「ルパン三世」の原点をリビルドした『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(14)の第2弾、『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』が公開になる。今作では若く血たぎる石川五ェ門が主人公で、汚名を晴らすべく圧倒的な敵を斬って斬って、斬りまくるハードコアな展開も見ものだ。五ェ門役を務める浪川大輔は、現在の五ェ門につながるように巧みに演じてみせるが、「これでようやく、『石川五ェ門の声を演じています！』と口に出して言っても怒られないかなって」と謙遜する。新たな代表作になるだろう本作への想いなどを聞いた。
――本作は、石川五ェ門にクローズアップした“主演作”ですが、収録が始まるまで、どのような心境でしたか？
先の段階で収録初日の日程は決まっているわけですが、その日が早く来てほしくて早く演じたい気持ちと、来ないでくれというような複雑な心境でした。押し潰されちゃいそうな不安感と期待感でした。でもいざマイクの前に立って始まれば、そういうこと考えているヒマもないわけですが、ちょうど今回の五ェ門も苦しんでいるので、リンクしました（笑）。
――今回の五ェ門は、今まで観たことがないような側面も楽しみですよね。
そうですね。だいたいいつもさっとスタイリッシュに出てきて、スパッ！ と終わらして「じゃ」って帰っていくような感じですが、今回はそこまでいじめますか、というくらいいじめますので、女性の方には五ェ門を見守るように観てほしいですかね（笑）。「今回の五ェ門、かわいそう！」みたいな声もあるとうれしいですね。感情があまり表に出ないストイックな男なので、そういうこだわりみたいなところも見ものなのですが。
――若い時代を描いてはいますが、これまでの石川五ェ門の理解を補完するような作品にもなっていると思いました。
もともとは大人向けの漫画としてスタートしていて、それはそのまま今回のアニメーションでも感じるエッセンスではあると思います。渋くてダンディーでカッコいいという、どこか昭和の匂いがしますが、それがルパンという作品の大きな魅力ですよね。セリフにもありますが、「何かを得るためには、何かを捨てなければならない」など、男性が観てもあこがれるような世界観。それが今回、五ェ門の成長にもつながっていくわけですが。
――ただ、カッコいいだけでなく、生きて行く上での学びもありますよね。
僕もすごいなって思ったことは、“考えるよりも感じろ！”じゃないですが、考えると1秒2秒かかるけれど、それは達人じゃない、みたいな発想ですね。もともと斬轍って居合いの達人ですから、一瞬で物事が終わるんですけれど、その一瞬をどう表現するかということが、今回のお話なのかなと。一瞬にもいろいろとあるので、その一瞬をどれだけ意味のあることにしていくか。改めて勉強させていただいたなと感じました。
――その彼のイキザマって自分の日常にフィードバックできそうなものってありました？
正直不器用だなって思うこともありますが、それが貫きとおせる感じは、憧れでもあります。自分でもそうできたら、カッコこいいなあと思います。自分では、これほどストイックに行くということは、ないですね。途中で妥協したり、すぐ頭を下げてしまうタイプなので、そういう意味では五ェ門はあこがれの人に近い。なりたい人ではありますよ。そういう想いは、強いかもしれないですね。ただ、付き合いづらそうですけど（笑）。
【原作：モンキー・パンチ (C) TMS】
――石川五ェ門という男と出会い、今回のような“主演作”まで生まれ、改めていま、どういう心境ですか？
あくまでネタで“全盛期が12歳”と言っていますが（笑）、なかなかうまくいかないものですよね、人生。『スター・ウォーズ』シリーズや、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズが転機となった作品ではありますが、五ェ門と役として出会ったのは30代半ばで、まだ5年ほどなんです。30歳までサラリーマンをやっていたこともあって、そういう意味ではまだ新人気分。子役時代も含めて芸歴は確かに30年以上ありますが、まだまだなんです。だから今回の『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』のような作品でメインをはることは、とても光栄で幸せなこと。これでようやく、「石川五ェ門の声を演じています！」と口に出して言っても怒られないかなって、そういう想いです。
映画『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』は、2016年2月4日（土）より、全国ロードショー！
原作：モンキー・パンチ (C) TMS
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