アニメファンには馴染み深い同人誌系書店『とらのあな』をグループ企業に持つユメノソラホールディングス株式会社が、アニメファンやゲームファン向けの結婚相談所『とら婚』を立ち上げるなど、マニア層をターゲットとした婚活ビジネスが活況を呈している。

 2月末に営業を開始した『とら婚』は入会金9万8000円・月会費1万円でマッチングサービスなどが受けられるマイペースプランから、面談アドバイザーによる徹底サポートが受けられる入会金28万円・月会費1万5000円の恋愛ビギナーフルサポートプランまで、さまざまなプランを用意した本格的な結婚相談所としてオープンした。

 趣味以外の出費を極端に嫌い、あらゆる高額なサービスに強い拒否反応を示す一部のアニメファンは、ネット上に入会金や月会費についての批判的な意見を書き込んでいるが、『とら婚』が主催する婚活パーティは盛況を博し、満員御礼状態が続いているようだ。

 実のところ、『とら婚』は婚活パーティに参加するだけなら、無料の会員登録を行い、参加するパーティごとに数千円の参加費を払うだけでも大丈夫。極力出費を避けたいアニメファンの心理を捉えたシステムも備えており、このあたりは長年アニメファン向けのビジネスを展開してきた同社ならではの対応といえよう。

 話題を集める『とら婚』以外にも、アニメ専門の放送局『アニマックス』が様々な街コンを主催する『街コンジャパン』とコラボし、アニメファン向けの街コン『アニ☆コン』を定期的に開催するなど、多種多様なアニメファン向け婚活イベントが開催されるなか、10年以上にわたり様々なアニメファン向け婚活イベントに参加してきたという地方在住の30代後半男性アニメファンに婚活の実態を聞いてみた。

 「自分が婚活を始めたのは28、29歳のころからなので、今年でもう10年ほど婚活を続けていることになりますね(笑)。イケメンでもありませんし、美少女もののアニメばかり見ている日々ですが、この10年の婚活で、何度か彼女が出来たこともあります。残念ながら結婚するまでには至っていませんが、ちゃんとしたアニメファン向けの婚活イベントに何度か参加すれば、異性とおつきあいすることは可能だと思います」

 こう語る男性だが、実はアニメファン向けの婚活イベントに参加するまでは、一度も異性と交際したことがなかったという。

 「学生時代はアニメファンの男友達とばかり遊んでいました。彼女が欲しいという気持ちが全く無かったとは言いませんが、美少女アニメを見たり、アイドル声優のイベントに行ったりしているだけで満足していました。学校行事とかでリアルな女性に冷たくされたこともありましたし、現実の女性よりもアニメの女の子のことを考えていたほうが楽しかったんですよね」

ーーそれが何故、アラサーで婚活を始めることに?

 「学生時代の友達がアニメを見ることをやめたり、アニメを見続けていた友達も上京したり、結婚したりで疎遠になってしまい、急にひとりぼっちになってしまったんです。ある日、深夜に美少女アニメを見ている時に、急に怖くなったんです。俺はこのままずっと一人なのか……って。

 今までは友達といつでも美少女アニメについて語り合え、それなりに幸せな毎日を送っていましたが、友達と距離が出来たことで、異性と交際したこともなく、いい年をしてアニメばかり見ている自分はダメ人間なんじゃないかって思うようになったんです。とにかく『自分を変えよう』、『結婚して子供を作って普通の家庭を築かなきゃ』って思い、婚活を始めました」

 強い決意の下、婚活を開始した男性だが、待っていたのは試練の日々だったという。

 「最初はどうしていいかわからず、出会い系サイトというものをやってみたりしました。おつきあいするなら、自分の趣味を理解してくれる人のほうが良いと思い、趣味にアニメやゲームと書いている相手を探してはメールを送り続けましたが、返信がきたのはいわゆる“サクラ”ばかりでした。

 後で分かったことですが、出会い系サイトにプロフィールが載っている女性はほとんどサクラとも。自分が登録していたサイトの場合、メールを送るのに有料のポイントが必要なサイトだったので、メールは続いてもなかなか会ってもらえず有料ポイントがどんどん無くなるだけ。気づいたらその子のプロフィールごと消えている、なんてことの連続でしたね。でも、この頃の自分はネットで『出会い系はサクラが多い』と目にしても、自分がメールをしている相手はサクラじゃないと信じきってしまい、プロフィールが消えたのも自分のメールの文面に問題があったからだと思い込んでいました。

 その後、アニメファン専門の出会いサイトみたいなものにも登録して、かなりお金を使いましたが、ここでも成果はゼロでした。だいぶ後に婚活パーティで知り合った男友達から聞いた話だと、10年ぐらい前の出会い系サイトブームの頃、『オタクは騙しやすい』ということで、アニメファン専門と銘打った詐欺サイトが乱立していたそうです」

 出会い系サイトで悲惨な目に遭ったことで、男性はお見合いパーティに目を向けたという。

 「お見合いパーティに行くのは不安でした。当時も東京などの都会では、アニメファン向けのお見合いパーティもあったような気がしますが、自分が住んでいる地方都市にはそんなものはなかったので、普通のお見合いパーティに参加してみたんです。

 結果はもちろん惨敗でした。お見合いパーティのシステムは今も昔も変わらず、最初にエントリーシートを書いて胸に名札を付けたら、女性が座る席に行く。自己紹介をし、少し雑談をしたら、数分ごとに男性は席を移動し、次の女性の席に移るわけですが、女性と1対1になっても何を話していいかわからないんですよね。

 街コンとかだと複数対複数で、複数の男性が複数の女性が待つ席へと移動する感じなので、ある程度、慣れてくるとコンビプレイもできるようになるのですが、自分が最初に参加したお見合いパーティは1対1だったので、終始モゴモゴしているだけで終わりました(笑)」

 最初のお見合いパーティで男性は深く傷ついたそうだが、それでも婚活を諦めなかったという。

 「最初の失敗で凄く落ち込みました。しばらくは立ち直れず、『彼女なんていらない』、『アニメさえあれば』と、半ば婚活を諦めて美少女アニメばかり見ていましたそんな時、久しぶりに会った友達と飲む機会があり、結婚して幸せそうに子供の話をする友達の姿を見て、嫉妬するとともに、『自分もがんばろう』という気持ちも改めてわき起こってきました。

 とはいえ、同じ失敗を繰り返したくなかったので、恋愛マニュアル本を買ったり、ネットで女性との会話テクニックを勉強したり、最低限、清潔に見える服装を勉強したり、いろいろと勉強して次のお見合いパーティに参加しました。そこではカップル成立とまではいきませんでしたが、それでも前回とは違い、多少は女性と会話も弾んだと思います。女性と会話ができて、相手が社交辞令でも笑ってくれたりしたのがうれしくて、めきめきやる気が出てきた自分は、その勢いで何度もお見合いパーティに参加して、5回目ぐらいのパーティでついにカップル成立にこぎ着けました」

 努力の末に初めて異性とつき合うことになった男性だが、相手はアニメやゲームに興味がない一般女性。つきあう上での苦労も多かったと言う。

 「初めて出来た彼女でしたので、うれしくて何でも言うことを聞き、食事やプレゼントなどにも気を遣いました。会話も極力、彼女にあわせて、自分に出来ることは何でもしたつもりです。おかげで遅まきながら初体験もできました。

 ただ、無理をし続けたことで段々、疲れてきてしまったんですよね。決定的だったのは、彼女がうちに遊びに来たとき、隠していたアニメのDVDが見つかって、『なんでこんなの持ってるの?』と聞かれたことです。その時の彼女の目が引いているような感じに見えてしまい、一気に冷めました。その後、いろいろあって彼女とは別れましたが、初めて異性とつきあったことで異性への恐怖は消え、異性とつき合うことはそこまで難しいことじゃないと思えるようになりました」

 初めての交際を経て、男性はアニメファンに絞って交際相手を探すようになったという。

 「最初の彼女と別れた後、次につきあうなら、絶対にアニメファンの女の子にしようと思い、自分が住んでいる街にこだわらず、東京で行われているアニメファン向けのお見合いパーティにも参加するようになりました。

 いくつかのパーティは素人が企画したネットのオフ会レベルで、女の子の参加者が極端に少なかったり、イベント中に男性の参加者が女性の手に触れるなどセクハラに近い行為を行い、パーティ自体がなし崩し的に終わったりと酷いものもありました。しかし、コミックマーケットのスタッフが主催していた『ねるこみ』や、普段からお見合いパーティを開催している会社が企画したアニメファン向けのお見合いパーティは、しっかりとしたイベントでとても有意義でした。

 自分の場合は、初めての彼女を作るまでの過程で、恋愛マニュアル本で勉強するなどして、服装にも最低限気を遣えるようになっていましたし、何より1回だけですが異性と交際した経験があったので、おどおどした感じが消えていたからか、こういったイベントで何度かカップルとして成立させていただきました」

ーー何度かカップル成立までこぎつけつつ、いずれも結婚に至っていない理由は?

 「アニメファンの女の子とつきあうのはとても楽しいのですが、アニメファン同士だから必ず上手く行くということでもないんですよね。

 アニメファンだからといって全てのアニメに興味があるわけではありませんし、ふとした発言が相手にとって地雷だったということも良くあって……。例えば、気を遣って彼女が見ている女性向けアニメを無理して見たとして、その作品の感想を言ったところ、『軽々しく(アニメキャラの名前)君の話をして欲しくない』と怒られたこともあります(笑)。逆に、自分の好きなキャラを彼女に悪く言われて腹が立ったこともありますし、あとはお互い好きな作品が別々なので、日曜に好きな作品のイベントが被った時など、彼女に併せてばかりというのも苦痛だったりしました。

 『40近いおっさんが何を言ってるんだ』と思うかもしれませんが、それぐらいアニメが好きなんです(笑)」

 結婚までは至っていないとはいえ、アラフォーで何度もカップル成立までこぎ着けている男性に、アニメファン向けの婚活パーティでの心得を聞いてみた。

 「アニメファン向けのお見合いパーティや婚活パーティは増え続けていますが、参加する男性の中にはいまだにヨレヨレのシャツを着ていたり、無精髭を残したままだったりという人がいます。アイロンをかけたシャツを着て、髭を剃り、髪を少し染めるだけでも、その場における女性からの好感度はグッと上がります。

 会話も大事ですね。恋愛マニュアル本なんかを読めば必ず書いてあることですが、女性は……というかアニメファンは、自分の話を聞いてもらたいたんです。だから、ついつい自分が好きなアニメについて熱く語りがちなのですが、まずは相手の話を聞き、しっかりと相槌を打ったり、例え興味がない作品の話でも質問できそうなことがあれば質問してみたりするんです。『相手の話を聞く』と決めてパーティに臨めば、案外楽に女性と話せるものですよ。

 そして最後に、これを言うと批判されるかもしれませんが、高望みしないことです。恋愛経験の少ないアニメファンは、私がそうでしたが、最初につきあった相手=結婚相手とすぐに論理が飛躍しがちですし、結婚相手にはできるだけ可愛い人(かっこいい人)を、と思いがちです。でも、相手と長く付き合えるかどうかは、見た目よりも性格的な相性が大事なんですよね。相性の良し悪しは、短いパーティでは判別できません。はっきり言って、私の場合はパーティに参加する場合、まずカップルになることだけを目指し、付き合ってみて相性を判断することにしています」

ーー短いパーティではどのような女性とカップル成立を目指すのでしょうか。

 「アニメファン向けのパーティでは、とにかく可愛い子だったり、男性の話を熱心に聞いてくれる子だったり、女性だけど男性向けの美少女アニメが好きな子に人気が集中します。そういう子は競争率が高いので、あえて狙わずに、気の弱いアニメファンの男性が近づきづらいと思いそうなボーイッシュな感じのサバサバした子や、元気な子とカップル成立を目指すようにします。

 私の場合、元々、ボーイッシュな子が好きというのもありますが、気の強そうな子はアニメファン向けのパーティだと浮いてしまうことも多いので、カップルになりやすいんですよね」

 独自の戦略でアニメファン向けのパーティに参加し続けている男性。40代を目前に多少焦りはあるというものの、アニメファン向けパーティでのカップル成立経験がそれなりに豊富なことから、いつか長く一緒に付き合える相手と出会い、結婚できると確信しているそうだ。

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