「きっと心の中では笑っていて反省はひとつもしていないと思います。犯人はまた絶対に同じことをする。また犠牲になる人が絶対いる。こんな人を野放しにしてはいけない」

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 去年5月、東京・小金井市で音楽活動をしていた冨田真由さん(事件当時20)の首や胸をナイフで刺し、殺害しようとした事件。逮捕・起訴されたのは、冨田さんのファンだったはずの岩埼友宏被告だ。

 24日、東京地裁立川支部で開かれた裁判員裁判の後半。被害者の冨田真由さんがまだ心の傷も癒えない中、勇気を振り絞って意見陳述を行なった。

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「事件の日から本当に全てが変わってしまいました。家族と過ごした時間、友達と他愛もない話をして笑っていた時間。大学で大好きな勉強をすること、大好きな音楽やお芝居をすること。今まで大切に積み重ねてきたものや、時間の全てが一瞬で奪われてしまいました。普通に過ごしていたはずだった毎日を返して欲しい。犯人の身勝手な行動のせいで失ったものは数え切れません。傷のない身体も失ったものの一つです。傷のない、元の身体を返してほしい」

 事件からおよそ9カ月、冨田さんは今も傷を保護するテープを毎日取り替えなければならず、その度に、執拗な嫌がらせ・事件のことを思い出す毎日を過ごしているということを訴えた。すると、「じゃあ殺せよ!」と岩埼被告。衝立の向こうの自分を刺した犯人の発言に、一瞬息を飲んだ様子だった冨田さん。だが、覚悟を決めたように、さらに大きな声で続けた。

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「絶対に許してはいけない!一方的に感情を抱き、思い通りにならなければ、人を殺そうとする人です。私を恨んで今度こそ私を殺しに来るかもしれない」

 その後、「殺さない!殺すわけにいかないだろう!」と何度も続けたため、意見陳述が中断。岩埼被告は退廷を命じられた。この後、冨田さんはそれ以上話すことができなくなり、続きは検察官が読み上げることに。

 インターネットとライブで近くなったアイドルとファンの距離。ファンとアイドルの関係のあり方を考えさせられる事件はこれだけではない。

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「続けていきたいって気持ちはあります。その反面、続けていけるのかな私って…」と涙を流し緊急会見を行ったのは、アイドルグループ「仮面女子」の神谷えりなさん(25)。アキバ系最強の地下アイドルと呼ばれる「仮面女子」の中でも、神谷さんは年間アイドルDVDランキングで国内2位に輝くほどの人気ぶりだ。

 その神谷さんの1月24日のブログに、「神谷えりなのようなクズは生かしておけんな 神谷えりな てめえを殺すぜ」という殺害予告が。警察に被害届を提出したものの、警察からは「海外のプロバイダを経由し匿名ツールを使用しているため犯人の特定は困難。殺害予告を野放しにするしかない」と伝えられたという。「私の周りでもスタッフさんやマネージャーさんが守ってくださっているのですが、最後の頼みだった警察の方に現状は犯人特定不可能と言われてしまい、すごく悲しかったです」と不安をあらわにした。

 他にも熱狂的なファンとは別の角度から嫌がらせを受けることも。

「今後改善が見られない場合、弁護士・警察と相談の上、粛々と進めることになりますので、よろしくお願いします」

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 豊乳キャラで知られるぱいぱいでか美さんも、SNSで嫌がらせに巻き込まれ、悪質なファンに向けてブログで最後通告をした。一体ぱいぱいでか美さんはどのような嫌がらせを受けたのか。

「1年4カ月にわたって同一の方から嫌がらせを受けていて」と語る彼女。精神的に追い詰められ、心と体に異変が起きてしまったという。「眠れない、食べられない、ですとか。逆に起き上がれない、食べ過ぎちゃうみたいな異変があったり。あとは手が震えて何もできないような時もありました。公の場で書くことで解決の糸口になればいいなと思って書きました」とその意図を明らかにする。

 きっかけは芸人Aさんのラジオ番組にぱいぱいでか美さんが出演後、お互いSNSで相互フォローになったことから始まったという。「芸人ならだれでもいいんですか?今すぐAさんとの相互フォローをやめろ!」と過激な投稿があったというのだ。「芸人さんとぱいぱいでか美は付き合ってる」「ファンに嘘をついて夜な夜な会っている」というように、「ツイッターを更新したらその方のSNSと結びつけて『これが付き合っている証拠です』みたいな。無理やり作り出されたりとか。更新していなかったら更新していないで、『つぶやいていない。この時間はデートしてるんだ』みたいな」と被害の内容を説明した。

「この先どういう危険が自分に及ぶかわからないということもあって、警察・弁護士に相談の上、最後通告をさせて頂きました」と語った。

 昔、サークル内で胸がでかかったということから、先輩にぱいぱいでか美とあだ名をつけられたと明かす彼女。今ではその芸名に感謝しているともいう。「こういうポジティブじゃない話題で取り上げられた時でも、めちゃめちゃかわいそうには見えない。あんまりかわいそうな人に見られるのも嫌なので」と前向きに語る彼女。「ぱいぱいでか美って人が大変な目にあっているんだな、それより名前が頭に残るな、くらいの感じでいけるので、芸名には感謝してこれからも使い続けていきたいと思います」と決意を新たにする。

 大好きなアイドルだったはずなのに、一転して憎しみの対象に変わってしまう境界線は何なのか。

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「普通のファンはわかってやり取りを楽しんでいる。勘違いしちゃう人がわかってないな」という声から、「自分今ここにいますよ、みたいなことを載せちゃったりすると、見てる人から勘違いされて、今いるのかもしれないってそこ行ったらいなくて叩いたりとかも見かけます。その辺も考えて投稿した方がいいと思いますね」という意見まで。

 さらには「今もう前よりアイドルとファンの距離が近いので、昔みたいにちょっと遠くの手の届かない存在にした方が事件も少なくなると思う」という声もある。

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 アイドルのファンに限らず、以下のような行動をとると相手が勘違いする可能性があるという。

  • 特定のファンだけをじっと見つめる
  • 握手(ボディタッチの初期)
  • 腕を組むなど深いボディタッチ
  • 特定のファンだけに返しているかのようなリツイートをする
  • 断り方にブレがある

 東京未来大学の出口保行教授は、ファンがストーカーに変化する理由について「ストーカーは自己愛が強い。(それゆえ)拒絶されると激しい怒りに変わる」と説明。その上で、「アイドルの場合、ファンに好かれたいとの思いから強く拒絶できない。あいまいな態度が逆にファンを刺激してしまう」という可能性があることを述べた。

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 アイドルとファンの距離が近くなってきた今日。危険な目に遭うことがなくなるためにはどのようにすればいいのか。早急な解決策が求められる。

AbemaTV/AbemaWaveサタデーナイトより)

(C)AbemaTV

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