
森友学園への国有地売却問題を巡って、自民党は24日、安倍昭恵夫人と籠池泰典理事長の妻が交わしたメールの文面を公表。さらに国会では安倍総理が出席し集中審議が行われた。
自民党が公開した昭恵夫人と籠池夫人との間で交わされた携帯のショートメールは去年6月から今年3月16日までのもの。先月28日の昭恵夫人からのメールには「私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく、いただいていたのなら、教えていただけますでしょうか」と徐々に籠池夫人から距離を置くように。籠池夫人からのメールも文章が長くなり、内容はマスコミへの苛立ちが多くなっていった。昭恵夫人からの返事も今月1日には「心の垢を落とす 本当にそうだなあと思います」。同8日には「祈ります」とやり取りがかみ合わなくなっていった。
元TBSワシントン支局長で、昨年出版した『総理』がベストセラーになったジャーナリストの山口敬之氏は自民党が公開した狙いについて「23日の証人喚問で、籠池理事長が"口止めともとれるようなメール"と発言したので、すべての流れを分かってもらうために公開するべきということ」と説明。山口氏は「(籠池理事長に100万円を手渡すことは)絶対にない。そういうことをする人じゃない。何かを隠れてするというのは彼女の宗教観に反する」とした。
■公人?私人?総理夫人の役割とは
そもそも総理夫人の役割とはどういったもなのだろうか。"ファーストレディー"と言われることもあるが、補佐役として地位と仕事が与えられる"公人"であるアメリカ大統領夫人とは全く異なる。一方、日本の総理夫人には役割の決まりはなく、その立場はあいまい。
また、歴代の総理夫人には"複数の型"があるという。総理を影で支える「良妻賢母型」夫顔負けの「政治家型」、そして昭恵夫人に代表される「自由奔放型」だ。以前から昭恵夫人は山口県下関市で無農薬米「昭恵米」を栽培したり、郷土料理居酒屋「UZU」を経営したりと、様々な活動を行ってきた。2桁を超える団体やイベントで名誉職を務め、歴代の総理夫人の中でも、ここまで活躍が注目されるのは珍しいという。

昭恵夫人とも面識があるという山口氏は「キリスト教を熱心に信仰していて、メールの祈りますも、本当のお祈りで我々のお祈りとは意味が違う。その延長であらゆる人と結果的には分かり合えるという哲学をお持ちの方。普通だと無視するような抗議の声にも必ず返信をする人物。哲学として博愛ですから、悪意をもって寄ってくる人でも今回みたいなことになってしまう。完全なキリスト教的な善意の人。脇が甘いと言われてもしょうがない」と話す。
山口氏は、そんな自由奔放さが安倍政権にとって有利になっている面もあると指摘し「例えば反原発の人や、沖縄、被災地の人々の肉声を(安倍総理に)届けるという意味において機能している」と指摘。去年8月、昭恵夫人がパールハーバーで献花をした際も、ハワイ行きを安倍総理に伝えたのはなんと前日だったという。「安倍総理としても昭恵夫人がパールハーバーに行くことは、自分が行った場合の予行演習になると考えた」(山口氏)
現在、野党は昭恵夫人の証人喚問を求めているが、自民党はこれに応じない構えだ。
山口氏は「違法だったかどうか、道義的に適切だったかどうかで分けて考えなければならない。我々も議論を整理していかないと収束していかない。論理的な思考力をもって、なんのために議論しているのか。物事を荒立てることを目的にしている人も少なくない」と話した。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
(C)AbemaTV
この記事の画像一覧

