
伝説的マンガを鬼才・三池崇史が映像化した話題作『無限の住人』が、4月29日(土)から全国で公開される。
木村拓哉が主人公・万次を演じることが話題になっている本作だが、かねてから“実写化は不可能”と噂されていたマンガを原作としているだけに、キャラクターの再現度はもちろん、激しい剣術アクションや胸を抉るような切ないストーリーにも期待が集まっている。
本作で両親の敵討ちを誓う可憐なヒロイン・浅野凜/町を演じているのが、第40回日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞と新人賞のダブル受賞という快挙を成し遂げた新鋭、杉咲花。今もっとも注目を集める若き演技派女優は、初参加となった三池組で本作をどのように捉え、そして凜というキャラクターをどう演じたのだろうか? 初共演となる木村拓哉とのエピソードを含め、じっくり語って頂いた。

――『無限の住人』は、海外にも多くのファンがいる大人気マンガが原作です。撮影前にお読みになりましたか?
はい、もちろんです。
――杉咲さんが本作で最も好きなシーンを教えてください。
最初に脚本を読んだ時にすごく好きだと思ったのは、槇絵さん(乙橘槇絵:おとのたちばな まきえ)との戦いの最中に、用心棒のはずの万次さんを凜が守るシーン。自分の命を守ってもらうために雇ったのに、気づいたら大事な存在になってしまっていて、命を賭けてでも守ろうとするという……すごく好きなシーンです。
――浅野凜というキャラクターに感情移入できる部分はありましたか?
約3か月、京都で撮影していたんですが、その間ずっと感情移入していたと思います。初めて木村拓哉さんとお会いした時に、もう万次さんの恰好をされていたんですが、その時から「万次さんがいる!」と思ったくらいです。原作で読んでいた万次さんそのものが目の前にいらっしゃって、そこからは、ずっと木村さんが万次さんとして存在してくださいました。
だから、自分が「どう演じよう?」と考えるよりも先に目の前に相手がいて、何か言葉をかけてもらったときに、すぐに自分の心が動いてしまうというか……そんな瞬間がずっとありました。
――そんな凜を演じるうえで意識した/苦労したポイントを教えてください。
やはりアクションと、あと所作の練習もしたのですが、その二つは本当に初心者の状態から始めたので、これだけキツい体勢なのか……ということを初めて知りました。最初は苦しみましたね。
――万次との関係性は、かなり複雑な感情表現が必要だったかと思います。意識したポイントは?
そういった部分をどう演じようか?と考えたことは、実は一度もありませんでした。やはり木村さんがそこに(万次として)存在してくださっていたので私はもう、そこで起こったことを感じて、思ったことを吐き出すだけで……。もちろんセリフではあるのですが、その先何が起こるのか? っていうのは、いったん忘れようと思って。だから、それを受けて出てきたセリフが“自分の想い”として出てくる感覚が、ずっとありました。
――三池組への参加も初めてですよね。三池監督の現場は過酷だという噂もありますが、印象的なエピソードがあれば教えてください。
例えばセットも、カメラに映り込まないところまでしっかり作り込まれていて。それは現場の空気もそうなのですが、ずっと三池組に携わってこられたスタッフさんたちが揃っているので、クランクインしたときから“初めて”という感覚がなくて、どこか居心地の良さを感じていました。皆さんがお芝居しやすい空気を作ってくださっていました。
だから過酷とか大変というよりは、自分が凜としてそこに立っていることを感じられたというか、それぐらいの“疑似体験”ができたというか。ただ、壮絶な思いをした……という意味では過酷だったのかもしれないです、凜の心境としても。
――本作には個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、万次の他に印象的な人物はいますか?
田中泯さん演じる吐鉤群(はばき かぎむら)がすごくカッコよくて。撮影では同じシーンはほとんどなかったのですが、完成したものを拝見して「ああ、やっぱりすごいなあ」と思いました。

――本作には様々な武器が登場します。気になった武器はありましたか?
やっぱり四道(シド)ですかね。劇中で私が持つシーンもあるんですが、本当に重くて! ちゃんと作り込まれてるんですよ。段取りで初めて持った時に、パントマイムみたいによろめいてしまったくらい重かったです。
あとは天津影久(あのつ かげひさ)の頭椎(カブツチ)も印象的でした。重いので、遠心力で敵を殺めていく表現とかもあるんですが、やっぱり重いから難しくて……。現場で「重いね」と話しをしていました(笑)
――次回作が制作されるとしたら、どうしますか?
今回は守られることのほうが多かったので……もし機会があれば殺陣にも挑戦したいです!
――最後に『無限の住人』をご覧になる皆さんにメッセージをいただけますか?
ラストの戦いのシーンはすごい迫力になっていますので、きっと楽しんでいただけると思います。私は、普段アクション映画を観ない方々にも、この映画は楽しんでいただけると思っています。
ほとんど悪役ばかり登場するんですが(笑)、でも実はそれぞれ背負っているものがあって、ひとりひとりにドラマがあるんです。それを目撃できたときに、また違った楽しみ方もできるんじゃないかなと思うので……ぜひ映画館で観ていただきたいです!
(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
この記事の画像一覧
