ついに9月10日(土)から公開されるDCコミック映画シリーズ最新作『スーサイド・スクワッド』。本国では興行収入ランキング3週連続1位を達成した大ヒット作を、いまノリにノッているのR-指定Creepy Nuts)がいち早く観賞!

 奇しくも公開日が誕生日だというR-指定は、この超話題作をどう観たのか? かなりの映画好きとしても知られる若手随一の技巧派ラッパーに『スーサイド・スクワッド』について語ってもらった。

■今回のジョーカーはギャングスタ。ヒップホップの影響受けてる

― まず『スーサイド・スクワッド』をご覧になって、もっとも印象的だったシーンはどこでしたか?

全員集合して歩いてくシーンとか、カッコよかったですね。エル・ディアブロが✕✕✕✕シーンも印象に残ってます。「え、それできんの!?」みたいな(笑)。溜めて溜めて……っていうね。あと、ハーレイ・クインが✕✕✕するシーンとかもビックリでしたね。

エンチャントレス役のカーラ・デルヴィーニュもすごくキレイでした。(福原かれん演じる)カタナとか、もうちょっと観たかったですね。

ちゃんと全員に役割分担がしっかりあって。欲を言うと、チームが結束していく過程をもっと見たかったですね。2時間には収まりきらなかったんかな?

― 未公開シーンもかなり多いそうですし、ソフト化された際の特典映像/未公開映像のボリュームはスゴいことになるんじゃないかと。

こんだけ濃いメンツ出てきて2時間ナンボで収めんのは難しいですよね。もっと何か絶対あるはずやな?って思いますもん。キャラが濃い奴が多かったので、みんなで語るシーンみたいなんはもっと必要ですよね。『ジョーズ』の傷を見せ合うシーンみたいな(笑)。そこだけずっと観てたいくらい。ひとりひとりのサイドストーリーというか、もっとちゃんと見たいなって思えるほど魅力的でした。

― その中でも特にお気に入りのキャラクターは?

やっぱりエル・ディアブロがすごい好きですね、チカーノみたいな感じで(笑)。あ、エンドクレジットにCOMMON(コモン:シカゴ出身のグラミー受賞ラッパー/俳優)って出てきたんですけど……。あの冒頭に出てきた✕✕✕✕の奴や! 普通ぜんぜん気づかないっすよね。

― ジャレッド・レト演じる新ジョーカーはどうでしたか?

僕、いちばん好きなジョーカーがジャック・ニコルソンなんですよ。ティム・バートン版の初期2作(『バットマン』(1989年)『バットマン リターンズ』(1992年))が好きです。一番好きなのはペンギンなんですけどね(笑)。

昔からマンガとか映画でも、敵キャラが好きなんですよ。ゴジラやウルトラマンでも敵の怪獣を応援しちゃう感じで。

今回のジョーカーはギャングスター感ありましたね。ヴィランたちの“ワルのイメージ”がヒップホップ以降の感性やなって思いました。タトゥーだらけの感じとかも今っぽくて、KOHHみたいになってましたね(笑)。

ヒップホップが一般的になってからのワルはスタイリッシュというか、ヒップホップなくして今回のジョーカーのイメージはなかったですよね。昔のヴィランよりも「アブなそうやな」「やんちゃやな」って思えますし。

― レトは撮影中かなりジョーカーになりきっていて、共演者から「あいつヤバいんじゃね?」みたいなことになったそうです。

やっぱりジョーカー役って大変なんやな。もう“ジョーカー”っていう言葉の持つカルマというか・・・。ヒース・レジャーもね。あ、田中聖も大変なことになりましたもんね(笑)。

■ハーレイ・クイン、メチャかわいい!実写版“ドキンちゃん”みたいな(笑)

― そんなジョーカーを慕うハーレイ・クインはどうでしたか?

予告編はもちろん、実際観てみても、いちばんインパクトありました。そもそもハーレイってアニメが初登場で、それからコミックに出てきたんですよね? でも全然違和感なくて、めちゃめちゃかわいい。

(ハーレイを演じるマーゴット・ロビーは)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に出てた人なんですね。「え、あの人なん?」って思うくらい、全然違うキャラだったんでびっくりしました。男を振り回しそうな顔してますよね、なんかドキンちゃんに似てません?(笑)

― 多くの女性は、ハーレイのジョーカーに対する想いに共感できるみたいです。 “ドS王子”に振り回される感じが「わかる~!」「こういう悪い男にハマっちゃうとこうなるよね」みたいな。

アカンわ・・・。中島みゆきの「空と君のあいだに」の歌詞みたいなことですよね(笑)。

「君の心がわかる、とたやすく誓える男に なぜ女はついてゆくのだろう そして泣くのだろう」ですよ。男からしたら「分かってたでしょ、そんなこと」って思うんですけどね。

― 個性豊かなキャラクターはもちろん、本作はサントラのほうもかなり豪華です。

今回ウィル・スミスは歌ってないんですか? 僕、ウィル・スミスの「自分が出る映画で自分の曲を歌いたがる感じ」も好きなんですよね(笑)。『MIB』とか『ワイルド・ワイルド・ウエスト』とか。

あのウィル・スミスにしては今回ガッ!と出てきてなかったなと。今回も画面支配率スゴいかなって思ってたんで(笑)。

デッドショット(演:ウィル・スミス)も本来のキャラ設定は分からないですけど、貧困層の黒人の人たちが抱えている問題も描かれてて。自分はゲットー育ちでダーティな仕事してるけど、娘にはちゃんとした教育させたい……みたいな描写とか。人種を変えることによって説得力が増すっていう現象もあるんだなと。

■フリースタイルバトルのブームが終わったら悪者にされるのは俺たち。『スーサイド・スクワッド』にもそういう“悲しさ”があるし、だからこそ共感できる。

この人らは言うたら、けっこう損な役回りというか汚れ仕事でしょ?『エクスペンダブルズ』的な(笑)。ヒップホップ業界でも俺や周りの人とか、フリースタイルバトルに出てるラッパーは“バトルMC”ってひとくくりにされるんですけど、そのバトルMC同士で「俺らもけっこう『エクスペンダブルズ=消耗品』やな」みたいな話をしたんです。

ただ“殺し合い”をして、お客さんや業界自体は喜んでくれて……でも俺らにはあんまり見返りがない、みたいな。まだ楽曲とかライブで満足にお金を貰える人は少ないので、見世物みたいにバトルに出て盛り上げるけど、自分らの商売には繋がらない。そういう意味でも『スーサイド・スクワッド』に感情移入する部分はありましたね。

今のフリースタイルブームの現状を危惧しているところもあって。もちろんバトルに出られて嬉しい人もいるんだけど、俺とかは自分のクルーもあるし、ライブとか楽曲制作も頑張ってるので、そっちのほうで何かあれば……と思ってバトルとかにも出てるんです。

ってか、昔から日の目の当たらんことをやってたつもりで、むしろ「こんなもん誰も見向きもしないだろうけど、俺らは好きだから」ってバトルに出てたら、それが注目されてお客さんも来はじめた。それで“盛り上がってる”ってなっても、ブームが終わってお客さんがごっそり波みたいに戻ってったときには、おそらく俺らが悪者になるんやろうなって思ってて。

今すごいブームで「お前らも嬉しいやろ」みたいなこと言われたりもするんですけど、「いや、そうでもないっすね……このブームが終わった後の戦犯は俺たちになるんで……」みたいな。 ずっとアングラなとこでやってたバトルがバッとメディアに取り上げられて、そのブームが終わって衰退したらまた地下に逆戻りみたいな、そういう悲しさは共感できます。

― 最近はテレビとかでも「フリースタイルやってくださいよ!」とか軽く振ってくることが多いじゃないですか。あれはファンからしたら腹立ちますよ!

過去に普通にお客さんがいる喫茶店の中で「じゃあ、これとこれをお題にフリースタイルやってください」とか言われて(笑)。俺も、そこで断って舐められるのも嫌やしと思ってやったんですけど、その反応も「あ~……」みたいな感じで(笑)。その後、蕁麻疹出ましたけどね。あぁやっぱり嫌やったんやな俺、みたいな。

ブームになってから来るようになった仕事は、かなり選んでるんです。これはちょっとやり過ぎやなとか、誤解されるなとか。だからアーティスト活動のほうを頑張ってるんですけど、結果いちばん目立ったりすると、何かヒップホップ・シーンに不利益があったときに槍玉に上がるのは、俺らかもしれないなって。

― では最後に、R-指定さんの『スーサイド・スクワッド』オススメポイントを教えてください。

なんといっても色彩、ビジュアルのインパクトですよね。ベタかもしれんけど、やっぱり“画ヂカラ”というか、ひとりひとり“こいつもっと見ときたい!”って思えるキャラクターがちゃんと揃ってる。逆にストーリーを追うのが苦手っていう人も、ビジュアルだけで最後まで持ってかれるっていうか。とにかく画のインパクトがスゴいし、それだけで映画が魅力的になる。

このメンツなら単体でもっといろいろ観たくなるし、みんな「結束するんかいお前ら!?」みたいな奴らなのでアガりますよね。キャプテン・ブーメランとか、佇まいがしっかりクズなのが良い(笑)。だらしない感じとか、俺が一番近いキャラはこいつやろうな~。

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