特徴的な音楽と、ダイエットによる劇的な変化でインパクト大の、RIZAPのCM。会員数は累計で7万人を超えた。
会社設立からわずか5年で売上高は1000億円に到達したが、「そこまで会社を成長させる自信があった」と豪語、自らも「結果にコミットする」姿勢をアピールするのは、同社を率いる瀬戸健氏。現在、社員数は4000人、グループ会社は43社を数える。タレントの具体的な身体の変化をCMで印象づけたRIZAPは「結果がでない場合は全額返金」など、ダイナミックな施策も打ち出し、ダイエット業界に一大旋風を巻き起こした。
RIZAPの特徴は、トレーナーとのマンツーマントレーニングだ。「コミット」を謳うように、食事のメニューや内容などを詳細にトレーナーに報告しなければならない。
一見すると面倒に感じるが、瀬戸は「それこそが続けさせる秘訣です。インターネットに『痩せる方法』はたくさん載っている。でもそれを続けることができない。三日坊主で終わっちゃうんです」と話す。瀬戸によると、親身になってアドバイスするトレーナーとコミュニケーションをとっていくうちに芽生える、「食べたら裏切ってしまうのではないか」という気持ちが重要なのだという。「だからこそ、トレーナーは人柄が大事。つらい気持ちとかを理解できないトレーナーはダメ。かと言って甘やかしてもダメなんですけどね」と不敵に笑う。
敏腕経営者・瀬戸の原点は高校時代だという。当時、成績は400人中399番目だったという。「僕の次は、日本語が話せない韓国人で。実質ビリだったんです」。猛勉強を始め、3カ月で偏差値を67にまで上げた。
「人は変われるということを証明する」が経営理念のライザップのルーツはここにあったのだ。
もう一つ、自身を奮起させたのは彼女の存在だった明かした瀬戸。身長152cm・体重70kgという同級生の女の子から告白され、「付き合うか悩んだが、思い切って、"一緒にダイエットしよう"と提案した」。2時間のランニングに付き合い、毎日電話をする。停滞期に悩んでいれば「キレイになった。輪郭が変わった」と励まし続ける。まさに、RIZAPのトレーナーたちと同じことを実践していた。
彼女は痩せていき、40kg台のスリムなボディを手に入れた。瞬く間にクラスで1、2を争う程の美女として有名になる。「でも最後は浮気されて別れてしまいました(笑)」。
浮気相手は大学生だった。「なら俺も勉強して東京に行ってやろう」。
猛勉強の甲斐もあり、明治大学に合格した瀬戸。しかし今度は起業を夢見て大学を中退してしまった。
大豆を使った健康食品を販売する会社を立ち上げ、大手新聞にも大々的に広告を打った。あとは殺到する電話注文をさばくだけ…とはいかないのが商売の難しいところ。電話の前で一日中待機したが、問い合わせは来なかった。
「そんなに甘くないんですね。今でこそ折込チラシを1000枚撒けばようやく1件電話が鳴るかどうか、というような感覚がわかりますが、当時はわかりませんでした」と振り返る。
だが、転んでもただでは起きないのが瀬戸の強みだ。実家がパン屋だったことを活かし、健康に良いオクラクッキーの販売に乗り出す。これが大豆の健康食品以上に受けた。次から次へと注文が殺到し、1年目で2400万円の売上、2年目でなんと8億円を売り上げた。4年目には、年商100億円を叩き出す。
だが、それも長くは続かなかった。あっという間に競合が登場し、5年目には売上は10億円に落ち込んでしまう。ライバルと差別化できないまま、ずるずると戦いに巻き込まれてしまった。
ここで学んだのは広告の大切さだ。会社の広告とは「お客様に届くいちばん重要なメッセージ。魂を込めて一つ一つの言葉を伝えていくこと」。確かに、RIZAPの広告は一度見たら決して忘れない、インパクト抜群だ。
瀬戸自身、ダイエット経験者だ。2カ月で10kgのダイエットを成功させたという。その際に、「一人でやるダイエットって辛い。意志の弱い人をサポートするサービスってないかな」と閃いたのだという。RIZAPの原点は高校時代の経験はもとより、自身のダイエットにも根ざしているのだ。
RIZAPは、膨大なデータをビッグデータとして解析している。「初めてのお客さんでも開始から3週間のデータを入れさせてもらえれば、その後どういう経緯をたどるかが大体予測ができるようになる。世界でもそんなデータを持っているのはうちしかありません。まさに天気予報と同じ」と言い切る瀬戸。法則性がわかれば再現性が期待でき、それはやがて科学になっていく。
今や上海や台灣、東南アジア諸国への展開も進んでいる。さらに「結果にコミット」するという経営理念とビジネスモデルで、ゴルフや英語、料理教室にも進出。3年後の売上高3000億円を目指す。
「僕はあらゆるサービス産業は結果にコミットすべきだと思っている。お客様が求めているものをちゃんと提供する。その緊張感は必要だと思う」。4人で始めた会社は気づけば4000人にまで成長した。「人を痩せさせて会社を太らせる」。結果にコミットする男は今日も走り続ける。(AbemaTV/「偉大なる創業バカ一代」より)