第19代韓国大統領に文在寅氏が就任した。文大統領の最大の課題は北朝鮮問題だ。文大統領は就任式で「朝鮮半島の平和のために東奔西走する。必要ならすぐにもワシントンに飛んでいきたい。北京と東京にも行き、環境が整えば平壌にも行く」と述べた。南北対話を重視する太陽政策に変化はあるのだろうか。
北朝鮮の労働新聞は「李明博、朴槿恵一味が推し進めたのは、北侵略戦争政策だ。傀儡保守党によって続いてきた南北対決の歴史を終わらせるべきだ」と書いた。強行路線から対話路線に変わるのだろうか。
トランプ大統領は「金委員長と会うことが適切であればもちろん会談する。実現すれば光栄なことだ」と北朝鮮との直接対話に言及した。そして、5月8・9日にノルウェーのオスロで米朝協議が行われた。北朝鮮外務省の崔善姫米州局長は「ピカリング元アメリカ国連大使に会った」と述べている。
また、共同通信は複数の外交関係筋の話として「核・ミサイル開発放棄を条件に金正恩委員長をアメリカに招待し、首脳会談に応じる用意があると中国政府に伝えた」と報じた。さらに体制転換や軍事侵攻をしないなど「4つのノー」を保障するとし、中国が水面下で北朝鮮に伝達した模様だ。
まだまだ緊張の続く北朝鮮情勢だが、対日強硬派の文大統領はどのような変化をもたらすのだろうか。
元在韓国特命全権大使の武藤正敏氏は「(北朝鮮は)何をしでかすか分からない不安感がある。お父さん(金正日氏)の頃は何となくこんなことをしそうだと見当がついたが、今の金正恩氏になってからは全く分からない」との見方を示した。
武藤氏は「文在寅大統領になると、慰安婦問題や竹島問題で(日韓関係が)さらに難しくなるだろうと言われている。私もそうだろうと思う。ただ日韓関係というのは、良くなる時も早い、悪くなる時も早い。そこには国民感情が介在するので、行き着く所までいく。ただ良くなる時もかならず来る」と解説し、政治と切り離して日韓関係を構築できると指摘した。
さらに「韓国の大統領が日韓関係をうまくマネージしようとする時はうまくいっている。ただ、韓国の大統領が日韓関係に疑問を持った時にはガタガタになる。これが今までの歴史」と述べ、日韓関係は韓国の大統領による影響が大きいとの持論を展開した。
武藤氏は、韓国人の一般的な慰安婦問題の捉え方について「誰かが煽るとそっちに乗っかってしまう。釜山の少女像の問題が起きる前、50体、60体あると言われていたが、どこにあるか誰も知らず、関心がなかった」と説明した。武藤氏によると、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)という団体が慰安婦問題のストーリーを作り、煽っているという。
コリア・レポート編集長の辺真一氏は「こういう問題(慰安婦問題)の冷静な歴史的検証が必要だと思う」と述べた。辺氏によると、韓国では知日と呼ばれるのはいいが、親日と呼ばれるのを嫌うという。
自民党・参議院議員の青山繁晴氏は「日韓関係が変化しても、(大学の教え子の)在日の大学生同士や僕との関係が変化したり、ギスギスすることはない」と述べ、日韓関係を特別視すべきではないと述べた。
武藤氏は慰安婦合意について「今後の日韓関係をマネージしていく上でのモデルケースだと思う」と述べた。武藤氏によると、慰安婦問題についての合意は、日韓双方が譲って、お互いの立場を尊重しながら作り上げたものだという。そのため基本的には変えるべきではないと指摘した。
辺氏は慰安婦合意について「今は国民感情がぶつかっている状態。竹島問題のように当分棚上げして、北朝鮮問題で歩調を合わせるしかない」との見方を示した。さらに「少女像を撤去するかどうかが、合意の核心部分だと思う」と述べ、文大統領が像の設置団体の幹部に直談判すべきとした。日本政府も文大統領を後押しし、世論を刺激するような言動は慎むことが、現実的なアプローチだという。
武藤氏は文大統領の経済対策について「韓国は財閥抜きでは何もできないというのがこれまでの経験値。財閥の力抜きで何かをしようとするならば、日本との関係をもっと良くしないととてもやっていけない」と述べた。
首相に指名された李洛淵氏は知日派だ。武藤氏は李氏に期待をしている反面、首相というのは外交をする立場ではなく、李氏は主流派ではないので、手腕は未知数だとした。
辺氏は李氏の起用は日本との関係を念頭に置いたもので、さらに韓国国会対策だとした。国家情報院長に徐薫氏を指名したことについては、南北首脳会談を行うための人事だとの見方を示した。
北朝鮮情勢に大きな影響を与える韓国の新大統領が今後、どのような手を打つのか注目が集まる。
(AbemaTV/みのもんたのよるバズ!より)
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