身長162cm、世界の頂に挑み続ける小柄な登山家がいる。

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 2004年に北米大陸最高峰6194mのマッキンリーを登山歴わずか2年で制覇。そして2005年1月には南米大陸最高峰アコンカグア(6959m)、その4カ月後にはヨーロッパ大陸最高峰のエルブルース(5642m)を制覇。さらにアフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5895m)、オセアニア大陸最高峰カルステンツピラミッド(4884m)、南極大陸最高峰ヴィンソン・マシフ(4892m)も制覇した。登山を始めわずか5年で六大陸の最高峰を制覇した。登山家の名前は、栗城史多(34)。

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 栗城の登山スタイルはかなり異色だ。それは、たった1人で登るというもの。通常、2~30人のサポートを必要とするが、彼は単独登頂にこだわり続ける。そこには一つの想いがあった。

 「"単独"というスタイルを貫いているのは、孤独を求めているからではなく、山と向き合うことだけに集中したいからだ。」(栗城史多著 『弱者の勇気』より)

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 全ては山と向き合うため。しかし単独であるがゆえに、危険も増大する。単独登山の場合、クレバスに落ちれば、助かる可能性も低くなる。常に死と隣り合わせの挑戦だが、栗城にはどうしても登りたい憧れの山がある。標高8848mを誇る世界の最高峰、エベレストだ。

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 2009年、栗城は過酷と言われる秋にエベレストに初挑戦した。しかし体調不良となり、7950m地点で断念するという"洗礼"を受ける。登山家として、初めての挫折だった。2012年、再びエベレストへ。前回の教訓を活かし体調は万全だったが、気候が急変。経験したことのない強風に、8070m地点で断念する結果となった。なんとか下山したものの、重度の凍傷で9本の指を失った。登山家生命の危機に陥ったが、エベレスト制覇という想いは変わらなかった。

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 2014年、改めてエベレスト登頂を決意。その調整も兼ねてエベレストと同じ8000m級のブロード・ピークに挑んだ。制覇した際には「指を失ってから辛いことがいっぱいあったけど、諦めなくて良かった」と涙した。

 満を持して迎えた2015年、再び9本の指を奪ったエベレストへ。順調に頂上へと登り続けるが、8150mに到達したところであえなく断念。またしても制覇は叶わなかった。そして、昨年も断念。頂上を見る夢はまだ叶っていない。彼はここまでしてなぜエベレスト制覇を目指すのか。

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 「僕が目指すのは、人があまり行かない時期のエベレスト。山を感じながら登りたいので、あえて秋という厳しい時期に行く。通常春が登りやすいが、ワンシーズンで大体800人くらい登るので、頂上で3時間待ちの渋滞が起きたりする」と語る。

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 栗城は、中継をしながら登山をすることでも有名だ。かつて番組の企画でネット配信をしながら登山した際、「ありがとう」というコメントが投稿されたことがきっかけだ。「失敗も挫折もリアルタイムで共有する。否定という壁は結構あると思うが、否定の根本は"失敗が怖い"とか"挫折が嫌だ"とか、それをぶち壊したいなと思って、あえてやってみようと思った」。

 日本を出発し、山に登り、帰国するまで大体2カ月ほどかかり、そのうち1カ月間ほどは1人で登り続ける。登る最中は「何も考えていない」という。

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 そんな栗城にとって、山の魅力は「うまくいかないこと」。

 「人間はなんでも成功することが素晴らしいと思ってしまうと思うが、自然というのは本来はうまくいかないこととか、厳しいこととかいっぱいある。そういうことと向き合いながら登っていくことによって、学びがあったりする。登れた山と登れなかった山では、登れなかった山の方が思い出深い」。

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 最後に「指を失ったときは、山に登れなくなり、夢を失ってしまうのが怖かった」と語った栗城。エベレストに7回目の挑戦をするため、来週日本を発つ。今度こそ制覇なるか。注目だ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)


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