お笑い芸人が所属する事務所は昔に比べかなり増えてきたが、未だに「お笑い=吉本」と一番に連想する人が多い。それもそのはず、吉本興業に所属するタレント(芸人以外も含む)は6000人以上もいる。松竹芸能の約300人、ワタナベエンターテインメントの約200人と比べると吉本がどれだけ巨大なのかが分かる。テレビ番組を見ていると、いたるところに吉本芸人が出ているため、芸人を目指すとなると「まずはNSC(吉本のお笑い養成学校)に入ろう」と考えるのも頷ける。

 テレビ番組というのはテレビ局が作ったり、その下請けの制作会社が作ったりしているのだが、その中に吉本制作の番組というものが存在する。吉本興業の中に自らの制作会社を持っているのだ。するとその番組のメインには吉本芸人が使われ、さらにはその周りも吉本芸人で固められる。

 もちろん非吉本芸人も出演する機会はあるが、吉本芸人に比べるとその数は少ない。吉本は芸人以外にも俳優やアイドル、文化人なども数多く所属しているのでバラエティー番組以外にもさまざまな番組を手掛けている。番組以外にも映画の制作も行っており、エキストラで吉本の若手芸人が使われていたりする。

 さらに吉本は大阪、京都、東京、沖縄など各地に劇場を持っている。そこでは毎日、昼から夜まで何公演も行われており、超若手から師匠クラスの大ベテランまで数多くの芸人が出演している。公演の種類はネタのライブから大喜利などの企画ライブや単独ライブまでバリエーションが豊富だ。若手にとってはそれだけ舞台に立てるチャンスがあり、そこで他事務所の芸人と実力の差がつくのだ。

 そして吉本は「住みます芸人」というプロジェクトを2011年から始めた。これは47都道府県に若手芸人を移住させ、その地域と手を組んでさまざまなイベントで司会やライブをしたり、ローカル番組に出演させたりするというもの。6000人以上もタレントを持つ吉本だからこそできるプロジェクトだ。

「自分の出身地で何かやろうと考えて動いたら既に『住みます芸人』が地域と密着しており、何もできなかった」(別の事務所所属の芸人)

 上記のような嘆きもあるほどだ。そして、売れている先輩芸人が多いというのも吉本の強いところである。吉本以外の事務所だと、売れていない若手と売れている先輩が会う機会が滅多にない。しかし吉本では番組や映画を作っており、エキストラや前説などで若手芸人を使いやすい。そこで先輩との絡みが少なからずあるのだ。さらに舞台では楽屋で先輩芸人と会って話をする機会がある。売れるためのお手本がすぐ近くにいるので、これほど勉強になることはない。

 新宿にある吉本の東京本部には夜中の0時を過ぎると若手芸人が毎日のように集まってくる。何をするのかと言ったら朝までそこでネタ作りやネタ合わせをしているのだ。他事務所のとある超売れっ子芸人が打ち合わせで東京本部に行き、たまたまその状況を見て「あんなことされたらウチの事務所の若手が勝てるわけないよ。凄い環境だよ。みんな頑張っているよ」と言って愕然としていたほどである。

(文/AbemaTIMES編集部)


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