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 先進国で近年大きな問題になっている「食べられるのに捨てられる食品」、フードロスの問題。まだ食べられるにもかかわらず、捨てられていく食料の量は、世界では年間13億トンに上り、日本ではおよそ630万トンに達すると推計されている。国民一人あたり、毎日おにぎり2個分の食料を捨てている計算だ。

 「フードロス」の実態を分かりやすく教えてくれるスタディーツアーを開催している、一般社団法人リディラバの安部敏樹代表は「自分が食べ残しをしなくても、コンビニで買っている以上はフードロスが出る構造があり、そのために税金が投入されているという仕組みがある。その現実を体験、考えてもらいたい」と話している。

 実際に、フードロスの現場を取材した。

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 株式会社日本フードエコロジーセンターには、1日30トン以上の食品廃棄物が運び込まれる。取材した2月3日には、賞味期限内の恵方巻や、その材料が大量に運び込まれていた。同社では運び込まれた廃棄食料を丁寧に分別・加工し、豚の餌としてリサイクルしている。この"廃棄食料"からつくられたエサを食べて育った豚は、ブランド肉として販売されている。同社の高橋巧一・代表取締役は「食品会社は自分たちが廃棄しながら、きちんとした製品として戻ってくるということで、本当の意味での循環の仕組みが出来上がる」と説明する。

 しかし、年間630万トンの"フードロス"のうち、リサイクルされているのは「3割程度」だという。残りはゴミとして、自治体の焼却炉へ運ばれていく。「燃やしても結局灰が残るので、その処理も必要。1トンのごみを燃やして処分するのには7万円から8万円かかる計算で、この費用の半分くらいは税金で賄われている」(高橋氏)。

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 現行の食品リサイクル法では、食品事業者はロスを出さない努力やリサイクルの義務を負っているが、年間100トン以上の廃棄食料を出す企業以外には罰則規定がないため、小規模事業者の多くはその義務を果たしていないのが現状だという。

 一体なぜ、こんなに大量の"フードロス"が運びこまれるのか。高橋氏は「コンビニは1日に3回発注をかけるんですよ。それに万が一間に合わないと食品工場は莫大なペナルティ料金を払わされるんです。ペナルティ料金を払わされるくらいなら、1トンや2トンのごはんを捨てることはなんでもないというのが、今の日本のやり方なんです」と指摘した。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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