NORIKIYOが“稀代のリリシスト”である理由が分かる6曲

街の不良のリアルな生態をリリカルに描写したNORIKIYO

NORIKIYOが3月31日（金）にニューアルバム『Bouquet』をリリース。YouTubeでは、リード曲「It ain't nothing like Hip Hop」のミュージックビデオがすでに公開されている。このMVにはNORIKIYOのフッド・相模原の街並みや仲間たちが登場。ヒップホップを生業にしていくことを、NORIKIYOなりの表現で歌っている。

NORIKIYO / It ain't nothing like Hip Hop

2007年にアルバム『EXIT』でデビューしたNORIKIYO。現在の姿からは想像もつかないが、デビュー当時のイメージは“街の小悪党”だった。実際、なぜ足を引きずっていたのかといえば、揉め事でビルから飛び降り片足に大きな怪我を負ったからだった。その入院中にSEEDAの音源と出会い、本格的にラップをはじめる。NORIKIYOのラップは当時、都市伝説でしかなかった街の不良のリアルな生態をリリカルに描写し、高い評価を得た。

DO MY THING/NORIKIYO(from SD JUNKSTA)

Zeebraをディス……そして名パンチライン「飼われてねぇなら振らねぇ尻尾」の誕生

『EXIT』は2007年のベストアルバムと言われ、NORIKIYOは小悪党からシーンで最も注目される若手ラッパーの一人となった。そして翌2008年には早くも2ndアルバム『OUTLET BLUES』をリリースする。本作はBACHLOGICが全曲プロデュースした意欲作で、ディスコグラフィの中で音楽的に最も過激な内容となった。NORIKIYOの勢いとBLのクリエイティビティが奇跡的に融合した同作は、リリースから10年近い時を経ても未だに色褪せない新鮮さを放っている。

NORIKIYO/アウトレットブルース～蛇の道をゆく～

なお、本作の収録曲「REASON IS…」の「飼われてねぇなら振らねぇ尻尾」というパンチラインは、当時から現在に至るまでNORIKIYOのスタンスを明確に表現している。2013年に発表したアルバム『花水木』の収録曲でNORIKIYOは、あの Zeebraをディスする。詳細は割愛するが、この事件はNORIKIYOがアーティストとして音楽に真剣に向き合っていることを示すものだった。これを受けZeebraはTwitterで謝罪したが、NORIKIYOは当時から馴れ合いを良しとせず、常に独立独歩の姿勢を貫いている。「ヒップホップ＝不良」というステレオタイプから脱却し、一音楽家でありたいというNORIKIYOの姿勢が明確に提示されたと言えるだろう。

NORIKIYO / 夜に口笛

般若、MACCHO、韻踏……数々の客演を経て日本語ラップシーンを代表する存在に成長する

そんなNORIKIYOの元には、様々なアーティストからの客演依頼が殺到した。SEEDA「God Bless You Kid feat. MONDOH, ham-R, SHIZOO, OKI, NORIKIYO & BES」（2009年）、BOMBRUSH!「STAY STRONG feat. NORIKIYO, SHINGO☆西成 & DAG FORCE」（2010年）、SALU「STAND HARD (REMIX) feat. SIMON, NORIKIYO, AKLO & Y's」（2012年）など、その年を代表する楽曲への参加を果たした。中でも特に話題になったのがこの2曲だろう。

MACCHO , NORIKIYO , 般若& DABO / Beats&Rhyme（2011年）

韻踏合組合 - "一網打尽 (REMIX) Feat. NORIKIYO,SHINGO★西成, 漢"（2014年）

NORIKIYOは2013年から14年にかけて、ミックスCD『Another Locus ～Mixed By DJ DEFLO～』、EP『断片集』を含む5つの作品を立て続けに発表し、さらにラブソングも収録した『如雨露』をリリース。通算7枚目のフルアルバム『Bouquet』では、何周も回って次の境地に到達したNORIKIYOがどんな世界を見せてくれるのか楽しみなところだ。