「俺はあの頃に戻りたいとか一度も思わない。それは今の密度がすごく濃いからかなと思います」——新作『ABANDON』を完成させたRUEEDは清々しくそう語った。その時その時の自分を投影するという一念で彼が重ねてきたアルバムもここに数えて5枚目、初のリリースからほぼ10年という節目を飾るアルバムは、そうした心の充実が無理なく作らせたものと言えるかもしれない。ここで彼はダンスホールという自らの初心を忘れることなく、新たなプロデューサーとも交流している。映画初出演となった「スカブロ」も近く公開が予定される彼のインタビュー。 

初リリースから約10年 RUEEDインタビュー「今の瞬間に没頭するっていうのをアルバムで表現できたらなって」(前編)
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——じゃあ普段から曲のリリックやアイディアを書きとめたりとかは? 

RUEED:最初はボイスメモが多いですね。車が多いんで、降って来る時は。オケを聴きながらっていうのもあるし、全然別の曲を聴きながらフレーズが降って来ることもあるし、無音から降ってくることもあるし、それを家やスタジオで形にしていくのがメインかな。 

 ——そういうフレーズ発信でトラックに乗せて曲にすることもあったりします? 

 RUEED:はい。そういう変化球でできたのが「NICE TO MEET YA」なんですけど。ホントこの曲(のリリック)は結構前にできて温めてたんで、やっとできたかって感じでしたし、それがハマってよかった。 

——この曲は、ご自身も準主役として出演した映画「スカブロ」(今春公開予定)の主題歌にも決まったとか。トラックは初の顔合わせとなるJIGGさんですが、彼にオファーした理由は? 

RUEED:それも直感で、なんとなく導かれるようにJIGG君にオファーして「今こんな状態なんですけど、ダンスホールを作って欲しい」って言って。そしたらレゲエのトラックメイカーが作るダンスホールとまた違う新しいアプローチで作ってくれました。 

——「NICE TO MEET YA」を新しいアプローチのダンスホールとするなら、それこそ「BABYLON BOY」のような曲はアグレッシヴなリリック含めこれぞストレートなダンスホールチューンですね。

RUEED:そうですね。ダンスホールの曲が持つ独特なトピックもやりたいと思ってたんで、そういうところに帰りつつ、ちょっと新しい自分を出してみるみたいな。俺ん中には「BABYLON BWOY」みたいなアティテュードだけじゃなくていろんな瞬間があるし、生きてて弱気な瞬間もきっとある。それを表現できたらいいなって感じでしたね、今回のアルバムは。 

——そうした中で、旅の空でさらにその先へと思いをはせるかのような「NICE DREAMS」は、ひょんなことから生まれた曲だとか。 

RUEED:「NICE DREAMS」は飛行機の中で書いて。友達に耳にイヤホン突っ込まれて「これ聴いてみて」みたいな。でそのトラック聴いてるうちに書けたんですけど、別にそれもアルバムに入れようと思いながら書いてたわけじゃなくて、自然に導かれるように形になっていったのが今回はすげえ不思議だったっすね。ホント楽しんでった方がいいんだなっていうか、やりたいことやって楽しくしてる方がいいものができていくなって自分で確信してるから、それを再確認できたのもよかった。 

——そうした制作を経てアルバムが完成して、大きな話になりますが、次の10年に向かって今どんなことを考えてます? 

RUEED:10年前には10年後をイメージしてた気がするんですけど、今ははっきりとイメージできてない。でも、それが全然不安じゃないって気持ちで楽しい。映画をやってみたことで、やったもん勝ち感っていうか、どうせやるなら絶対楽しんでやった方がいいっていうのにも気づいたから、何が来ても大丈夫っていう気持ちで新しい年が始まった気がしますね。 

——実際、映画「スカブロ」に出演してみて糧になったようなことはありました?

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RUEED:撮影の最後の方はすっげえ燃えた部活みたいになってまだ終わりたくないって感じで(笑)。とにかく超新鮮だったし、音楽のアルバム制作とちょっとシンクロする部分を感じました。人生は映画ってよく言いますけど、何気ない日常も何気ないシーンだってあるし、カッコつけろってことじゃなくて自分が主役で生きてるっていうのがすごい大事かなと。 

——言ってみれば音楽にしても日々のシーンを切り取ってるともいえるわけで、アルバムの中にも何気ない風景を歌う曲もあれば、怒ってる時や弱ってる時の曲もあるしっていう。 

RUEED:それを一つ一つピックアップして曲にしてるみたいな感じかなあと思うし、怒りからチルな自分に変わっていくそこまでの流れはそれはそれで一曲になる。人生のどこを切り取ってもそういうシーンになるようなものだったら一番いいんですけど。 

——このアルバムしかり、それぞれのアルバムが様々なシーンを切り取ったものになればいいですよね。このアルバムがリスナーにとってどんなものになればいいと? 

RUEED:自分が曲作るのもホント軽いきっかけがあってなんで、聴く人にもそういうきっかけを与えられたらなって思いますね。自分が音楽からもらった、もらってるように。あとはライヴに来て欲しいですね。 

TEXT:一ノ木裕之

PHOTO:小原啓樹

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[Track List] 

01.INTRO 

02.NICE TO MEET YA 

03.LOVE LIFE LIVE 

04.RAW SOUL 

05.BABYLON BWOY 

06.REAL THING 

07.THE EXTERMINATOR 

08.MAGNUM LYRICS(feat. RUDEBWOY FACE&AKANE) 

09.REGGAE START A FIRE 

10.TURN 

11.RAINY RAINY 

12.A5OBITAI REMIX (feat. PUSHIM&RUDEBWOY FACE&AKANE) 

13.NICE DREAMS 

Featuring Artist : PUSHIM / RUDEBWOY FACE / AKANE 

Track by : JIGG / StarBwoyWorks / GACHA / 5lack / VANGEE / Tommy Swine / Killa Nami / Noon Beats / coba84

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