3月21日は「世界ダウン症デー」だ。2012年に制定されたこの日をきっかけに、ダウン症に対する理解を深めてもらいたい、といった意図がある。3月21日の理由は、「ほとんどのダウン症がある人たちには“21番目”の染色体が“3本”ある」(「世界ダウン症の日」公式サイトより)ことだという。

(画像:『ボーンディスウェイ(Born This Way)』AbemaTV「REALITY SHOWチャンネル」で放送)


 その同日から、ダウン症のある青年たちのありのままを追ったエミー賞受賞作のドキュメンタリー、『ボーンディスウェイ(Born This Way)』(日本語字幕版)のシーズン1がAbemaTVのREALITY SHOWチャンネルにて放送される。米カリフォルニア州在住の7人を追った同作が日本でも放送される意義について、自身もダウン症の子どもを育てており、ダウン症への理解を深めるチャリティウォーク「バディウォーク」の運営者でもある元テレビ朝日アナウンサー・龍円愛梨さんに話を聞いた。

 「スペシャルニーズ(注:いわゆる「障がい」「障害」「障碍」のこと)のある方をマスメディアが取り上げるのは、日本でもこれまでにあったと思います。その描かれ方の多くは『大変な人生を送っている人たちが、大変な中でも頑張っているよ』といったものになっており、ことさらに障害を可哀想なものとして扱い、若干の『お涙頂戴』感もありました。

 『ボーンディスウェイ』は、そういう視点ではなく、ありのままの姿をリアルに追っています。皆さんにそこを観ていただければな、と思います。番組を通して、共感できる部分もあり、チャレンジとなっている部分はこういうところだな……というのが理解できるかと思います。本当の姿を理解できる番組であり、アメリカではそこが評価され、スペシャルニーズのある方に対する世間の見方を変えたというのがエミー賞受賞の理由になっているのではないでしょうか」(龍円さん、以下「」内同)

 龍円さんは、テレビ朝日を2012年に退社後、アメリカで長男を出産。現在は日本を拠点に子育て・仕事をし、ダウン症の親と子のためのクラス「DS SMILE CLASS」を主宰している。龍円さんは両国でダウン症の子を育ててきた経験から、日米の違いをこう語る。

◆日米の差は「同じ」「違う」……どちらを見るか

 「日本に帰ってきて感じたのが、日本の方々が、『違う』ということに対して壁を作りがちだということです。今回の番組が、そうした空気を払拭するようなきっかけになれば……と思います。番組を観ることによって、『なーんだ、自分たちと同じなんだ!』となることでしょう。私たちはついつい『違う』ところばかりに目が行ってしまうのですが、ダウン症の人であろうとも『いえいえ、基本は皆一緒でしょ!』というところを知ってもらいたいのですね。ダウン症の人とかを見たときに怖がらずに接してもらいたいです」

 同作品には、日本人の母とオーストラリア人の父から生まれたエレナさんが登場。彼女は今年2月に来日し、『報道ステーション』(テレビ朝日系)にも出演した。番組キャスターの富川悠太アナウンサーがエレナさんから話を聞き出す形になったが、富川アナはバディウォークにもメッセージを寄せるなど、スペシャルニーズについて高い関心を持っている。そして、龍円さんも実際にエレナさんと会い、交流。時にはエレナさんのために通訳も行った。主要登場人物であるエレナさんについて、龍円さんはどんな印象を持ったのか。

 「エレナさんは、とっても明るくてチャーミングで情熱的な子ですね。自己表現もすごく上手です。先日イベントがありました。そこで講演をしたのですが、その姿を見たダウン症のお子さんを持つ日本のご両親が、『あんなに上手に自分のことを喋ったり表現できたりするんだ!』と驚いていました。日本とアメリカでは、スペシャルニーズのある方に対するサポートが違うんですよ。ダウン症の方であっても、手厚いサポートを受けることにより、自分の言葉でしゃべって、好きな仕事をし、恋をし、ごく普通の人に育っていきます」

 龍円さんはこう続ける。「『療育』や教育のサポートがあるから能力を発揮できるようになります。日本では、そこまでの体制ができていないので、大人になった子たちが『ボーンディスウェイ(Born This Way)』に登場する人ほど職につけなかったり、お話しするのが苦手だったりもする。この番組を日本で放送することによって、療育関係者、教育関係者に療育・教育の重要性を知ってもらいたいという気持ちがあります。ダウン症の子たちも伸びしろはあるんです」

 龍円さんは、番組視聴をきっかけに、スペシャルニーズのある人々がより活躍できる社会になれば、と語っていた。

『Born This Way』

Born This Way シーズン1 第1話 アップ症 | AbemaTV
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Born This Way S1 #1 アップ症
2016年エミー賞作品、ダウン症候群の若者ドキュメンタリー「Born This Way」
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 AbemaTVは「REALITY SHOWチャンネル」でダウン症候群を持つ若者とその家族や友人を追ったドキュメンタリー作品「Born This Way」を3月21日(火)夜10時から放送。 国際連合
Abema TIMES
龍円愛梨オフィシャルブログ「Sunny Life with NICO」Powered by Ameba
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龍円愛梨さんのブログ「龍円愛梨オフィシャルブログ「Sunny Life with NICO」Powered by Ameba」です。最新記事は「緊急告知『報道ステ』アメリカのスペシャルニーズ教育支援特集」です。
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「世界ダウン症の日」公式サイト
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世界ダウン症の日公式ウェブサイト。2012年から、国連が国際デーの一つとして3月21日を「世界ダウン症の日」に制定しました。
www.jdss.or.jp