平壌で金日成主席の生誕105年を祝う記念パレードの練習が行われる中、米NBCテレビはアメリカは北朝鮮が核実験を行うと判断した場合に先制攻撃を行う準備をしていると報じた。一方、別のメディアはアメリカ政府高官の話として「先制攻撃の計画はない」と報じている。
トランプ大統領はツイッターで「中国は正しい対応をすると思うが、出来ないのなら、米と同盟国でやる」と、北朝鮮に対する警告とも思えるメッセージも発している。
■「あとは金正恩氏次第だ」
「核実験の準備がほぼ完了しているということは、西側の複数の信頼できる情報筋も言っています。日本政府も、これが4月15日に核実験を行うための準備で、実施の確率が95%だとみていた。ただ、先週の米中首脳会議とその最中のシリア攻撃、そして米中電話会談がありました。それが確率を95%からどのくらい下げたか」
と話すのは、ジャーナリストの山口敬之氏。
「トランプ大統領が米中首脳会議で"ここまで北朝鮮の核開発が進んだのは中国のせいだ。結果を出せ。"と言ったのは間違いない。私が得ている情報では、そこで1週間の期限付きで、具体的な3つの宿題ー(1)北への制裁を完璧に履行しなさい(2)パイプライン経由での石油の供給を止めなさい(3)全力で核実験を阻止しなさい、を出した。首脳会談の5日後に電話会談をするのは異例中の異例だが、そこで習近平は宿題の答えをトランプ大統領に伝えた。中国が北朝鮮に対して何を言ったのかは現時点ではわからないが、昨日トランプ大統領は"中国は為替操作国ではない"と発言した。これは、ある程度アメリカが満足できるアクションを起こしたと認定したからだとみられている。あとは金正恩氏次第だ」(山口氏)
■安倍さんは国民にシグナルを送っているのではないか
そんな中国による"アクション"が奏功しなかった場合、アメリカはどう出るのか。山口氏は、「あまり言いたくはないが、トランプ大統領はやると言ったことはいままで全部やってきた」と、北朝鮮に対する攻撃の可能性を示唆。
そこで懸念されるのは、日本への影響だ。
「金正恩を排除する作戦計画はすでに出来上がっている。すぐにやらないのは、北朝鮮が反撃できないような予防策を打ってからでないとできないと判断しているからだ。先制的な空爆と司令システムの無力化が完璧に行われれば日本は無傷だが、非常に厳しいオペレーションになる。北は3月に、日本海に向けてミサイルを4発発射した。これだけ同時に撃たれた場合、最大で半分しか迎撃できないと言われている。あれは日本に対する"飽和攻撃"を想定したもの。三沢、佐世保、嘉手納基地に核弾頭を打ち込んでくる可能性もある」(山口氏)。
さらに山口氏は、北朝鮮の化学兵器使用の可能性にも言及。
「安倍さんは国会で、北朝鮮がサリンの弾頭化に成功したと述べた。最悪のシナリオを言えば、東京や大阪に化学兵器が飛んでくる可能性もあるということ。政府としては買い占めや渡航の自粛が起こるような、みだりに危機を煽るようなことは言いたくないのでとても慎重だが、最近の菅さん、麻生さん、安倍さんの発言を注意深く聞いていると、なんとなく国民にシグナルを送っているような意図を感じる」(山口氏)。
評論家の古谷経衡氏も「シリアと北朝鮮は違う。ミサイルを50発、60発打ち込んだだけでは北朝鮮の反撃能力を潰すことはできず、反撃してくる可能性がある。500発や1000発打ち込んで、米軍と韓国軍が一気に北進するようなオプションがなければ、日本にとっては非常に困ることになる」と指摘する。
これに対し、山口氏はアメリカがアフガニスタンで対IS攻撃として非核兵器では最強とされるMOABを使用したことに触れ「これはまさに38度線に並んでいる、ソウルに向けて撃たれる大砲を面的に破壊する練習だったのに間違いない」と話した。(AbemaTV/AbemaPrimeより)