厚生労働省が2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて進める受動喫煙対策に、大きな危機感を持っている業界がある。麻雀店だ。厚生労働省が昨年秋に発表した、受動喫煙防止対策の「たたき台」では、麻雀店を含むサービス業は3段階あるうちの「原則建物内禁煙(喫煙室設置可)」に分類された。だが、麻雀店の経営者で組織される全国麻雀業組合総連合会の高橋常行常任理事は「このまま法案が通ると、経営が成り立たない店がそれなりの数出てくる」という。たばこをめぐる問題が、麻雀店にどこまで影響を与えるか、詳しく聞いた。

 全国には麻雀店が9176店ある(警察庁発表)。チェーン展開している店舗は少数派で、多くは単独もしくは数店舗という中小企業が圧倒的だ。1店舗あたりの卓数も「10卓もある店は広い方に入る。8卓あるかどうか。6卓という店も多い」という。店内での喫煙に関する詳細なデータはないが、高橋氏は「4割から5割ぐらいの人が吸っているように思う。4人で1卓を囲むので、卓単位で見れば100%という店も少なくない」と付け加えた。

 麻雀業界側では、受動喫煙防止の話が持ち上がったタイミングで、現状把握の調査を始めた。高橋氏の手元には、都内の麻雀店から得たアンケート結果がある。回答欄には、卓数、客の喫煙率、今後の対応と記されていた。「喫煙室を設置できるといっても、そのために卓を1つつぶすことになる。どの店も何坪のスペースに何卓置いて、どのくらい客が回転するかを見込んで商売をしている。6卓の店で1卓つぶすとなれば影響は大きいので、高齢の経営者などは、このタイミングで辞めるという人も少なくない」と明かした。

 麻雀とたばこは切り離せないのか。業界内にも「酒を飲まない・たばこを吸わない」というように、クリーンなイメージを推進しようとする流れがある。その一方で、とある禁煙麻雀店の経営者は「4人で来られるお客様に『禁煙です』と伝えると、その時点で帰ってしまうことがとても多い。料金よりも吸えるか吸えないかを重要視している」と漏らした。業界として減煙・禁煙という大きな流れがあることは理解している。その流れの中で、少しでも中小の麻雀店が経営できる対応をしてほしい、というのが本音だ。

 高橋氏は、国会議員に陳情書を提出するために、現状把握とデータの収集を急いでいる。「このまま進むとこれだけの店舗が廃業に追い込まれ、それに伴う損失がこれだけあって、雇用もこれだけ減ってしまう、というものをまとめている。『麻雀店は喫煙OK』となれば理想だが、そうならなくても狭い店舗が救われるようなものになれば」と願っている。

 麻雀業界として尽くせる手は尽くし、後は自民党のたばこ議員連盟と、厚生労働省のつばぜり合いを見守るという。

(C)AbemaTV

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