンルとか関係ないんですよ。そういうのは俺が作るトラックにも影響を与えていると思います。 


オリーブさんは普通に喋りながらビートを組んでいく(MILES WORD)

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MILES WORD:スタジオに行く度に新しいビートができてるんでびっくりしましたよ。オリーブさんは感覚がすごいんです。「O MOON」なんかはまさに曲が最初にできる瞬間に立ち会ってるんですけど、スタジオで一緒にレコードを聴いてて「今のとこいいじゃん」みたいな感じになるとすぐにそこをサンプリングしてドラムマシーンでビートを組み始めるんです。            

Olive Oil:簡単にループを組んで、そこから考える。「O MOON」はマイルスと1時間くらい話しながら骨組みを作りました。 

MILES WORD:そう、普通に喋りながらやってるんですよ(笑)。なのに、どんどんオリーブさんのビートになっていく。ナグ(NAGMATIC)はいつもほぼ完成形のトラックをくれるから、今回オリーブさんと一緒に曲作りできたのはいい経験になりました。そもそも俺はナグのビートでしかやったことがなかったから、他の人とやること自体がすごく新鮮だったんです。 

Olive Oil:逆に俺は「DOORS feat. SHUNS’KE G」とか「SPECIAL THXX」でマイルスに寄せたというか、ちょっとドラムを強めにしてD.L.I.Pっぽい感じを意識したんだよ。そういえば、今回結構ビート渡したよね? 

MILES WORD:トータルで50曲くらい? その中から俺が(リリックを)書きたいビートを選んだ感じですね。作詞やレコーディングはほとんど藤沢でやってます。 

Olive Oil:ラップが入ったら曲を送ってもらって、俺もその間に新しく作ったビートをマイルスに送っていく、みたいな。 

「WORD OF WORDS」は完成までに何度も聴いたアルバム(Olive Oil) 

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MILES WORD:今回、客演のヴァースが最初の締め切りに間に合わなくて、発売延期してるんですよ。そのあと、曲が全部揃った段階ですぐに発売しちゃおうという話もあったんですけど、どうせ遅れるならもっと作り込もうという話になって。      

Olive Oil:うん。すごく作り込んだ。普段はやらないんですが、今回初めてアルバム全曲パラアウトしてるんですよ。過去にBOSSさんの曲で一回やったけど、アルバムごとやるのは今回が初めて。 

ーーパラアウトとは、キック、スネア、シンバルなどビートの中の音を個別に出力することですね。ミックスの段階でより細かい指示をエンジニアに出せる。 

Olive Oil:そうですね。今までは曲を丸ごとマスタリングに出してたんですけど、「WORD OF WORDS」は本当に細かいところまでこだわってます。アルバムの構成や、ミックスやマスタリングの仕上がりに関するジャッジはマイルスがやってくれて。 

MILES WORD:エンジニアは関西でアーティストとしても活動しているNOAHさんにお願いしたんですけど、彼から上がってきた音をオリーブさんに相談したりもしましたね。 

Olive Oil:NOAHは毎回出音が違うものを2パターンくらい作ってくれるんですよ。彼は本当に仕事が丁寧で、信頼できる男です。    

MILES WORD:でも俺とオリーブさんからそれぞれ個別に注文が入ってくるからNOAHさんは本当に大変だったでしょうね(笑)。  

Olive Oil:大変といえば、「WILL B」問題があるよね(笑)。あの曲はもともと全然違うビートだったんですよ。でもそのビートにマイルスのラップが乗ったものを改めて聴いてたら、すでに別の人が使ってるやつだということに気づいて。 

MILES WORD:それが完成間近の、もうマスタリング直前くらいに発覚した(笑)。 

Olive Oil:それでマイルスにラップのアカペラデータを送ってもらって、俺が急遽ドラムパターンを組んでまたマイルスに戻したんですよ。そこからさらにマイルスがラップを手直しして、ようやく今の「WILL B」になった。 

MILES WORD:で、実はこの「WILL B」の原型が当初アルバムの1曲目だったんですよ。でもそんな理由で1曲目が無くなっちゃったから、オリーブさんが速攻で「READY」のビートを送ってきてくれて。聴いたらめちゃくちゃヤバい音だったんで、俺もすぐに歌詞書いたという。それがスケジュール的には結構キワキワでしたね。 

Olive Oil:結構余裕持って制作してたはずなんだけどな~(笑)。 

マイルスとは音楽がなくてもいい飲み仲間になれる(Olive Oil)

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MILES WORD:はい。OILWORKSのパーティーの映像があって、それでオリーブさんがこの「WORD OF WORDS」の楽曲の一部をプレイしているんですよ。それがすごくヤバくって、YouTubeから拾ってそこにラップを乗せて「このビートでやりたい」ってオリーブさんに送ったんです。 

Olive Oil:でもこのビートはすでにFreezとB.I.G.JOEの曲で使ってて(笑)。でも未発表だし、しかも作ってからもう何年も経ってるから、リミックス的な扱いということで今回使うことにました。マイルスも曲の頭で「リミックス」って言ってくれてる。あと俺的には、マイルスが「FDL」のビートを選んだのが意外だったな。 

ーーこの曲は歌詞が攻撃的ですね。 

MILES WORD:「FDL」は「FUCK DA LAW」の略なんです。俺は去年色々あって、それを歌にしてます。

ーー色々あったとの事ですが、その前後ではラッパーとして言いたいことは変わりましたか?

MILES WORD:いや~、それは特にないですね。ただマインド的にはすごく変わりました。これからはもっと真面目に音楽をやろうと思いましたね。その意味でも今回オリーブさんとアルバムを作れたのはめっちゃ嬉しかった。オリーブさんはクラシックが作れる人だと思ってて。でも実際に一緒にアルバムを作ってみて、人としても、男としても、すごく尊敬できる人だと思いました。

Olive Oil:5lackもRITTOもKOJOEもそうなんだけど、みんな遊び友達なんですよ。焼き鳥食べに行ったりとか。多分音楽がなくてもいい飲み仲間になれるというか。俺が一緒にアルバムを作ってる人は、みんな一緒にいても苦にならないというか、楽しい気分になる人が多い。マイルスって普段はタメ語で喋るんですよ。 

MILES WORD:そんなことないですよ(笑)。 

Olive Oil:今日のインタビューはなんかちゃんとしてるけど(笑)。でもそういうノリが俺としてすごく楽なんです。 

MILES WORD:そうじゃないと作れませんよね、アルバムは。 

Olive Oil:うん。逆に単発の曲じゃやりたくないっていうか。マイルスとやるなら、アルバムでがっちり組んだ方が伝わると思ったんですよ。それが一番デカいですね。    

TEXT:宮崎敬太
PHOTO:小原弘樹

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artist:MILES WORD x OLIVE OIL 

 title:WORD OF WORDS 

 label:DLIP Records x OILWORKS Rec. 

 01. READY 

 02. SOLDIER’S 

 03. BIRD’S EYE VIEW feat. RITTO 

 04. BCOME OCID GU MILES 

 05. FDL feat. SHEEF THE 3RD, 祀SP 

 06. BURN 

 07. FLY GIRLL feat. 紅桜, DUSTY HUSKY 

 08. WWARAEE 

 09. NO NA KA 

 10. WILL B 

 11. DOORS feat. SHUNS’KE G 

 12. SIVA SHANTI feat. BRON-K 

 13. O MOON 

 14. AT THE TIME 

 15. WORD OF WORDS 

 16. SPECIAL THXX 

 17. AT THE TIME (LAF REMIXX)


MILES WORD x OLIVE OIL / AT THE TIME 

MILES WORD x OLIVE OIL / SOLDIER'S

MILES WORD x OLIVE OIL "BURN"

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