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 教育方針が問題となり、人々の耳目を集めた森友学園の塚本幼稚園。園児たちが懸命に教育勅語を暗唱する姿が度々取り上げられ、教育現場での教育勅語の扱いをめぐって、今も議論が繰り広げられている。

 「戦前回帰」との批判を浴びた森友学園。実は過去にも、同じように批判の的となった場所があった。それが「戸塚ヨットスクール」だ。1976年、オリンピックに通用する選手の育成のため設立されたが、その後、独自の指導方法が情緒障害などに効果があるとされ、ヨット選手育成から生活指導へと切り替わっていった。しかし体罰をも辞さないスパルタぶりはいつしか過剰となり、訓練生が死亡してしまう事件が相次いだ。校長の戸塚宏氏は傷害致死に問われ、懲役6年の判決を受けた。

 今、戸塚ヨットスクールはどうなっているのか?まだ入所する若者たちはいるのだろうか?

 太平洋に面する、愛知県知多郡美浜町にある戸塚ヨットスクール。一連の事件後も、スクールは存続していた。存続する理由、それはここを求める生徒が絶えないからだという。しかし、戸塚校長が出所した2006年以降も、原因不明の寮生の飛び降り自殺が複数報告されているのだ。

 そんな戸塚ヨットスクールの1日に密着した。起床は朝6時。男女問わず、同じフロアでの共同生活だ。屋外で点呼し、20分間の早朝トレーニング。食事は朝昼晩、生徒のみで作っている。ヨガの次は清掃、そして7時過ぎに朝食だ。食事中、私語は厳禁。姿勢を正し、正座で食べる。

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 続いてそれぞれのカリキュラムで勉強をこなす。スクールにきた理由は各々、違うものの訓練終了を目標に、与えられたものを一生懸命クリアする姿勢が見て取れた。

 午後はヨットでの海上訓練。そこに77歳の戸塚校長が現れた。年を取ったとはいえ、その眼光と威圧感は相変わらずだ。戸塚校長はヨットに乗り込み、生徒より先に海に出る。生徒達は死に物狂いの形相でヨットを操る。戸塚校長は特に何も言わず、険しい表情で見守るのみだった。

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 海上訓練は常に命の危険を伴う。2時間もの間、死と隣り合わせの環境に置くのがその目的なのだという。戸塚校長は「死を身近に感じる環境に晒すと本能の『生きる』が強くなり、社会のストレスに対応できるようになる」と語る。

 「生きる力が一番大事なんだ。生きる力をいかに大きくするか!みんな弱いからイジメられて自殺する、叱られて自殺する。ヨット自身が体罰をしてくれる。死ぬというのが最高の不快感、それをヨットで作り出すとだんだん慣れてくる。それに比べたら社会の不快感なんて大したことない」。

 現在、スクールには12歳から44歳まで、8人の生徒が寮生活をしている。彼らはなぜここに来たのだろうか。

 入所3か月という17歳の男性は「今まで悪い事をいっぱいしてきたから自分で入所した。こんなに厳しいとは思ってなかった。まだ全然治ってないけど、他人に謙虚になる事を学べたんじゃないかと思います」と真剣に答えてくれた。

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 また入所1年4カ月、27歳の男性は「戸塚校長と面談して、世間の噂と違い、この人は正しい事を言っていると思った。入ってみて、自分が今更ながらいい加減な生き方をしていたと気づかされた。一つずつ丁寧になんでもやっていくのが近道。今までうまくいかなかったのは自分が雑にやっていたから」と反省の言葉をも口にした。

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 戸塚校長に、今の日本の教育について聞いた。

 「教育がいいはずない!大学を卒業して3年後を調べてみると53%がニートになっている。教育が間違っているからだ。このままでは日本がつぶれる。キレイ事でイニシアティブを取ろうとするからいけない。善悪が分かってないのに、日本中が"体罰は悪です"と言う。マスコミのおかげで日本は潰れるんだ。教育勅語がいけないと言ったのはアメリカだ。教育勅語で教育されたら、また日本がアメリカに刃向ってくるから。男をダメにすれば、その国はダメになるんだ。教育勅語で大和魂を培われたら、また立派な国になる。今度こそ『負けないぞ』って向かってくる。だからヨーロッパの間違った精神論を正しいとして与えておけば、今のように教育が失敗して男が出来ない。森友の理事長は俺と同じ事を言う。俺と似とるやつが居るなあと思った」と、森友学園にまで言及した。(AbemaTV/「勝手に出口調査」より)

次回の「勝手に出口調査」は30日(日)22時~!

勝手に出口調査 | AbemaTV
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