北朝鮮を巡る問題で緊迫が続く世界情勢。その波は着実に"戦争をしない国"日本にも届きつつある。
「ミサイル発射情報 当地域に着弾する可能性があります」
宮城県大崎市できのう朝、ミサイル飛来の可能性がある場合に作動する全国瞬時警報システム「Jアラート」が誤って放送されてしまうトラブルが発生した。市役所内で放送内容の確認を行う予定だったものが、誤って市内全域のスピーカーから放送されてしまったという。市は「ミサイルの着弾はない」と、繰り返し訂正の放送を行ったものの、時期が時期だけに市民からは苦情が殺到することになってしまった。
F-35Bという最新鋭の戦闘機が配備されていることから、米メディアが"北の標的"と報じている米軍岩国基地。山口県岩国市の中心部、住宅街が広がる川下地区に位置している同基地は、今年、空母艦載機の移転が予定されており、極東最大級の航空基地になるともいわれている。
周辺の住民は「北朝鮮情勢によってピリピリするようなことは今はあまりない」と、特に緊張した様子はない。ただ、すでにわずかながら、その"予兆"は見え隠れしているという。有事などの際は閉鎖される岩国基地の敷地の下を通る道が閉鎖されたのだ。
ゴールデンウィークには、基地が解放される年に一度の「フレンドシップデー」が控えている。例年20万人前後の人出があり、地元商店街にとってはまさに書き入れ時だ。基地解放の中止はアメリカの動きを市民が肌で感じる出来事の一つで、2013年には開催まで1か月を切ってから中止が発表されたこともあるだけに、「北朝鮮との関係の中で、今年は開催されるのか疑心暗鬼になっている」と心配する声もあった。
■「武力攻撃には反対」と若者たち
この状況を日本の若者、そして海外から来た若者たちはどう捉えているのだろうか。
渋谷の若者たちに話を聞いてみると、「世界が戦争ムードなので起きてしまうかもしれない」と問題意識を持つ人もいる一方、「この時代に戦争とかあまり考えられない。日本には関係ないだろうって思う」と、あまり深く考えていない人もいるようだ。
アメリカからの留学生で東京大学大学院2年のマイケル・クルズさんは「オバマの時代には何も変わらなかったし、トランプも口だけ。最終的には何も変わらない」と話し、反応は薄い。大学の友人との会話でも、北朝鮮についての触れることはあまりないという。「アメリカにいる家族からは"気をつけなさい"と言われるが、自分でコントロールできないことなのでどうしようもない」。
韓国からの留学生、慶応大学法学部4年のイ・ヒョクジュさんも、今回の緊張状態を「恒例行事」と表現する。イさんは「北朝鮮の核実験やミサイル発射は常に注意を払うべきだとは思うがいつも行われているものだし、アメリカ大統領の『先制攻撃をする』という発言は過去にもあったので見せかけなのでは」として、あまり深刻には捉えていないという。韓国国内でも緊張感はあまりないという。
アメリカの求めを受け北朝鮮への圧力を強めている中国。人民日報は11日「外交部、朝鮮半島関係各国は共に自制を」などと報道、一歩引いた姿勢を見せている。中国からの留学生で慶応大学文学部3年のゴ・カヘイさんは「徐々に中国の影響力が無くなっている」と感じているといい、「警戒心が必要。第二のシリアにならないように平和的に解決することを求める」と話した。
また、可能性が報じられている、米軍の先制攻撃に賛成か、反対か、という質問には、「アメリカが先制攻撃をすることで、韓国・中国・日本と北朝鮮に隣接する国が巻き込まれるから反対。圧力や対話といった、すべてのカードを使い切ってしまった場合、最終手段として攻撃はありだと思う」(イさん)、「もし戦争が起きたら中国も巻き込まれてしまうから反対」(ゴさん)と口を揃えた。